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差別化戦略とは?メリット・デメリットと企業の成功事例をご紹介

2024.3.5
読了まで約 4

差別化戦略は、マイケル・ポーターにより「競争優位の戦略」の1つとして提唱されました。

差別化戦略では、競合他社に対して圧倒的な差別化を図ることにより、高くても売れることを目指します。

この記事では、差別化戦略の意味、IBMの差別化戦略、およびモスバーガーの差別化戦略の成功事例ついて解説します。

 

差別化戦略とは?

差別化戦略とは、他社との差別化を図ることで競争優位を実現しようとする戦略です。

経営学者マイケル・ポーターにより「競争優位の戦略」の1つとして提唱されました。

マイケル・ポーターによって提唱された「競争優位の戦略」では、企業の基本戦略として、

1.コストリーダーシップ戦略
2.差別化戦略
3.集中戦略

の3つがあるとしています。それぞれの意味は以下のようなものとなります。

 

1.コストリーダーシップ戦略

コストリーダーシップ戦略は、幅広いターゲットを対象に「低価格」を武器として業界の主導権を握る戦略です。徹底した原価低減を行なうことで平均並みの製品を低価格で販売し、「安く売っても儲かる」仕組みを作ります。

コストリーダーシップ戦略を採用している企業として、マクドナルドやユニクロ、ニトリ、ヤマダ電機などが知られます。

 

2.差別化戦略

差別化戦略は、やはり幅広いターゲットを対象とし、「他の企業が持たない特徴」を生かすことにより、業界で特異な地位を占める戦略です。

差別化戦略の代表例は高級ブランドメーカーです。

顧客が「魅力的」と感じるブランド力を追求することにより、高くても売れる仕組みを作ります。

差別化戦略を採用している企業として、モスバーガーやオリエンタルランド、任天堂、ドン・キホーテ、スターバックスなどが知られます。

 

3.集中戦略

集中戦略は、特定の地域や消費者などに経営資源を集中させることにより、コストリーダーシップまたは差別化を推し進める戦略です。

資本や規模が比較的小さな会社でも、特定の顧客層に対しては大企業にも対抗できるようになります。

集中戦略を採用している企業として、スズキやシャープ、オリンパス、しまむらなどが知られています。


IBMの差別化戦略

コンピュータ界の巨人として常に業界をリードしてきたIBMは、ビジネスに活用されるIT技術の時代による変化に対応し、自らの強みを生かしつつ新たな立ち位置を獲得する差別化戦略に乗り出しているといわれます。

その先駆けとして、PCサーバ事業をレノボに売却したのに続き、半導体製造事業を他社に売却しました。

IMBが目指しているのは、

1.クラウド管理ソフトウエア
2.オープン化によるクラウドの下支え
3.SoEでのメインフレームの活用

における他社との差別化であるといわれます。

 

1.クラウド管理ソフトウエア

コンピュータの処理能力が向上し、ハードウエアの価格が劇的に安くなっていくことにより、IBMのPCサーバ事業は優位性を失いました。

そこへさらにクラウドが登場することにより、IBMは、PCサーバ事業のみならず半導体製造事業も売却し、「クラウドを管理するソフトウエアの提供」へと大きく舵を切りました。

クラウドを企業が利用すればするほど、管理が複雑になり工数は増大します。クラウドの管理では、メインフレームで培った技術を直接活用できるため、クラウドの管理や運用のためのソフトウエアの開発は、IBMにとっては自社の強みを生かすことができる領域です。

 

2.オープン化によるクラウドの下支え

クラウドを提供するグーグルなどの企業では、クラウドに蓄積されたビッグデータを解析し、活用するためのビジネスを進めています。

ビッグデータを高速に処理するためには、高性能プロセッサーが必要です。

IBMは、自社の高性能プロセッサー「POWERプロセッサー」の技術をオープンにし、業界団体「OpenPOWER Foundation」も設立しました。

この団体には、グーグルをはじめとして70社を超えるIT企業が参加しており、IBMのPOWERプロセッサーが、クラウド提供企業のインフラとして広がっていく可能性は高いといわれます。

 

3.SoEでのメインフレームの活用

IT分野では、ECサイトなどをはじめとし、企業が顧客とどう関係を構築していけるかが大きな課題となっています。

顧客と関係を深めるためのシステムは「System of Engagement(SoE)」と呼ばれ、それに対して基幹業務のためのシステムは「System of Record(SoR)」と呼ばれます。

SoRのシステムは、IBMにとって得意中の得意領域であるメインフレームで構築されます。

それに対してSoEのシステムは、これまでは、PCやUNIXのサーバで構築されるのが一般的でした。

IBMは、SoRとSoEの両方をメインフレーム上で行なうことができるシステムの開発を進めています。

それにより、SoRとSoEを別々のサーバで行ってきたこれまでのシステムと比較して、処理速度を圧倒的に向上させ、これまでは考えられなかったサービスが展開できるようになっています。

関連記事:成功企業に聞く:サービス・ソリューションカンパニーを目指す、技術商社で売上1兆円企業「マクニカ」のマーケティングとは

モスバーガーの差別化戦略の成功事例

モスバーガー(モスフードサービス)の経営戦略は、マクドナルドに対する差別化戦略の成功事例として知られます。差別化のポイントは、

1.メニューの数・価格設定
2.店舗ディスプレイ
の2つにまとめることができます。

 

1.メニューの数・価格設定

マクドナルドは、メニューの数を少なめに抑えています。

ハンバーガーを提供するためのオペレーションが楽になり、価格は低く設定されます。マクドナルドに対してモスバーガーは、メニューの数はマクドナルドの倍ほどもあります。

メニュー数の増加により、顧客の多様な好みに応えることはできますが、その分価格は高くなります。

1990年代後半に、マクドナルドに端を発したハンバーガーの値下げ競争が勃発しました。その際に、競合他社が次々と値下げに走ったなか、モスバーガーは価格を維持したことで知られています。

 

2.店舗ディスプレイ

マクドナルドの店舗ディスプレイは、とくに繁華街や駅前の店舗などでは、顧客の回転率を上げることを狙いとしているといわれます。

対してモスバーガーは、自然な色合いを使用したり観葉植物を設置したりすることにより、居心地が良く、長時間滞在してもくつろげる店舗作りをしているといわれます。

モスバーガーは、業界の強者であるマクドナルドに対し、高品質・高価格路線を取る差別化戦略を採用し、独自の地位を築くことに成功しているといえるでしょう。


まとめ

◆差別化戦略とは、他社との差別化を図ることで競争優位を実現しようとする戦略
◆IMBは自らの強みを生かした新たな差別化戦略に乗り出している
◆マクドナルドに対するモスバーガーの高品質・高価格路線は差別化戦略の成功事例

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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