少子高齢化が進んでいる近年、「シニアマーケティング」が注目されています。シニア向けのビジネスを行うことで大きなビジネスチャンスの可能性があるためです。
ただしシニア層へのマーケティングを行うには、若年層や中年層と同じアプローチでは上手くマーケティングを行えない恐れがあります。
今回の記事では、シニアマーケティングの概要や、シニアマーケティングのポイントについて解説していきます。
目次
シニアマーケティングとは
シニアマーケティングとは、65歳以上の男女に対するマーケティングのことを指します。
近年、少子高齢化の傾向が加速している関係で、定年退職の年齢が延びつつあり、医療技術の進化によって健康寿命も延伸しています。そのような背景から、高齢者が経済に与える影響力は年々増加しており、シニア向けのビジネスも拡大を続けています。
関連記事:役職定年制度の現状を解説。社員のモチベーションを活性化するためのポイントとは?
シニアマーケティングのリーティングカンパニーに聞く「ハルメク」成功の秘密
国内人口が減少し、マーケット全体の縮小が予測される日本経済において、今シニアをターゲットとしたマーケティングに注目が集まっている。そんな「シニアマーケティング」の世界で躍進を続けて…
65歳以上の男女に向けたマーケティング
シニアマーケティングは、主に65歳以上の男女に向けたマーケティングです。
高齢者の中でも、現役シニア、アクティブシニア、ノンアクティブシニア、パッシブシニアという種類があり、それぞれの生活スタイルや関心事に合わせた商品やサービスが必要です。
シニア向けのビジネスは拡大し続けている
高齢化が進む中、シニア向けのビジネスは拡大し続けています。特に、健康、美容、旅行、趣味、ライフスタイルなどに関するシニア向けの商品やサービスが人気を集めています。
シニア世代の経済力が増加していることもあって、今後もシニア向けのビジネスは成長が期待されています。
関連記事:
・第一回 マーケティングって何だろう?~レベルの異なるマーケティングの区分と解釈~
・シニアマーケティングのリーティングカンパニーに聞く「ハルメク」成功の秘密
シニア世代の種類
シニア世代には、前述したように、現役シニア、アクティブシニア、ノンアクティブシニア、パッシブシニアという種類があります。それぞれの特徴について見ていきましょう。
現役シニア
現役シニアとは、65歳以上でも仕事を続けている人のことを指します。
健康で元気な人が多く、アクティブなライフスタイルを送っているのが特徴です。現役シニア向けの商品やサービスは、仕事や趣味に関連したものが多いでしょう。
アクティブシニア
アクティブシニアとは、65歳以上でも健康で元気な人のことを指します。
趣味やスポーツなどを楽しむことが多く、旅行なども積極的に行います。アクティブシニア向けの商品やサービスは、スポーツ用品や旅行商品などが多く見られます。
ノンアクティブシニア
ノンアクティブシニアとは、健康や経済的な理由で外に出かけず、家で過ごすことが多いシニアを指します。
自宅でできる読書やゲームなどの趣味を楽しむことが多く、家で過ごす時間が長い傾向にあります。ノンアクティブシニア向けの商品やサービスは、家庭用の健康管理グッズや娯楽商品などが多く見られます。
パッシブシニア
パッシブシニアとは、体や精神的な理由で自宅療養をしているシニアや、施設などに入所している要介護のシニアを指します。
身体的な問題を抱えている場合が多く、外出や趣味などが制限されることがあります。パッシブシニア向けの商品やサービスは、健康管理グッズや介護用品、機能性食品などです。
シニアマーケティングの4つのポイント
シニアマーケティングを成功させるためには、シニア層の特徴や嗜好を理解し、それに基づいたアプローチが必要です。ここでは、シニアマーケティングにおいて重要な4つのポイントを紹介します。
シニア層の興味・関心を把握する
まず、シニア層の興味や関心を把握することが大切です。
例えば、シニア層は健康や体力の維持に関心が高い傾向があります。そのため、健康食品や健康器具などの商品の需要が高いと考えられます。
また、旅行や趣味、文化などの分野にも興味を持っている人が多く、それぞれの趣味や嗜好に合わせた商品やサービスを提供することが求められます。
このように、シニア層の興味や関心を把握することで、商品やサービスの提供内容をより具体的に決定することができます。また、シニア層の興味や関心に基づいたコンテンツを提供することで、集客や商品・サービスの購入に繋がることが期待できます。
シニア層の価値観を理解する
次に、シニア層の価値観を理解することが大切です。
シニア層は、若者とは異なる価値観を持っています。例えば、若者は「新しさ」や「スピード感」を求める傾向がありますが、シニア層は「安心感」や「信頼性」を重視する傾向があります。
シニア向けの商品やサービスを提供する際には、信頼性や安心感をアピールすることが効果的です。また、価格帯やデザインなどもシニア層の嗜好に合わせることも重要でしょう。
情報源を把握して宣伝する媒体を選定する
シニア層の情報収集の傾向には、若年層とは異なる特徴があります。
シニア層は、電話や郵便物などの従来型の媒体による情報収集に偏っている傾向があります。そのため、テレビCMやチラシ、ポスター、雑誌広告、新聞広告など、従来型の媒体を活用することが有効です。
関連記事:新聞広告は効果があるのか?メリットと活用のポイントについて解説
しかし、最近では、シニア層のスマートフォンやパソコンの使用も増えているため、デジタル媒体を活用することも重要です。ただし、インターネット広告には、テキストが小さく見えづらい、操作が難しい、などの問題もあるため、出稿する形式や出向先媒体などを十分配慮する必要があります。
また、シニア層は長年の経験から、信頼できる情報源を重視します。このため、公共機関や団体のウェブサイト、ポータルサイト、口コミサイトなど、信頼性の高い媒体を活用することが重要です。
関連記事:注目が集まるタクシー広告〜活用のポイントについて解説
若者に人気の商品をシニア向けにしてみる
若年層に人気の商品をシニア向けにアレンジすることで、シニア層にも商品の需要を創り出すことができます。
関連記事
・Z世代とは?語源や年齢、特徴。ミレニアル世代との違いを簡単に解説
・α世代とは? 次世代を担うα世代の特徴から見た マーケティングのポイントを徹底解説
例えば、健康志向が高まっている現在では、若年層に人気のスムージーやグリーンジュースを、シニア向けには栄養バランスを考えたレシピや、口当たりの良い飲みやすいタイプにアレンジすることができます。
また、デザインや色味の変更など、商品の見た目を変えることでもシニア層にアピールすることができます。ただし、シニア層にアピールするためには、若年層とは異なるシニア層特有の嗜好を考慮することが重要です。商品開発においては、シニア層の意見を取り入れることで、より効果的な商品開発が可能となります。
シニアマーケティングを成功させるには
シニアマーケティングを成功させてビジネスの発展を狙うのであれば、さらに深いポイントを抑えることが重要です。シニアマーケティングを成功に導くために、施策を行う上でのコツを解説します。
年齢層を広くしすぎない
シニア層は年齢によって生活スタイルや興味関心が大きく異なります。そのため、広範囲にターゲットを絞りすぎると、商品やサービスがシニア層の需要にマッチしなくなることがあります。
また、あまりにも特定の年齢層にフォーカスしすぎると、他の年齢層の需要を見落とすことにもなりかねません。シニアマーケティングを成功させるためには、適切な年齢層を絞り込み、その年齢層に合わせた商品やサービスを提供することが重要です。
関連記事:ターゲット顧客の解像度を高める6つの方法
ペルソナを明確にする
シニア層をターゲットにしたマーケティングにおいては、ペルソナの設定が非常に重要です。
ペルソナとは、顧客の属性や性格などを想定したイメージ像のことです。シニア層においても、年齢や性別、生活スタイル、趣味嗜好などを踏まえたペルソナを明確にすることで、ターゲットのニーズや要望に合わせた商品やサービスを提供することができます。
ペルソナを設定することで、シニア層をより深く理解し、そのニーズに合ったマーケティング戦略を立てることができます。
関連記事
・ペルソナの意味とは?ビジネスやマーケティングにおける分析方法を解説
・採用マーケティングで重要な「ペルソナ」とは?その設計方法や具体例を解説
関連資料
・【テンプレート無料配布】カスタマージャーニーマップをパワーポイント(PPTX)で作ろう
・【テンプレート無料配布】BtoBマーケティングのペルソナ設定・作成ができるパワポ資料
「懐かしさ」をアピールしてみる
シニア層だけに限りませんが、人は過去の時代や懐かしい思い出に対する愛着が強い生き物です。このような「懐かしさ」を商品やサービスのPRに活かすことができれば、シニア層の共感を得ることができます。
例えばPRの内容に、レトロなデザインや懐かしい音楽、昔懐かしい食品やお菓子などを取り入れることで、シニア層にとって魅力的な商品やサービスを提供することができます。
アナログとデジタルの両方を活用する
シニア層は、アナログなコミュニケーション方法を好む傾向があります。一方で、近年はシニア層でもスマートフォンやパソコンを使ってインターネットを利用するケースが増えています。そのため、アナログとデジタルの両方を活用してマーケティングを行うことが重要です。
アナログな手段としては、チラシやポスター、DM、新聞広告などがあります。これらの媒体は、シニア層に親しまれているため、効果的なPRができる可能性が高いでしょう。
一方で、デジタルな手段としては、SNSやメールマガジン、オンラインショップなどがあります。シニア層でもこれらのツールを使って情報収集や買い物を行うケースが増えているため、デジタルマーケティングも重要です。
関連記事
・オムニチャネルとは?取り組むメリットや成功のポイントを解説
・デジタルマーケティングとは?スキルや事例を紹介しWebマーケティングとの違いを解説
口コミやレビューなどを活用する
シニア世代は、信頼できる情報源を求める傾向があります。そのため、口コミやレビューなどの第三者の意見にも重きを置く傾向があります。そのため、シニアマーケティングを行う場合には、口コミやレビューサイトなどを活用することが重要です。
例えば、シニア向けのレジャー施設を紹介する場合には、施設の評判が高いことをアピールすることが効果的です。また、シニア向けの健康食品を販売する場合には、お客様の声やレビューを掲載することで、商品の信頼性を高めることができます。
関連記事
・お客様の声を活かす方法とは!サービス向上にやるべきこと!
・ローカルSEOとは? マーケティング効果や対策方法を徹底解説
まとめ
今回は、シニアマーケティングの概要や、シニアマーケティングのポイントについて解説しました。シニアマーケティングは、シニア世代の需要が拡大している現代において、重要なマーケティング手法となっています。
シニア層の興味や関心、価値観を理解し、情報源を把握し、商品やサービスを提供する際には、若者に人気の商品をシニア向けにカスタマイズするなど、独自のアプローチが必要です。
また、口コミやレビューなど、信頼性の高い情報を活用することも大切です。これらのポイントを押さえることで、シニアマーケティングを成功させることができます。