マーケティングや営業の担当者、顧客向けにWeb制作をされている方にとって、業務上切っても切り離せないのが「ペルソナ」の診断や分析です。様々な施策を立てるたびに、ペルソナ分析に明け暮れているという方も多いのではないでしょうか。
スタート時点でのペルソナ分析に大きなズレや齟齬があると、自社製品・サービスの潜在顧客にならないズレた層をターゲットに据えてしまい、無駄の多いマーケティングや的外れな広告をただただ続けてしまう……という事態にもなりかねません。
マーケティングにおいて顧客ペルソナの診断や分析は、集客から購買や契約に至るまでの各フェーズの成果・効果を機会損失することなく効率的になるべく最大化するためにも、とても重要な要素なのです。
本記事では顧客ペルソナについての基本的な解説とともに、弊社の様々なマーケティング支援サービスへのリンク、お役立ち資料なども掲載しています。ぜひ、お役立てください。
目次
マーケティング活動の成否を分ける「ペルソナ診断・分析」と「ターゲット設定」
そもそも「ペルソナ」って?
「ペルソナ」という言葉自体は、ラテン語の「persona」に由来しています。本来は「仮面」や「役柄」といった意味合いが強かったとされ、ギリシア劇の舞台上で使われる仮面そのものを指す言葉です。転じて、時代を経ながら心理学において「自分の内側に潜む人格」や「外面的な建前上の態度」といったそれぞれの“顔”のことも、すべて個別の「ペルソナ」と表現されるようになりました。心理学のタイプや提唱する心理学者の違いによって、ペルソナは16類型であったり、10タイプであったりと様々です。
現代でも、マーケティングやビジネスにあまり関係のない場面での「ペルソナ」という言葉は、自分が自分自身に向き合う、自分のあらゆる面を深く知るというような、心理学的な側面が強い使い方が多くあります。
例えば「本当のあなたを知るペルソナ・性格診断テスト」「恋愛や人間関係に役立つペルソナとソシオニクス診断」などというような主旨のインターネットサイトです。いくつかの設問に答えると自分の人格分析が表示されるものですが、経験がある、という方もいらっしゃるかもしれません。
マーケティングにおいては「顧客のペルソナ」を意識することが大切
マーケティングにおいて「ペルソナ」という言葉を使うさいに主に自社が売りたい商品やサービスにとって「典型的な顧客像(ユーザー像)」のことを指します。
ペルソナを活用したマーケティング戦略では、商品やサービスに興味を持ってくれやすいのはどのようなタイプの人か、実際に購入までたどりついてくれるのはどのような属性を持つ人かといったことを、あらかじめ具体的で細かな条件を持つ「1人の人物像」にまで落とし込み、その人物に対して有効と考えられるマーケティング施策を打ち立てます。
ペルソナ設定では心的特性に限らず、例えば年齢や性別、家族構成やライフスタイル、価値観、休日の行動といった詳細な要素までを設定します。
こうして絞り込んだペルソナにとって最も有効と考えられるマーケティング施策を行っていけば、自社の顧客になってくれる可能性の高い潜在客にリーチしやすくなるというメリットを得られます。対象が絞られることによってニーズも明確になり、明確化したニーズをもとに、商品の訴求(興味や関心の引きつけ)を強めることができます。
ペルソナを設定しておくことのメリットは、その他に以下のような点も挙げられます。
・マーケティング部門だけでなく他部門含めた社内全体で、イメージの統一ができる
・明確にした顧客像をもとに、消費者のニーズを踏まえた商品開発を行える
・ペルソナイメージの統一により、製品開発やプロジェクト計画時の無駄をなくせる
・狙う市場をあえて限定する「ニッチマーケティング」にも対応しやすくなる
ペルソナ設定のメリットについては以下の関連記事もぜひご覧ください。
関連記事:ペルソナとは?必要な理由と作り方のコツ
顧客についての「ペルソナ」と「ターゲット」の違い
マーケティングにおいてペルソナと似た使われ方をする言葉に「ターゲット」というものがあります。いずれも想定顧客・消費者を示す言葉であるため混同される場面もみられるのですが、両者は以下のように、明確に違う意味を持つ言葉です。
・ターゲット
基本情報を設定しつつ、ある程度の広範囲の人にまで当てはまるよう幅を持たせた顧客像
(ターゲットの設定例:20代、女性、会社員、都市部に居住……等)
・ペルソナ
基本情報だけでなく様々な属性まで設定し、ほぼ「特定の1人の人物像」にまで絞り込んだ顧客像
(ペルソナの設定例:20代後半、女性、会社員、役職は係長、都内23区内に居住、未婚で1人暮らし、平日の楽しみは帰宅後の入浴タイムと夜間の動画サイト鑑賞、SNS巡り、休日の行動は食べ歩きや旅行、ものを買うときは価格が高くても長く使える高品質なものを好む、電化製品の購入時は選定も購入もECサイトで済ませてしまうことが多い……等々)
ペルソナで設定する項目
ペルソナで設定すべき項目は自社の製品やサービスの種類、属する業界や直面している課題、目的などによっても様々に変わってくるでしょう。
ここでは一般的なマーケティング全般に共通する主要項目を挙げますので、検討を進める際の参考にしてください。
・氏名、年齢、性別(基本情報)
・学歴
・職業 / 役職
・年収
・居住地域
・未婚 / 既婚
・家族構成
・趣味嗜好
・時間帯ごとの行動
・休日の行動
・情報収集によく使う手段、ツール
・購買の傾向、ニーズ
以上のような項目を中心として、さらに自社商品やサービスの購入・利用につながりやすい具体的な人物へ絞り込むために、項目を追加していきます。
例えば、賃貸情報サービス運営者や、家具の販売メーカーが顧客を絞り込むためには「現在居住している住宅の規模・広さ」などが必要になるかもしれません。
サブスクリプションサービス業であれば、「趣味に使える月々の予算」といった項目も想定されます。
BtoB事業であれば、何より「従業員数」や「業種」、「将来の事業戦略」「現在の課題」「導入済みのITツール、活用している機能」といったように、顧客企業そのものについてペルソナを詳しく設定する必要があるでしょう。この場合でも、企業で購入するものをリサーチする担当者や、最終的な意思決定をする決裁者の個人ペルソナまで視野に入れておければ、様々な営業フェーズでも役立ちます。
関連記事:「漠然としたペルソナ」が変わった日。過去データから見つけた「具体的な理想のお客さま像」【アルテナ古田 連載第1回】
このように、自社の商材に合った項目を足していき、より具体的な顧客像へ絞り込んでいくことがポイントです。
この際の大きな注意点としては、自社の商材の特徴ばかりに考えを寄せてしまったばかりに、「こんな人、なかなかいないよ(いてもごく少数)」というような人物像を設定してしまうケースがあるということです。あくまで「確かにこんな人いるね」「知人にも当てはまりそうな人がいる」というような適切な人物像の範囲でイメージ設定を進めていくと良いでしょう。
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ペルソナ設定・作成ができる無料パワポテンプレート(BtoBマーケティング用)
ペルソナを診断・分析する際の手順
最後に、実際に顧客ペルソナを分析しながら絞り込んでいく際の、基本的な手順をご紹介します。
・「3C」や「STP」といったフレームワーク(分析手法)を用いて、まずは自社分析を行い、自社の強みを見つける
3C:Company(自社)、Competitor(競合)、Customer(市場や顧客)
STP:Segmentation(市場の細分化)、Targeting(どの市場を狙うか)、Positioning(市場における自社の立ち位置)
・大まかな「ターゲット」を決めて、情報収集と分類を行う
情報収集方法:社内蓄積の顧客データ、オウンドメディアのアクセス解析、自社コンテンツの人気ランキング、アンケートやインタビュー、SNSのクチコミチェック など
関連記事:エゴサ(エゴサーチ)とは?意味や企業としてのやり方
・情報収集によって理解できた訴求コンセプトを元に、ペルソナを設定する(ペルソナデザイン)
・設定したペルソナが自社製品・サービスの認知や把握から購入利用に至るまでのシナリオ、カスタマージャーニー(どのような行動や感情の移り変わりがあるか)を設計する
関連記事:カスタマージャーニーマップとは!マップの正しい作り方を解説!
・設定ペルソナとマーケティング施策について明確化した資料を社内共有し、プロダクト開発部門や営業部門などとも意見交換しながら共通認識を形成しておく
・マーケティング施策を実施する
以上のように、顧客ペルソナの設定においてはユーザー視点での生の声の調査、他部門の客観的な判断なども取り入れながら、「マーケティング部門だけの思い込みでは無い」実際的なペルソナを診断していくことが大切です。
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まとめ:現代のマーケティングにおいては顧客ペルソナの細やかな診断・分析が成功のカギ
本記事では、主に顧客ペルソナという考え方の基本から知りたいというマーケティング担当者、Webコンテンツ作成担当者へ向けて、ペルソナという言葉の由来といった関連情報から、顧客ペルソナを細かく設定することの重要性、一般的な設定項目一覧や分析の進め方などをまとめてご紹介しました。
ペルソナ設定を進める際には、あまり突飛しすぎずに、“あるあるパーソン”を意識しながら、自社商材に合う顧客像をイメージして絞り込んでいくことが大切です。そのためにも、準備段階では既存ユーザーの声、社内他部門からの客観的な意見をもとに多角的な視点を取り入れながら進めるようにしましょう。
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