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プロスペクト理論とは!マーケティングで活用するべき心理学を解説!

2023.7.10
読了まで約 5

プロスペクト理論は、マーケティングにも活用できる行動経済学のひとつです。プロスペクト理論を活用することによって、マーケティングの戦略が増え、売り上げの向上や固定客の定着が期待できます。

本記事では、プロスペクト理論の概要と語句の意味、マーケティングにおける活用例や、注意点について解説します。プロスペクト理論について知りたい人や、マーケティングに応用したい人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

プロスペクト理論とは?

プロスペクト理論は、人々がリスクのある選択をするときの意思決定のプロセスを解析する経済学の理論で、ダニエル・カーネマンとアモス・ツヴェルスキーによって1979年に提唱されました。

プロスペクト理論では、損失と利益が同等であっても、人間は損失を避けるためにより強い動機づけを感じるという「損失回避の原理」を提唱しています。行動経済学の発展に大きく貢献し、マーケティング、金融、政策など、多くの分野で応用されています。

プロスペクト理論と損失回避の法則

プロスペクト理論というのは、人間がリスクに関連した選択をするときの心理を説明するための理論です。プロスペクト理論で特に重要なのが「損失回避の法則」です。
下記のような状況があったとします。

自分の誕生日のお祝いとして、大好物のケーキをもらいました。
そこへ友達が現れて「コインを投げて、表が出たら追加でケーキを購入して、ケーキが2つに増えます。しかし、コインが裏だったら、私がこのケーキを全部食べます」と言われたら、多くの人は提案を断るでしょう。
誘いに乗ってしまったら、好物のケーキを食べられなくなる可能性があるからです。

つまり、損失回避の法則は、人間は同じ価値の利益よりも損失を強く感じ、それを避けようとする傾向があるという心理的な特性を表しています。

損失回避の法則は、マーケティングの戦略や製品の価格設定、投資の決定など、多くのビジネス上の選択に影響を与える重要として応用されています。プロスペクト理論と損失回避の法則は、人間の行動や選択を予測し、結果を予測するうえで非常に便利なツールです。

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プロスペクト理論の要素

プロスペクト理論は、下記の2つの要素で構成されます。

● 確率加重変数
● 価値関数

それぞれ詳しく解説します。

確率加重変数

確率加重変数とは、簡単に説明すると「人々はどんなに確率が低くても、可能性を高く見る」という考え方です。確率加重変数を例えるうえで、宝くじの例がよく使用されます。
ロトのような宝くじで大当たりする確率は非常に低いですが、「当たるかもしれない」と思い、宝くじを買います。

上記は、確率が低いことへの過度の期待と、確率が高いことの過少評価という、確率加重変数の特性を示すわかりやすい例です。プロスペクト理論の「確率加重変数」は、リスクに対する人間の判断と行動を理解するための重要な役割を果たすのです。

価値関数

価値観数は、人間がリスクに対する判断や選択をどのように行うかを理解するために重要な考え方です。たとえば、100円を見つけて嬉しいと感じる人もいますが、100円を見つけるよりも100円を失う方が損失の感じ方が大きい、ということも価値観数に関係しています。
価値観数は、人がリスクに対してどう選択をするかを知るための重要な手がかりとなるのです。

プロスペクト理論に関連する3つの心理学

プロスペクト理論に関連する心理作用は、下記の3つが挙げられます。

● 損失回避
● 参照点依存性
● 感応度逓減(ていげん)性

それぞれ詳しく解説します。

損失回避

損失回避は、先述したように「何かを得るよりも、同じものを失うことに強く反応する」ということです。たとえば、500円を見つけたときの喜びと、500円を失ったときの悔しさをイメージすると、後者の方がより大きく感じてしまいます。

自然とリスクを避け、損失を回避するような選択をすることを、マーケティングをはじめとしてさまざまなことに応用しているのです。

参照点依存性

参照点依存性は、人々が物事を判断するときに、ある「参照点」つまり基準点に基づいて利得と損失を評価するという考え方です。たとえば、レストランで食事をする時、その料理の美味しさを評価する参照点は、過去に食べた料理や期待した味です。

同じ料理でも、その参照点によって「美味しい」と感じる人と「普通」と感じる人がいるのは、期待した基準点で評価しているからです。また、参照点依存性という考え方は物を買う時にも働きます。

1,000円の商品が800円で売られていたら、「200円お得だ」と思う人が多いです。しかし、元々800円だった商品が1,000円に値上げされていたら、「200円も高い」と感じるでしょう。同じ200円の差でも、どちらが参照点になるかで、人々の感じ方が変わるのです。

感応度逓減(ていげん)性

感応度低減性とは、お金や物事の価値を感じる感覚が、増えれば増えるほど弱くなる現象を指します。たとえば、お金を持っていない状態で、500円手に入れたとしたら、嬉しく思う人は多いはずです。

しかし、500円持っている状態でさらに500円を手に入れたとしたら、何も持っていないときに手に入れた500円の嬉しさよりも、喜びの度合いが下がるでしょう。同様に、初めて500円を失ったときは、とても悔しいと感じますが、もし既に500円を失っていて、さらに500円を失ったとしても、最初に500円を失ったときほどの悔しさは感じないはずです。

感応度低減性は、消費者の行動や意思決定の過程に深く関わるのです。

プロスペクト理論をマーケティングに活用する方法

プロスペクト理論をマーケティングに活用すれば、消費者の心理を逆手にとって、売り上げを伸ばせる可能性が高まります。プロスペクト理論をマーケティングに活用した例として、下記が挙げられます。

● 返金保証を付ける
● 無料キャンペーンを開催する
● 期間限定のイベントを実施する
● ポイント付与や会員制サービスを用意する

それぞれ詳しく解説します。

返金保証を付ける

商品やサービスを購入する際、消費者は「購入後に満足できないかもしれない」というリスクを感じます。「商品購入後に後悔するかもしれない」というリスクを損失と捉えて、消費者は購入を回避しようとする可能性があります。

しかし、返金保証を付けることで「もし失敗してしまっても、お金を返してもらえる」と安心感を与えられます。返金保証があれば、消費者にとってリスクはゼロになり、「買ってもリスクがない」と思わせることで、消費者が商品を購入するハードルが下がるのです。

無料キャンペーンを開催する

無料キャンペーンは、商品やサービスを試すチャンスを消費者に与えるため、「商品が自分に合わないかもしれない」というリスクを解消できます。たとえば、高価な基礎化粧品を購入する際に「自分の肌質に合わなかったらどうしよう」と感じてしまい、購入を躊躇します。

しかし、無料キャンペーンでサンプルを配布すれば、自分の肌に合うものなのかを確認でき、商品に問題がなければ購入を検討するでしょう。無料キャンペーンを行うことで、消費者が確実に「自分に合った商品だ」と考えるため、購入の際のリスクを低減できるのです。

期間限定のイベントを実施する

期間限定のイベントは、消費者の「チャンスを逃すかもしれない」という感覚を引き出し、結果として商品やサービスへの関心を高める役割があります。たとえば、お店が「本日だけ30%オフのセールを開催します」と、期間限定のイベントを実施するとします。

消費者は「今日だけの特別な機会を逃したくない」と感じるでしょう。特別な機会を逃さないように、その商品を購入する決断を早める可能性があります。また、期間限定のイベントは、「時間がなくなるかもしれない」という損失に対するリスクを感じさせることも可能です。

「今買わないと、再びチャンスが訪れないかもしれない」とリスクを感じさせることで、お客さんが決断を先延ばしにするのを防ぎます。

ポイント付与や会員制サービスを用意する

ポイント付与や会員制サービスの導入によって、商品を購入したことでポイントが付与されれば、消費者はそのポイントが得られると考えます。一方で、ポイントを期限内に使わないと失効する場合は、保持できるはずだったポイントを損失する、と捉えるでしょう。
失われる可能性のあるポイントを確保するために、消費者はさらなる購入を検討する可能性が高まります。また、会員制サービスの場合は、会員になると特典が得られますが、会員でない場合、その特典を享受できないと感じるでしょう。

そのため、特典を「失う」ことを避けるために、顧客は会員登録を検討するかもしれません。消費者の「失いたくない」「損をしたくない」という心理を突けば、商品を購入する方向に誘導できます。

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プロスペクト理論の注意点

プロスペクト理論をマーケティングに活用する際は、下記の点に注意しましょう。

● 消費者の公平性を重視する
● 過度なプロモーションを避ける
● 消費者と長期的な関係を築く

商品の値引きや特別なサービスを提供する際、すべての顧客が平等に利用できるようにすることが重要です。特定の顧客だけに特別な待遇をしてしまうと、他の消費者は不信感を抱き、ブランドのイメージを下げてしまいかねません。

また、期間限定の割引や特別な特典を提示して、消費者が「すぐにこの場で購入しないと、損をするかもしれない」と感じたとします。しかし、実際は期間限定や特別な特典ではなく、常時受けられる特典であれば、「騙された」と感じてしまうでしょう。

プロスペクト理論は消費者の心理を上手に利用したマーケティング戦略になりますが、使い方を間違えると、消費者からマイナスなイメージを持たれてしまう可能性があります。

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まとめ

本記事では、プロスペクト理論の概要と語句の意味、マーケティングにおける活用例や、注意点について解説しました。

プロスペクト理論を正しく理解してマーケティングに活用すれば、売り上げアップや顧客の定着に繋がる可能性があります。

しかし、使い方を間違えてしまうと、かえって消費者が離れていくリスクもあるため、注意が必要です。ぜひ本記事を、マーケティングに役立ててください。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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