市場を拡大し、企業業績向上を目指すための施策としてエリアマーケティングがあります。
エリアのターゲットを絞ってマーケティングを実行していくことは、理論上は効率的ですが、現実的な取り組みとしては、市場分析などによる裏付けと見極めが必要となります。
今回はエリアマーケティングに注目して、概念と戦略を解説します。
エリアマーケティングとは？
エリアマーケティングとは、エリアを絞ってビジネスを展開する手法です。
そのためには、対象となるエリアの分析が必要です。
エリアマーケティングの分析には、対象とするエリアの総合的な分析、自社のビジネスが成り立つかどうかなどの商圏分析や、エリア進出で自社が成果を出せるかどうかの見極めが必要です。
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どのエリアにビジネスを仕掛けるかの見極め
エリアマーケティングのスタートにあたっては、エリアの総合的な情報が必要です。
エリア分析によく使用されるのが、国勢調査のデータです。
国勢調査は、総務省統計局によって、5年ごとに、調査項目を変えて、日本国内の人口、世帯、産業構造などの調査を行います。
国勢調査のデータによって、自社のビジネスに適したエリアはどこかを探したり、ビジネスの進出を検討しているエリアの基本的な情報を見たりすることができます。
他にも専門的にエリア分析を実施している企業に調査・分析を依頼したり、エリア分析を行っている企業が公開している分析資料も参考にします。
商圏分析
BtoBマーケティングにおいては、エリアの基本的な情報の他にもクライアントの属する業界の事業所数や企業規模などの情報も必要になります。
データをもとに自社のビジネスに適したエリアはどこかを探したり、ビジネスの進出を検討しているエリアを具体的に分析していくことを「商圏分析」といいます。
「商圏分析」は、実際の地図上に、情報を落としこむ方法がとられるケースがあります。
自社の実店舗を置くのか、営業スタッフの営業をかけていくエリアを設定するのか、対象クライアントの市場としてのボリュームや事業所の場所、自社の実店舗の場所や営業スタッフの活動エリア、競合他社の実店舗場所などを、現実の地図上に落としこむことで、市場の全体像が視覚的に浮き上がることが期待できます。
商圏分析の手順例としては次の3ステップがあげられます。
① ターゲットエリアの自社の商圏を明確化する
エリアマーケティングにあたって、既に自社がビジネスを展開しているエリアであれば、取引先企業の場所や規模、営業担当者の活動範囲などを把握します。
自社がビジネスを展開していないエリアに進出するのであれば、ターゲットとなる企業の場所や規模を参考に、将来的に望むべき自社の商圏を設定します。
② ターゲットエリアの商圏情報をさらに分析する
自社が把握しているデータが整理できて明確化されたら、国勢調査のデータや専門的にエリア分析を実施している企業のデータなどを活用して、商圏の情報を数値的に集計していきます。
③ 商圏分析の結果をエリアマーケティングに活かし共有する
商圏分析の結果を、自社のビジネスに適したエリアであるか、ビジネスの進出を検討していくべきエリアであるのかといった、エリアマーケティングに活かせるデータとしてまとめ、意思決定をする上席や経営層に報告や提案を行い共有化します。
進出で成果を出せるかの分析
商圏分析を行ったエリアにエリアマーケティングをかけて、成果を出せるかどうかは重要です。
失敗の確立をできるだけ下げるためにも、商圏分析は複数のエリア候補で実施し、最適なエリアを決定していくのが一般的です。
実店舗の進出ではアクセスの問題、営業担当者の営業エリアに加えるのであれば、交通事情なども必要な情報になるでしょう。
さらに、対象エリアにおける競合他社の情報も重要です。
エリアマーケティング戦略
どのエリアにビジネスを仕掛けるかの見極めである「商圏分析」はエリアマーケティング戦略の基本です。
商圏分析を基本としたエリアマーケティング戦略には次の4点があげられます。
1.売上・需要などの予測
商圏分析候補にあがったエリアでエリアマーケティングを実施することで、自社がどのくらいの売り上げを得ることができるかという点と、自社の商品やサービスが、エリアでどのくらい需要があるかという点を予測し、目標を立案し、行動目標を設定します。
2.販売促進
エリアマーケティングを実施するエリアで、集中的に営業担当が営業を行ったり、エリアを意識した広告などを行います。
3.顧客企業対策
エリアの自社クライアントを分析し、クライアントサービスの品質向上や、優良なクライアントに対してサポートを強化します。
4.営業サポート
エリアマーケティングを実施するエリアで、営業に関わるスタッフが効率的で最適な活動を行えるように、担当テリトリーの最適化、細分化を行います。
まとめ
◆エリアマーケティングとは、エリアを絞ってビジネスを展開する手法
◆エリアマーケティングのスタートにあたっては、エリアの総合的な情報が必要
◆データをもとに自社のビジネスに適したエリアはどこかを探したり、ビジネスの進出を検討しているエリアを具体的に分析していくことを「商圏分析」という
◆商圏分析の手順例としては「ターゲットエリアの自社の商圏を明確化する」「ターゲットエリアの商圏情報をさらに分析する」「商圏分析の結果をエリアマーケティングに活かし共有する」がある
◆エリアマーケティング戦略には「売上・需要などの予測」「販売促進」「顧客企業対策」「営業サポート」などがある
