競合ひしめく適性検査市場での差別化は
――まずは倉本様がご担当されている「GPS-Business」についてご紹介ください。
倉本 GPSとはベネッセグループが独自に開発した社会で活躍するために必要な問題解決力を測定するアセスメントテストのことで、大学生を対象とした「GPS-Academic」は現在、年間27万人もの方々に受検いただいております。
大学の授業は、教養や専門性を高めると同時に、自分で課題を設定し、それを解決する能力を培う場でもあります。そしてその能力は、社会に出るとより必要とされるのです。そこで弊社ではこの「問題解決力」に着目し、テストを通じてそれを測り、きちんと可視化できるツールを開発いたしました。
同シリーズとして企業向けのサービス「GPS-Business」があり、主に採用や人材開発で活用いただいています。
「GPS-Business」を採用活動にご活用いただくことで、課題解決のためのベースとなる思考力やパーソナリティが可視化され、入社後の活躍や成長を予測することができます。また内定者に受けていただくことで適材適所な配置や、さらにその先の人材育成にも繋げていただくことも可能です。
――適性検査の市場は、現在どのような状況でしょうか? また競合サービスが多い中、どのような点で差別化を図られていますか?
倉本 一言で適性検査と呼ばれることが多いのですが、適性検査には様々な測定項目が存在します。よく知られている項目としては、言語・非言語を測る基礎学力型やパーソナリティやストレス耐性を測る性格型などがあります。多くの企業は、採用要件の中でも特に見極めたい項目について適正検査などを実施することで、自社の採用活動に活かしています。
そうした中、GPS-Businessは問題解決力の中でも、思考力を主に測定しています。冒頭お伝えした通り、社会では「問題解決力」が求められます。その能力を客観的な評価で見極めができることが、現在の適性検査市場での差別化ポイントだと考えています。
また音声や動画による出題形式も特徴の一つです。事前対策がしづらいため、受検者が持つ本来のポテンシャルをより正確に測定することができます。
GPSで実現できる価値を市場へ広めていくのがマーケティングとしての重要な役割
――「GPS-Business」ユーザーを増やしていくためには、マーケティングの役割がますます大きくなっていくと思われますが、御社の中ではマーケティング活動の重要性をどのように捉えていらっしゃいますか? またマーケティングにおける課題点がありましたら、お聞かせください。
倉本 おかげさまでサービスを開始してから多くの企業に導入いただき、採用や人材開発に加えて、最近ではインターンシップでの選考で活用いただくケースも増えてきました。しかしまだまだ営業やマーケティングを通じて認知度を高めていかなければなりません。そもそも「課題解決力」や「思考力」を測れることと、活躍できる人材を採用することが紐づいていない企業も多く、採用活動においてその点がいかに重要か、有効かを理解いただけるよう、啓発活動を強化していく必要があると考えております。また「GPS-Business」は応募数の多い企業や大手企業のほうがより効果が出やすい傾向にあるのですが、大手になればなるほど我々としては接触することが難しく、そうした企業との接点をいかに増やしていけるかも今後の課題ととらえています。
――認知度を高めるべく、具体的にどのような活動をされているのでしょうか?
倉本 例えば顕在化している課題に対しては、リスティング広告を活用するなどWebマーケティングを強化したり、インハウスのセミナーなどにも力を入れております。また時には直接お客様にお電話をして、「GPS-Business」の有益性をご説明するなど、泥臭い活動も実施。一方で、幅広くリーチしたい場合や、まだアプローチできていない大手企業と接点を作る場合には、御社が開催しているような大型イベント「HRサミット」に出展するなど、目的によって施策を使い分けております。ただいずれも「これをすれば100%」というところには至っておらず、まだまだ模索中の段階です。
――そうした活動において、特に意識していることや心掛けていることはございますか?
倉本 月並みではありますが、まずはきちんとターゲティングを設定して、理解を深めていき、そこに対して最適なチャネルを選んで、戦略から戦術まで落とし込んでいくということでしょうか。また大手企業に対してはプッシュ型の施策を行ってもあまり良い反応がないため、できるだけWeb広告などを通じたプル型の施策を実施。例えば「自社が採用したい人材を見極める」「インターンシップへの応募が多すぎて困っていませんか?」「人事業務の負担を減らしましょう」といったお客様のニーズを喚起するようなメッセージを発信するよう心掛けています。
HRプロが持つ知見・情報・人脈によって期待以上のコンバージョンを達成
――マーケティング施策の一環として、HRプロにおきましても大型イベント「HRサミット」への出展やメール配信等、さまざまなサービスをご利用いただいておりますが、特に手応えのあった施策などはございますか?
倉本 いずれの施策も手応えを感じておりますが、直近でいうとアンケート調査は我々にとって非常に満足度が高かったです。大手企業の人事担当者を対象に、新卒採用の課題をあぶり出すようなテーマで実施していただいたのですが、「〇〇に困っています」「××な工夫をしました」など採用現場の生の声をたくさん集めていただきました。先日ようやく集計が終わりましたので、今後はそのデータを基に、回答いただいた企業にアプローチをしたり、ホワイトペーパー化してお客様に見ていただいたり、営業戦略を考えるうえでヒントにするなど、さまざまな形で活用していきたいと思っております。
――その他に、得られた成果などがございましたらお聞かせください。
倉本 イベント関連で言いますと、今までは大まかな人事課題をテーマにセミナーなどを行っていたのですが、それだと「何となくいい話が聞けました」で終わってしまい、それ以上の発展がないんです。そこで今年は「大手企業のお悩みはこれ!」とテーマをピンポイントに絞り込んでHRサミットでの講演を行ったところ、受注に繋がったケースがありました。やはりこれは御社の的確なアドバイスや先ほどお話したアンケート調査などがあったからだと思っています。正直なところ当初の期待値としては、受注まで至らずとも大手企業のリードが獲得できればと思っておりましたので、そういう意味では期待以上の成果となりました。
また、HR領域で著名な方とコラボレーションをさせていただいたセミナーの案内を、HRプロのメールで配信したところ、問い合わせが70件近くもあり、非常に驚きました。改めて、ゲストの方の集客力とHRプロさんの掲載力の強さを感じた次第です。
――競合サービスと比較して、HRプロの強みはどのような点だと思われますか? また利用して良かったこと、弊社サービスに対する利用感などもお聞かせください。
倉本 我々のターゲットは大手企業の役職上位者の方々になるので、そこのリストをたくさん持たれているというのが一番の強みではないでしょうか。また、我々の部署はマーケティングのエキスパート集団ではあるのですが、一方でHR領域は常に業界の動向が変化するため、最新の情報収集が不可欠で、その方法に課題を抱えていました。そういう中で、人事に関する昨今のトレンドや課題などを適宜伝えてくださったり、人事の年間スケジュールがわかる人事カレンダーなど役立つコンテンツの提供など、そのサポート体制は非常に頼もしい限りです。我々だけでは得られない御社独自の知見・情報・人脈は、営業やマーケティング活動を進めるうえで今や欠かせないものになっています。
――では最後に、マーケティング活動における今後の展望や課題をお聞かせいただけないでしょうか。
倉本 引き続き「GPS-Business」の有効性と、「課題解決力」や「思考力」を測ることの意義を伝えていきたいと考えております。特に「課題解決力」や「思考力」に関しては、それが必要だと考えていらっしゃる企業がまだまだ多くはないので、今後はさらに認知向上を高める施策に注力していきたいです。また組織としても、獲得したリードを商談や受注へと繋げる仕組みも強化し、HRプロさんの力もお借りしながら、さらに強い体制づくりを目指していきたいと思っております。
聞き手:ProFuture株式会社 マーケティングソリューション部 サブマネージャー 正木 絵里加(左)