市場はオンプレミス型からクラウド型へ
まずは御社の事業内容やサービスの特徴についてお聞かせいただけないでしょうか。
サムトータル・システムズは、タレントマネジメントやラーニングマネジメントを中心とした人材管理・人材育成に関するツールを総合的に提供するソフトウエア企業です。その領域は、LMSを中核として、採用からオンボーディング、スキル開発、CDP、目標管理、パフォーマンス評価など幅広く、私たちはこれらを総じてタレントデベロップメントと呼んでいます。
お客様にご導入いただく際は、これらの中から必要なものとそうでないものを選り分けて、自社に合った形でカスタマイズしていただいておりますが、途中で他の機能を活用したくなったら、簡単に設定を変更することで機能を追加することが可能です。
サムトータル・システムズならではの強みはどこにあるとお考えですか?
タレントマネジメントの各機能とラーニングへのシームレスな連携を行うことで、より高度な人事評価・育成を実現できるところだと思います。こうした連携の仕組みこそ、他のベンダーにはないサムトータルならではの強みと言えるでしょう。また弊社の製品は、全世界で3,500企業、4,500万人のユーザー様に、さらにクラウドサービスにおいては1,700万人を超えるユーザー様にご利用いただいており、日本でも20年の事績があります。
こうした幅広いお客様への導入・運用支援を通じて、さまざまな解決策を導き出してきました。そこから培われた高い経験値も私たちの強みの一つです。実際多くのお客様から厚い信頼をいただいており、契約の継続率も95%と、長期にわたって使っていただいております。
御社が提供されているタレントマネジメントシステムやラーニングマネジメントシステムのマーケットは、近年どのような変化が起こっているのでしょうか?
まずシステムの観点で言いますと、弊社は約20年前に日本の市場に進出しましたが、当時はまだ自社内にコンピュータ設備を構えるオンプレミス型がほとんどでした。その後、世の中に徐々にクラウドが広がり、オンプレミス型からクラウド型へと移行するユーザーが増加。同時にクラウドに特化したタレントマネジメントシステムやラーニングマネジメントシステムのベンダーも増え、市場はますます競争が激化してきましたが、弊社のお客様のほとんどはオンプレミスからクラウドにシフト後も、そのまま弊社サービスを継続してお使いいただいています。
やはりお客様目線になると、オンプレミスの場合、Windowsのバージョンやメンテナンスの期限、ハードウエアの保守などに注意を払わなければなりませんが、クラウドの場合、そういった心配をする必要が一切ないため、管理もしやすく、そういう意味では導入ハードルがどんどん下がり、マーケットの裾野が広がってきている印象です。
ちなみにタレントマネジメントそのものについては、企業様によって定義がだいぶ異なり、導入の相談は多いのですが、よくよく話を聞いてみると、「人材の見える化を進めたい」、「従業員のスキルを管理したい」、「目標管理のためのツールはないか?」などなど、ニーズは非常に細分化されています。
そしてもう一つ、人事を取り巻く世界もこの数年で大きく変わってきました。ご存知のように人事の領域では欧米が日本を大きくリードしており、例えばアメリカの企業には、CHOやCHROといった人事専門の最高責任者が経営陣の中には必ずいます。一方日本の場合、少なくとも20年前にはそういったポストはまったくなかったのですが、近年になり人事の重要性が企業の中で認識され始め、経営陣の中に人事のスペシャリストが置かれるケースが増えてきました。こうした経営を推進する戦略人事の風潮は、人事機能の高度化・効率化というニーズにも繋がってきていると思います。
デジタルマーケティングへと軸足をシフト
御社は現在どのような形で営業・マーケティングに取り組まれているのでしょうか?また今後注力していきたいポイントや課題などがあればお聞かせください。
これまで営業・マーケティング活動に関しては、セミナーに参加してお話をする、HRのベンダーが集まる展示会に出展する、メールを通じて情報を提供する、という3つの手法が中心でした。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で、実際に会場に人が集まるセミナーやイベントが開催できない状況になったため、今年の3月あたりからより本格的にデジタルマーケティングに方針をシフトし、現在はウェブで人を集めて、ウェブから問い合わせをしていただき、ネット中継で説明を行うという方向に軸足を移しています。
ただし、デジタルマーケティングといってもコストをかけて派手にやるということではなく、FacebookやTwitter(米国本社では、LinkedInも活用)などを通じて地道に情報を発信し、そこからホームページに集客して、資料のダウンロードや問い合わせへと繋げていきたい意向です。また今後は動画コンテンツの配信やウェビナーの開催などにもより一層力を入れ、デジタルマーケティングを中心にサムトータル・システムズの名前や製品を広めていきたいと考えています。
「HRプロ」でプロモーションを始められたきっかけは何だったのでしょうか?
私がマーケティングの担当になったのは約10年前のことですが、それまで弊社では媒体に出稿するという考えをあまり持っていませんでした。しかし当時のサムトータル・システムズは、アメリカでの知名度は高いものの、日本ではまだまだ認知されておらず、いかに名前を広めるか、認知度を向上させるかが大きな課題となっていたのです。
そこで認知度を上げる取り組みの一環として、さまざまな媒体への出稿を検討しました。自社に相応しい媒体をいろいろと探した結果、辿り着いたのが「HRプロ」でした。実は当初は「HRプロ」も3つ、4つあった候補のうちの一つに過ぎなかったのですが、競合会社さんと比較する中、御社の考えておられることと我々のビジョンが一致したため、柔軟な対応をしていただけるということや提供価格も検討範囲だったため、それならばあちこちの媒体に広く薄く出稿するのではなく、「HRプロ」にある程度集中して、深くきっちりやっていこうと決めた次第です。
長年「HRプロ」をご活用いただいている中で、特にどのような点をご評価いただいているでしょうか?
我々の細かい要求をきちんと聞いていただき、そのうえでフレキシブルに対応していただけるのが何よりありがたいです。我々は外資系のスタイルを日本に持ち込んでいるため、自分たちのやり方が必ずしも日本に合うとは思っていませんが、とはいえ、「日本のやり方はこういう風に決まっているので、こういう形でやりましょう」といった一方的なスタンスを取られると、我々の方針通りにビジネスを進めることができません。
そういう意味でも、うまく調整しながら柔軟に対応してくれるパートナーさんとお付き合いをすることは、我々のビジネスを展開するうえでは非常に重要だと考えています。
Withコロナの時代に重要性が高まるオウンドメディアを通じた情報発信
現在「HR SEO」をご活用いただいておりますが、そもそもどのような背景でご利用に至ったのでしょうか?
イベントやセミナー中心のマーケティングからデジタルマーケティングへの移行を検討する中で、オウンドメディアの有効性に着目し、導入を決めました。また新型コロナウイルス感染拡大の影響でリアル・対面による営業活動が制限される中、販売チャネルを増やしたい意向もあります。
実際に取り組まれる中で、SEOの重要性をどのように感じられていますか?また今後取り組んでいきたいことがあればお聞かせください。
これもやはり新型コロナウイルス感染拡大の影響ですが、リモートワークが広がったことで以前よりネットを見る時間や検索にかける時間が増えてきていると思います。そういう意味でも、Withコロナの時代においてオウンドメディアを通じた情報発信は非常に重要になっていくでしょう。
ただ一方で我々としては、具体的な効果が見えづらいため、一体どこまでやればいいのか迷っている面もあります。よって今後はコンバージョン過程の検証やコンバージョン率など、きちんと数値化していくことが課題です。
また、単に検索してサムトータルが見つかっただけでは意味がありません。少し見たら何か役に立つことが書いてある、だからさらにじっくり読みたい、詳しく聞いてみたい…といったステップが重要で、そのためには記事のクオリティをより高めていく必要もあります。いずれにせよオウンドメディアを通じた情報発信に関しては、現状行っている範囲のことを地道に継続していきたいと思っています。
今挙げられた課題点については、弊社としても最大限お手伝いができればと思います。最後に、ProFutureに対してご要望などがございましたらお聞かせください。
従来のセミナーやイベントはもちろん、オウンドメディアやコンテンツづくりなど、引き続き自分たちではできないことを包括的にサポートいただければ幸いです。またサムトータル・システムズの知名度を向上させるために、今後もさまざまな企画でマーケティング活動を行いと思っていますので、期待しています。