ミレニアル世代とは、2000年代の初頭に成人または社会人になった世代を指す言葉です。具体的には、1980年代~1990年代後半にかけて生まれた人たちがこの世代に該当します。総人口の2割以上をミレニアル世代が占めており、社会に大きな影響を与えつつあります。
ミレニアル世代の最大の特徴は、物心ついた頃からPCやインターネット、SNS、スマートフォンなどのデジタル技術に触れていることです。そのため、高いデジタル技術への親和性を持っているのが特徴です。
この世代はデジタルネイティブとも呼ばれ、テクノロジーを日常生活や仕事に自然に取り入れる傾向があります。
近年では企業の購買担当者の多くがミレニアル世代となっているため、マーケティング戦略をミレニアル世代に絞り込んでいくことは必須の状況となっています。特に、BtoBマーケティングにおいては、ミレニアル世代の特性を理解し、彼らの価値観や行動パターンに合わせたアプローチが求められています。
この記事では、ミレニアル世代の特徴、およびミレニアル世代に向けたマーケティングのポイントについて徹底的に解説します。デジタル時代における消費行動の変化や、ワークスタイルの新たなトレンド、そしてミレニアル世代特有の価値観などを踏まえながら、効果的なマーケティング戦略の立て方を探っていきます。
<ほかの世代に関する記事>
・α世代とは? 次世代を担うα世代の特徴から見た マーケティングのポイントを徹底解説
・Z世代とは何歳でなぜZ?特徴、X・Y世代との違いを簡単に解説
・テックネイティブとは?Z世代、アルファ世代の意味とともに解説
・シニアマーケティングのリーティングカンパニーに聞く「ハルメク」成功の秘密
目次
ミレニアル世代とは?
ミレニアル世代は、2000年代の初頭に成人または社会人になった世代を指す言葉です。具体的には、1980年代~1990年代後半にかけて生まれた人たちです。日本においてもアメリカにおいても、総人口の2割以上がミレニアル世代となっています。
ミレニアル世代の最大の特徴は、デジタルネイティブであることです。物心ついた頃からPCやインターネット、SNS、スマートフォンなどのデジタル技術に触れているため、高いデジタル技術への親和性を持っています。
また、ミレニアル世代は成長過程において、金融危機や格差の拡大、気候変動の問題など、厳しい社会状況を経験しています。そのため、それまでの世代とは大きく異なる特徴を持っています。
<ミレニアル世代の特徴>
- デジタル技術に対するリテラシーが高い
- 仕事は携帯端末を使用して場所を問わない
- 社会問題にも関心を持っている
- 仕事だけでなく私生活も重視する
ミレニアル世代が社会の中核となるにつれ、彼らの特有の価値観が世界に大きな影響を及ぼすと考えられています。特に、近年では企業の購買担当者の多くがミレニアル世代となっているため、BtoBマーケティングを行う上でも、ミレニアル世代の特徴を考慮に入れることは不可欠となっています。
このように、ミレニアル世代は従来の世代とは異なる特徴を持ち、デジタル技術を活用した新しいライフスタイルや働き方を実践しています。彼らの価値観や行動様式を理解することは、現代のビジネスや社会を理解する上で重要な要素となっています。
関連記事:マーケティングとは?基礎から重要ポイントまで初心者にも分かりやすく解説
ミレニアル世代のライフスタイル・消費行動における特徴
ミレニアル世代は、デジタル技術への高い親和性や独特の価値観を持ち、従来の世代とは異なる消費傾向を示しています。
それではミレニアル世代の特徴を詳しく見ていきましょう。
1. デジタル技術に対する高い親和性
ミレニアル世代の特徴としてまず言えることは、デジタル技術に対する高いリテラシーです。
物心ついた頃からPCやインターネット、SNS、スマートフォンを利用してきているために、デジタル機器に対する知識は豊富で、情報リテラシーも高いです。
たとえば、何かわからないことがあったとき、以前の世代であれば「人に聞く」ことが一般的だったのに対し、ミレニアル世代は「ネットを検索する」ことを当たり前に行います。
ネットを検索することは、一般に「ググる」といわれることもあります。しかし、さらにミレニアル世代は、グーグルなどの検索エンジンより、ツイッターやインスタグラムなどSNSを検索し、実際の口コミ情報を得ることを重視するといわれます。
ミレニアル世代はこのように口コミを重視する特徴があることから、一般に広告をあまり信用しないといわれています。それどころかミレニアル世代は、「広告ブロッカー」などを使用し、ネットを利用する際に広告を表示させないようにする人も多くいるようです。
その一方で、ミレニアル世代は「インフルエンサー」の言うことは聞き入れやすい傾向があります。インフルエンサーとは、自分が購入した商品やサービスについての口コミをSNSで拡散する人のことです。インフルエンサーは、ミレニアル世代の消費行動に大きな影響力を持つようになっています。
このようなデジタル技術への高い親和性は、ミレニアル世代の仕事や生活のあらゆる面に影響を与えています。例えば、オンラインショッピングやデジタル決済の利用頻度が高く、デジタルツールを活用した効率的な仕事の進め方を好む傾向があります。また、ミレニアル世代は新しいテクノロジーの採用にも積極的で、AIやIoT(インターネットにモノをつなげる技術)などの最新技術にも抵抗感が少ないことが特徴です。
関連記事:SNSとは?2025年版の最新一覧:種類・特徴・目的別に徹底比較
2. モノの所有に固執せず、仲間とのつながりを大切にする
ミレニアル世代の特徴として、「モノ」の所有に固執しないことがあげられるといわれます。以前の世代は、家電製品や自動車、住宅、洋服やアクセサリーなどを所有することにこだわっている人が多くいました。「マイホームの購入」は、多くの人にとって人生の目標となっていたこともあります。
ところが、ミレニアル世代は「シェアリングサービス」を活用する人が多くいます。フリマやカーシェアリング、ルームシェアなどを利用することに躊躇することは少ないです。これは、以前の世代と比較して、収入が減少していることも大きな要因になっているでしょう。また、これはミレニアル世代に限りませんが、サブスクリプションサービスの活用により、モノを所有する機会は少なくなっています。
それでは、ミレニアル世代が何を重視するかといえば、「仲間とのつながり」だといわれます。ミレニアル世代は、SNSで自らが情報を発信する人が多くいます。SNSにおいては、発信された情報に共感する人たちがゆるやかなつながりを作っていきます。そのような「仲間」とのつながりを、ミレニアル世代は大切に思っています。
またミレニアル世代は、以上のようにコミュニケーションを重視することから、お金にはそれほど執着しないといわれています。お金より重視するのは、SNSを通じた仲間からの評価です。「インスタ映え」の言葉が流行したことからもわかるとおり、ミレニアル世代には、高い評価を得られる写真を撮影したり、投稿を作成したりすることに努力を惜しまず、承認欲求を満たそうとする人が多くいます。
このような特徴は、ミレニアル世代の消費行動にも大きな影響を与えています。例えば、高価な商品を購入するよりも、体験や思い出を共有できるサービスにお金を使う傾向が強くなっています。また、環境に配慮した商品やエシカル消費にも関心が高く、自分の価値観に合った商品やサービスを選択する傾向があります。
関連記事
・マズローの欲求5段階説とは?マーケティングに活用する方法
・消費者の建前と本音に見る「エシカル消費」の実態:明治大学 加藤拓巳氏が語るブランドマネジメントの重要性とマーケターの役割
・エシカル消費の進化とマーケティングの未来:HRテックの成功事例やコンセプトの重要性を専門家が解説
・エシカル消費とは?意味や重要性を具体例で解説!
3. 社会問題への高い関心
ミレニアル世代は、社会問題に高い関心を持つ人が多いことも特徴だとされています。
ミレニアル世代が育った時代には、オウム真理教地下鉄サリン事件やアメリカ同時多発テロなどの大事件、阪神淡路大震災や東日本大震災などの大災害、リーマンショックに端を発する経済的な苦境、あるいはセクハラやパワハラなどの労働問題など、数多くの事件や社会問題が発生しました。
そのために、ミレニアル世代は社会情勢に対する感度が高く、ボランティア活動などの社会運動に積極的に参加する人も数多いといわれます。ミレニアル世代が社会運動に参加するようになったことにより、ツイッターなどのSNS上で世論が大きく形成されるケースも増えています。
また、ミレニアル世代は環境問題や持続可能性(サステナビリティ)にも強い関心を持っています。気候変動や地球温暖化、プラスチックごみ問題などのグローバルな環境課題に対して、自分たちにできることを積極的に実践する傾向があります。例えば、エシカル消費を心がけたり、環境に配慮した製品を選んだりするなど、日常生活の中で社会的責任を果たそうとする姿勢が見られます。
このようなミレニアル世代の特徴は、企業の社会的責任(CSR)活動や環境・社会・ガバナンス・ESGへの取り組みにも影響を与えており、企業側もこれらの要素を重視する傾向が強まっています。
4. 高い独立意識とワークライフバランス重視
ミレニアル世代の特徴として、高い独立意識とワークライフバランス重視があげられます。従来の年功序列や終身雇用制度が崩壊した結果、ミレニアル世代は企業内での出世を強く求めなくなっているといわれています。
企業内でのキャリアアップよりも、以下のような選択肢を志向する人が増えています:
- 副業で収入源を複数作る
- 転職する
- フリーランスとして独立する
ただし、これは「向上心が薄い」ということではありません。以前のように「会社に忠誠を誓う」形で仕事をする人は減っていますが、転職や独立を視野に入れ、スキルアップや資格の取得などに積極的に取り組む人が増えているのです。
また、ミレニアル世代はプライベートを重視する傾向が強いです。高度経済成長期やバブル期に育った世代は、プライベートより仕事重視が特徴でしたが、ミレニアル世代は私生活も大切にしているため、残業などには否定的な人が多いです。
残業代をもらえなくても、プライベートの時間が充実した方がよいと考える人が増えています。そのため、就職や転職に際しても、給与などの待遇よりも、むしろ福利厚生やワークライフバランスを重視する人が増えています。
ミレニアル世代の多くは、仕事とプライベートの両立を図りつつ、自己実現や個人の成長を追求する傾向があります。このような価値観の変化は、企業の人事制度や働き方改革にも影響を与えており、フレックスタイム制やリモートワークなどの柔軟な勤務形態を導入する企業が増加しています。
関連記事:ワークライフバランスは古い?定義や取り組み事例、リモート時代に適した新たな考え方を解説!
ミレニアル世代を考慮に入れたBtoBマーケティングのポイント
ミレニアル世代を考慮に入れたBtoBマーケティングのポイントを見てみましょう。
企業の購買担当者は、近年では多くがミレニアル世代となっています。ミレニアル世代の特徴を考慮に入れたマーケティングを行わなければ、BtoBにおける販売活動もスムーズに行うことが難しくなってきています。
デジタルネイティブであるミレニアル世代の購買担当者に対しては、従来の対面営業中心のアプローチだけでは不十分です。彼らはインターネットを駆使して情報収集を行い、製品やサービスについて深く理解した上で購買の意思決定を行う傾向があります。
そのため、BtoB企業はオンライン上での情報発信を強化し、購買担当者が必要とする情報を容易に入手できるようにすることが重要です。具体的には、自社のウェブサイトやSNSを通じて、製品の詳細情報、業界動向、課題解決事例などの有益なコンテンツを提供することが効果的です。
関連記事:インバウンド営業とは?手法やメリット、アウトバウンド営業との違いを解説!
また、ミレニアル世代は「共感」を重視する傾向があるため、単なる製品情報の提供だけでなく、企業の理念や社会貢献活動などの価値観を共有することも、マーケティング戦略の重要な要素となります。
さらに、ミレニアル世代は新しいテクノロジーに抵抗感が少ないため、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などを活用した製品デモンストレーションや、AIチャットボットによる24時間対応のカスタマーサポートなど、革新的なアプローチも効果を発揮する可能性があります。
ネットでの情報収集を重視
ミレニアル世代の最大の特徴は、デジタルネイティブであることです。
以前であればBtoBの販売活動は、営業担当者が企業を訪問し、購買担当者と話すことが中心でした。購買担当者との会話を通じ、営業担当者は企業が抱える課題やニーズをつかむことができました。
しかし、購買担当者の多くがミレニアル世代となっている近年、そのようなプッシュ型の営業手法は大きな効果を上げられなくなりつつあります。購買担当者が、営業担当者とのコミュニケーションによるのではなく、ネットで情報収集をすることが増えているからです。
ミレニアル世代の購買担当者は、デジタル技術に精通しており、オンラインでの情報探索を好む傾向があります。
ある調査によれば、「営業担当者ではなくネットで情報収集をしたい」と考える購買担当者は「7割」にのぼるとされています。実際に、ネットからの情報のみで、商材の評価基準や購買先リストまでを完成させる購買担当者も非常に多くなっています。
このトレンドは、ミレニアル世代の購買担当者が増加するにつれて、さらに強まると予想されます。
したがって、BtoB企業にとっては、ネットでの情報発信に力を入れることは必須の状況となっています。
特に、ミレニアル世代の購買担当者が求める情報を、適切なフォーマットで提供することが重要です。
例えば、詳細な製品情報、比較データ、ユーザーレビューなどを、ウェブサイトやソーシャルメディアを通じて効果的に発信することが求められます。
ネットでの情報収集への支援が大きなポイント
企業はネットでどのように情報発信すればよいのでしょうか。それは、「購買担当者のネットでの情報収集をどのように支援できるか」が大きなポイントになるといえます。
まず重要なのは、購買担当者の購買行動は多くの場合に「ネットの検索」から始まることです。したがって、購買担当者が抱える課題やニーズを解決するためのコンテンツの作成が重要となってきます。
BtoBの購買活動は、課題の特定や解決策の発見、仕様の具体化、仕入れ先の選定など、複雑で多岐にわたります。したがって、購買担当者の、購買プロセスにおける課題やニーズを解決するためのコンテンツは特に重要であるといえます。
また、ミレニアル世代は「共感」を重視することが大きな特徴となっています。したがって、コンテンツを作成する際には、企業や商品・サービスにたいする購買担当者の共感を得られるブランディングも必要となるでしょう。
ミレニアル世代の購買担当者に対しては、従来の営業手法だけでなく、デジタルマーケティングを活用したアプローチが効果的です。例えば、SEO対策を施したブログ記事やホワイトペーパーの提供、ソーシャルメディアを通じた情報発信などが挙げられます。
これらのコンテンツは、購買担当者が必要とする情報を適切なタイミングで提供し、自社製品やサービスの価値を理解してもらうための重要なツールとなります。
まとめ
◆ ミレニアル世代とは2000年代の初頭に成人あるいは社会人になった世代のこと
◆ デジタル技術に対する高いリテラシーや、仲間とのコミュニケーションを大切にすること、社会問題への感度が高いこと、私生活を重視することなどが特徴
◆ ネットでの情報収集を重視するミレニアル世代の購買担当者へは、ネットの情報収集支援を中心とするマーケティングが重要
◆ ミレニアル世代は広告よりも口コミやインフルエンサーの意見を重視する傾向があるため、SNSを活用したマーケティング戦略が効果的
◆ BtoB企業は、ミレニアル世代の特徴を理解し、デジタルコンテンツの充実や共感を得られるブランディングなど、新しいアプローチを積極的に取り入れることが求められる