インフォグラフィックと動画で経済ニュースが身近に感じられる「NewsPicks」のコンテンツ戦略
――まずは個人向けサービスである「NewsPicks」についてのご紹介をお願いします。
間正 NewsPicksは、国内外100以上のメディアのニュースを配信する、国内最大規模のソーシャル経済メディアです。我々の強みは、オリジナルコンテンツの豊富さで、現在、20,000本以上の記事と2,000本以上の動画番組があり、これらのコンテンツは日々更新されています。
それぞれの記事には「プロピッカー」と呼ばれる各分野の専門家・有識者による解説や、実名登録された一般ユーザーの生の声が加わっています。これにより、読者は自身の視点と他者の視点の両面から気づきを得られるのが特徴です。NewsPicksは単なるニュースサイトではなく、多様な視点を提供するプラットフォームとなっています。
――コンテンツづくりにおいて特に注力されているポイントはどこでしょうか?
間正 NewsPicksのコンテンツ戦略では、「最先端」や「実践知」を重視しています。若者を中心にニュース離れが進んでいると言われている昨今、活字が苦手な方にも読んでいただけるよう、以下のような工夫を行っています。
●インフォグラフィックの活用:
難しい内容のテーマでも、図解を使って視覚的に理解しやすく表現しています。
●動画コンテンツの充実:
本サイトの動画を一部要約してYouTubeで公開し、タイパ志向の強い若い世代にもリーチしやすくしています。
たとえば日経新聞のユーザーが主に50~60代なのに対し、NewsPicksのユーザーは20~30代がボリュームゾーンになっているのも、こうしたコンテンツづくりが大きく影響しているのかもしれません。
NewsPicks 法人プラン導入企業の月次利用率は60%超
――NewsPicksというと個人向けの経済ニュースメディアとしてよく知られていますが、「NewsPicks法人プラン」というのは具体的にどのようなサービスなのでしょうか?
間正 「NewsPicks 法人プラン」は、従業員の学びを促進し、自律型人材の育成を支援するサービスです。
企業の抱える、よくある悩みとして「eラーニングの利用率が低い」「従業員の自発的な学習意欲が低い」「研修サービスを導入しても上位の2割しか活用してくれない」といった課題があげられます。
法人プランでは、これらの課題を解決するために、“「学びのきっかけづくり」から「継続的な学習」”までをサポートします。
具体的には、企業の財務情報や決算資料、仕事術など、実践的なビジネスコンテンツを提供し、従業員の知識やスキルアップを支援します。また、AIを活用した学習サポート機能により、従業員一人ひとりに合わせた学習コンテンツを提案し、学ぶ動機形成を促します。
これらの取り組みを通じて、従業員のアイデア創出や提案力向上につながり、企業全体の成長にも貢献します。
実際に、法人プランを導入した企業では、月次利用率が60%を超えるなど、高い成果が出ています。一般的なeラーニングサービスの定期利用率が8.1%(2022年11月 J-Net21インターネットアンケート調査より)であることを考慮すると、大変高い数値といえます。
参考資料:eラーニング | 市場調査データ | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
セミナー中心のマーケティングを実施し自社サービスの有益性を伝える
――サービスを取り巻くマーケットの状況についても教えください。
間正 法人プランに関しては人事向けのサービスとして訴求をしているので、社員研修やeラーニングツールなどを扱う企業様が競合になります。とはいえ、我々はまだまだ駆け出しに過ぎません。
法人プランを立ち上げて3年目になるのですが、その間、どこをターゲットにすべきか議論と検証を繰り返し、2024年4月にようやく人事をメインターゲットに定め、舵を切りました。その決め手となったのは、やはり人事を入り口にご導入いただくことで人材育成施策として全社的に広がっていくケースが多いということ。そして何よりも人事の方々からの引き合いが多かったことが挙げられます。
こうしたことから、新規開拓の余地はまだまだ多く残されていると考えています。
――マーケティング施策としてはどのような取り組みをされていますか?
岩澤 HRプロのような人事専門媒体をはじめ、人事担当者が日常的にチェックしそうな各メディアや、さらにFacebookといったSNSまで、できるだけ幅広く広告を出稿しています。
そうした中で特に力を入れているのがセミナーの開催です。私自身、営業現場に同行し、実際に人事の方々から今どんな課題をお持ちなのか、どんなことに悩んでいるかをお聞きして、そうした声をもとにセミナーのテーマを決めています。
人事をターゲットにしてからまだ日が浅いということもあり、我々にはHR領域の知見があまりありません。しかし一方で、セミナーを実施するためのノウハウやリソースは豊富に持っているので、実施した内容をアーカイブ配信し、さらにホワイトペーパー化するなど、セミナー中心のマーケティング戦略を進めています。
個人向けサービスとしてのNewsPicksは知られているが、法人プランの認知不足が課題
――マーケティングの課題としてはどのようなものをお持ちですか?
岩澤 NewsPicks自体の認知の高さに比べ、法人プランについては、まだあまり知られていないと言わざるを得ません。
たとえばHR関連の展示会などに出展しても、「NewsPicksと人事ってどんな関係があるの?」「ニュースメディアが人材育成にどう役立つの?」「ニュースは個人で読むものでしょ?」といった反応が多く、導入検討の土台にすらなかなか上げていただけていない状況です。
そのため、まずは人材育成とニュースがどのように紐づけられるのか、なぜそれが大事なのかを、一人でも多くの人事の方々に知っていただくことが課題だと考えています。
人事の方々とのお話しの中で、「eラーニングの導入効果が思うように出ていない」というご意見をいただくことがあります。そこで、当社の法人プランでは、60%を超える高い継続率を実現していることをお伝えすると、多くの企業様から「そんなに!」と関心を寄せていただくことが多いです。
このように、法人プランの有効性を広く知っていただくための啓蒙活動が、私たちの重要な役割だと考えています。
HRプロの調査レポートは人事マーケティングの強力な味方。顧客獲得単価も最安で問い合わせ数も増加中
――具体的にどのような経緯でHRプロを導入いただいたのでしょうか。
岩澤 私自身が前職で人事向けのマーケティングに携わっていたため、もともとHRプロのことはよく存じていました。2023年にユーザベースに入社し、その後、人事をターゲットにしたマーケティング活動へシフトした際、多くの企業人事の方々が見ていらっしゃる印象の強かったHRプロを活用しない手はないと思い、まずは試してみようと問い合わせたのが始まりです。
実際に利用してみて、その判断は間違っていなかったと実感しました。特に満足度が高かったのは調査レポートで、思っていた以上にしっかり作り込んでいただき、柔軟さもあり非常に助かっています。
またHRプロでダウンロードされた資料からキーワードを抽出して、人事関連のバズワードを伝えてくださったり、注目のニュースやトピックス、企業や人事の動向を教えてくださったり、定期的に有益な情報を提供いただける点もありがたいです。
そうした情報は、セミナーを企画するときに参考にさせてもらうなど、マーケティング戦略を考える際のヒントとしても重宝しています。
――HRプロをご利用いただいて、目に見える変化や成果はございましたか?
岩澤 今までは手探りで施策を打ってきたようなところがありましたが、HRプロさんにサポートしていただくようになってからはかなり変化しています。
「そろそろ採用が始まるから、採用に絡めた話題を提供しよう」「サービス導入を検討する時期だから、広告を増やそう」「閑散期だから、広告を控えよう」などと、人事の方々の動向やスケジュールに合わせて、メリハリをつけたマーケティング戦略が立てられるようになりました。
間正 そういう意味で言うと、マーケティング全体の効率化や最適化にもつながったと感じます。私の場合、セールスの現場に足を運ぶ機会があまりなく、お客様の声を直接聞くことが少ないのですが、HRプロさんに作っていただいた調査レポート等を活用することで、人事の現状をある程度学ぶことができます。
さらにレポートをもとにした企画立案もでき、しかもコンテンツという財産まで残すことができるのはありがたいですね。この1年間で、顧客獲得単価が最も安い施策だったと言っても過言ではありません。
加えて、問い合わせや資料ダウンロードの数も増えてきていることから、人事の方々に対する認知度も間違いなく向上していると実感しています。
――それでは最後に、今後の目標や展望などをお聞かせください。
間正 会社全体の展望で言いますと、「NewsPicks」は個人向けサービスとして成長してきましたが、法人向けサービスとしても成長させたいと考えています。そのミッションを担っているのが我々のチームであることは言うまでもありません。チームの拡大が事業、そして会社全体の拡大につながっていきますので、まずはチームを成長させることを目指し、全員で一丸となって走っていきたいと思います。
岩澤 マーケティング全体の戦略としては、信じられないほどのスピード感が求められています。その中で法人向けサービスの認知度を一気に高めるためには、やはり今まで以上に露出を増やしていくしかありません。とはいえ、リソースも限られていますので、それを最大化するためには、HRプロのような外部の専門家の方々のノウハウや知見が必要不可欠です。今後とも引き続きご支援いただければありがたいです!
――ぜひ今後ともよろしくお願いいたします!