社員同士で“感謝”の報酬を送り合える『Unipos』
――まずは『Unipos』というサービスについて教えていただけますか?
柳川 『Unipos』は、“ピアボーナス”という少額の成果給を従業員同士で送り合えるサービスです。仲間に感謝したいとき、成果を称賛したいときなどに「いつもありがとうございます」といったメッセージとともにピアボーナスを送信することで、お互いを思いやったり、励ましたりすることができます。少額ながらもボーナスを受け取ることで、従業員のエンゲージメントや働きがいが高まるといった効果があります。
ベンチャー企業からライオン様など大手企業様にもご利用いただいており、現在は約200社様、ユーザー数は2万人を超えます。
――近年、「サンクスカード」(従業員同士で感謝や労りの言葉を書いて贈り合うカード)を導入している企業様が増えていますが、『Unipos』はどう違うのでしょうか?
柳川 お客様からも「サンクスカードのウェブ版ですか?」と質問されることがあります。サンクスカードを導入されている企業様は多いですが、運用していくうちに手間やコストもかかり、最初は興味を持ってカードを読んでいた従業員の皆様も、だんだん慣れてきてしまい、廃れていってしまうことがあるのですね。
それに対して、『Unipos』は少額といえどもボーナスが発生します。
そのため、送るときに恥ずかしさも感じづらいですし、支給された「おくれるポイント」は毎週月曜日にリセットされるので、もったいないと金曜日に一気に使ってしまう方も多いです。
ほかにも、さまざまな仕掛けをほどこすことで、人事の方が「ポイントを使ってください」と呼びかけなくても、“継続しやすい仕組み”となっております。
また受け取る側も、「ありがとう」という言葉だけでなく、少額でも報酬を受け取ることで、“会社から認められている”という気持ちを強く抱けるようになります。
――どのような企業様が導入されていますか?
柳川 最近増えているのが、オフィス整備やテレワークの導入など一通りの働き方改革を行った企業様からのご相談ですね。次のステップとして、従業員エンゲージメントや働きがいを高めるために、『Unipos』を検討してくださる企業様が多いです。
また以前より、新しいことに挑戦する組織風土を醸成したいとお考えの経営者の方々から数多くの引合いをいただいております。中長期的な企業成長のためにも、『Unipos』を使って新たな挑戦を認めていく組織文化を形成したいと考えている経営者の方から支持されています。
導入事例がきっかけでメディアにも取り上げられるように
――サービスのリリース当初、どのような媒体・方法を通じて、マーケティング活動を行っていましたか?
柳川 そもそも『Unipos』のサービス自体が既存の製品カテゴリーに分類されるものではなく全く新しいサービスでしたので、「これは一体なんだ。なんのためにあるんだ。」というイメージがつかない認知ゼロの状態からマーケティング活動がスタートしました。
「従業員同士が出し合うボーナスがあるんですよ」という認知をまず広めないといけないうえに、「導入することによって、働きがいやチームワークを強化したり、エンゲージメントを高めたりできる」という認知も広めていく必要がありました。
そのなかで最初に取り組んだのはティザーサイトです。サービスの詳細を伝えないプレサイトのような形でサイトをオープンし、そのサイトからのリード獲得を開始しました。リリース1ヶ月前にオープンしてプレスリリースを打ったら1日で300件程問い合わせがありました。その翌月にメディアの方々もお招きし100名規模のローンチイベントを実施しました。
そのイベントから本格的にマーケティング活動が始まり、特に力を入れたのが導入事例の作成です。お客様自身がどういう課題感で導入し、どの程度満足されているのか、お客様の声ほどサービスを成長させるものがないと考えていました。
取材を通じて、サービスに対するフィードバックを集めて、製品をどんどん改良していきました。同時に、お客様に取材記事をSNSなどでシェアしていただき、それをご覧になった経営者の方から「話を聞いてみたい」と問い合わせをいただきました。
口コミでサービスの認知度が高まるうえに、お客様のフィードバックを通じてサービスを改善できて一石二鳥の施策が導入事例でしたね。
さらに導入事例ブログの記事を読んだメディアの方が、ピアボーナスについて導入企業様に再度取材してくださることもありました。
また、導入企業様がUniposを活用した取り組みについてコーポレートサイトや採用ブログなどで発信してくださることも増えました。Unipos活用エピソードによって、お客様のコーポレートブランディングにも寄与できていましたら、大変うれしく思います。
――どのくらいの本数の導入事例を作成したのですか?
柳川 リリースから2年弱で50本以上の導入事例を作成しています。地方のお客様にはウェブを使って、遠方ではないお客様先には足を運び、「BtoBはとにかく事例」とわき目を振らず導入事例を作り続けました。
――月に数本のペースで非常に多くの導入事例を作られましたね。
HRプロ掲載後、大手企業からの問い合わせが増加
――HRプロでプロモーションを開始したきっかけは何だったのでしょうか?
柳川 先ほどもお話した通り『Unipos』は最初、ベンチャー企業を中心に広まったサービスですが、「従業員エンゲージメントや働きがいを高めて、生産性をあげたい」といった課題は大手企業様も同様に抱えていると感じていました。そのため、大手企業の人事担当者様がよく閲覧しているウェブサイトを探した結果、HRプロにたどり着き掲載を申し込みました。
――実際に掲載してから、どのような反響がありましたか?
柳川 HRプロの会員向けメールにメルカリ様の導入事例を掲載していただいたときの反響は大きかったです。『Unipos』は既存のジャンルにはない新しいサービスなので、HRプロの会員の方に理解いただけるのか、興味を持っていただけるのか不安でした。
――大手企業様の導入実績はサービス自体の信用性が上がりますし、かつ、会員の方には導入してからの具体的な実感を得やすい部分はあると思います。
柳川 そうですね。HRプロへの掲載のほか、昨年1年間を通して実施したすべての外部施策のなかで、最も費用対効果・満足度が高かったのがHRプロさんでした。ターゲット含有率も非常に高く、かつ、ターゲットのリード獲得単価が最も低かったです。
オフライン施策であるHRサミットにも参加させていただいたり、オリジナルコンテンツを一緒に作成したりと、HRプロと一連の取り組みを通して、大手企業様の間での認知は間違いなく向上しました。現在では、大手企業様から非常に多く引合いをいただいています。
また、外部メディアを利用したのは初めてだったのですが、最初はインバウンドで自社サイトからのダウンロードと比較すると、正直、温度感が低いという印象でした。
メルカリ様などの導入事例を見て「ちょっと気になったから電話をかけてみました」といった温度感の問い合わせが多かったため、外部メディアを通して獲得したリードにはまだまだナーチャリングが必要と認識しました。
その後、インサイドセールス部門が立ち上がりナーチャリングの体制を整えてから上手く回り始めるようになり、外部施策の効果を最大限に活かすにはナーチャリングがセットで必要ということを強く感じました。
――弊社の営業担当や制作担当はいかがでしょうか?
柳川 担当営業の方は、不思議なぐらい弊社のブランドイメージをしっかりコンテンツに反映してくださり、弊社の目標に対しコミットしてくださいます。弊社からの要望にはいつも迅速に応えてくださり本当にありがたいです。
制作されているライターやデザイナーの方と、ものすごく密に連携されていると感じています。
HRプロさんはプロジェクトの目的と大きな考慮点をお伝えするだけで、スピーディーに弊社の意図に沿った対応をしてくださるので、現在は細かなところはあまりやり取りせず、すべてお任せしています。
――そんなありがたいお言葉をいただけて本当に恐縮です。
――今後、取り組んでいきたい施策はありますか?
柳川 2019年は、さらに取り組みの規模を大きくして、より連携を強化しつつマーケティングコミュニケーションを設計していく予定です。ただのリード獲得だけではなく、その後のナーチャリング、さらに商談を見据えた骨太なコンテンツ開発を実施していきます。 BtoBの企業の方々には、ぜひHRプロをおすすめしたいです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。