「ベネフィット」とは、利点や効果を消費者に提示し、購買意欲を向上させるためのマーケティング用語です。ここではベネフィットの意味や概念、類似するビジネス用語との違いについても詳しく解説します。ベネフィットの使い方をマスターして、マーケティングに活かしてみましょう。
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目次
ベネフィットの意味とは?
ベネフィット(benefit) は直訳で「利益」「恩恵」「便益」などを意味します。マーケティングにおいては「顧客が商品から得られる恩恵やプラスの効果」と解釈されています。商品やサービスそのものではなく、これらが与えるポジティブな影響がベネフィットです。
ベネフィットが重要な理由
ベネフィットには、潜在顧客の感情を刺激し購買意欲を高める効果があります。恩恵を印象付けることで、消費者が具体的な効果をイメージしやすくなり、購入を促進につながります。
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「ベネフィット」と「メリット」の違い
● メリット:商品やサービスそのものの強み・特徴
● ベネフィット:メリットから顧客が得られる嬉しい変化、プラスの体験、満足感といった広義の利益
メリットとベネフィットは似た意味という印象がありますが、マーケティング用語としては別の意味で使われます。
メリットとは?
メリットとは、商品やサービスそのものの強み・特徴を意味します。その商品やサービスにどんな価値があるのかを裏付けるための表現です。企業視点の概念であり、メリットがあるからと言って、必ずしも顧客の評価に値するとは限りません。
ベネフィットとの違い
ベネフィットは、商品やサービスを購入することで得る、プラスの効果や結果を意味します。顧客視点の概念であり、これまでの状態がなにかしら改善、向上、進化しているというソリューションの評価ポイントになっています。嗜好や感覚に落とし込んだ表現が多いのも特徴です。
ベネフィットは、競合との差別化を図るために、効果的に使いたいマーケティングのトリックといえるでしょう。メリット以外の類語はこちらも参照。
ベネフィットの使い方と具体例
ベネフィットの使い方について、具体例を見ていきましょう。
クラウドを活用した人事システムの場合
メリット | クラウドを活用した人事システムにより ・評価・勤怠状況・給与などの人事データを一元管理できる |
ベネフィット | 人事データの一元管理により ・現場では業務負担やミスが減る ・経営面では、残業が減ることで、人件費の削減につながる ・長期的に、従業員満足度の上昇と定着率の向上が期待できる |
Webサイトを新しくする場合
メリット | ・ブランドイメージがリフレッシュする ・最新のソフトウェアで操作が簡単になる |
ベネフィット | ・サイトへの問合わせが増加しコンバージョンレートも向上 ・コストが削減でき効率的なシステムへの投資を可能にする ・UI、UXの改善による知名度や売り上げの向上 |
お掃除ロボットを導入する場合
メリット | ・自動で掃除が完了する ・段差にも対応したファンクション |
ベネフィット | ・掃除にかける時間を節約できる ・ロボットの掃除導線を確保するよう床面を開放する習慣 ・自由な時間を有意義に使えるようになる |
新型のステーションワゴンを購入する場合
メリット | ・8人乗り ・ハイブリッド車 ・4WD ・トランクが広い |
ベネフィット | ・家族全員で旅行に出かけ思い出作りができる ・燃費がよいのでコスパの良い旅ができる ・4WDでレジャーやアトラクションの幅が広がる ・大きな買い物もできるようになった |
ベネフィットの類語と反対語
ビジネス用語に、ベネフィットと同じく頻出する類語や反対語があります。ベネフィットと合わせて理解しておくと差別化しやすくなりますので一緒に覚えておきましょう。
類語
アドバンテージ | ・ある事柄に対し有利であること 例:・渋滞中は車よりバイクにアドバンテージがる。 ・競合は実店舗のみなのでECサイトを運営する自社にアドバンテージがある。 |
プロフィット | ・金銭的な利益 例:・モーターの改良で新型製品はプロフィットが見込める。 ・休日にイベントを開催するほうがプロフィットが得られる。 |
アドバンテージは、ある対象物や事柄において優先位が高いという意味で、比較対象となるものがあるのが一般的です。プロフィットとは、金銭の利益そのものを表し、コストパフォーマンスの高い商品や事柄に使用されることが多いでしょう。
反対語
ロス | 損失、販売機会の減少 例:・在庫ロスの軽減のために在庫管理を強化。 ・ITtツールを導入して時間のロスが減った。 |
ディスアドバンテージ | ある事柄や状況などに対して不利であること 例:・競合と比べ再生可能エネルギー分野はわが社にはディスアドバンテージだ。 ・原油の高騰で輸入関連業はディスアドバンテージとなった。 |
ダメージ | 損傷、損害 例:・マイルウェアはシステムにダメージを与える深刻なウイルスだ。 ・コロナ過による外食産業のダメージは計り知れない。 |
デメリット | 欠点、弱点 例:・非対面型営業は、信用を得にくいというデメリットがある。 ・オートメーション化の流れは雇用を減少させるのがデメリットだ。 |
ベネフィットの反対語に当たるのは、損失という意味の「ロス」です。そのほかの「ディスアドバンテージ」「ダメージ」「デメリット」はロスに類似し、いずれもマイナスを意図するビジネス用語になります。
ベネフィットの3つの種類
機能的ベネフィット | 機能的な特徴によって与えられる便利さや効率などの利益 例:「使いやすい」「安い」「軽い」「おいしい」「早い」など。 |
情緒的ベネフィット | 商品を手にすることで得られるプラスの感情 例:「安心感」「解放感」「充実感」「高級感」「おもしろい」など。 |
自己実現ベネフィット | 商品を持つことで可能になる自己表現・自己実現 例:「自慢できる」「自分に自信を持てる」「こだわりやポリシーを示せて自分らしいと感じる」など。 |
アメリカの経営学者であるデイヴィッド・アーカー氏によると、ベネフィットは3種類に分類されるといいます。通常消費者は、自身のライフスタイルや価値観によって、どのベネフィットを重視するか判断しています。顧客の求めるベネフィットにマッチさせることは、ビジネスやブランドの安定性を高めるポイントでもあります。
ベネフィットの考え方と見せ方
1. ターゲットの設定と問題・欲求の洗い出し
2. ターゲットが共感できるストーリーの作成
3. ターゲットが問題・課題を解決できるベネフィットの提示
ベネフィットをうまく定義付けするための考え方や見せ方は、次の3ステップを参考に進めていきましょう。
1. ターゲットの設定と問題・欲求の洗い出し
まずは、いま課題となっている問題点を明確化していきます。最終的にどんな結果や効果が発揮されることがポジティブな運営につながるのかを策定します。この洗い出しの過程で、問題点抱えているターゲットも必然的に表面化してきます。
2. ターゲットが共感できるストーリーの作成
問題を抱えるターゲットの洗い出しができれば、問題のバックグラウンドとなっているストーリーの共有を図ります。つまり、同様の問題を抱える消費者が、ソリューションが必要であるという現状に気づいてもらうための動機付けとなるアプローチです。
3. ターゲットが問題・課題を解決できるベネフィットの提示
最後にターゲットにとってどんなベネフィットがあるのかという提示を行います。その際、前述で触れた機能、情緒、自己実現の3つのベネフィットを網羅できる提案を盛り込むことができれば、多様なターゲットにも浸透しやすくなるでしょう。
共感できるベネフィットの提案を
ベネフィットは、消費体験の最終地点となる顧客満足度と深い関係があります。販売心理学の研究でも、共感性が効果的なセールスを獲得することが証明されており、消費者目線でのマーケティング攻略が不可欠です。この記事で、ベネフィットの概念に関する理解を深め、消費者に響くベネフィット策定に取り組んでみましょう。マーケティングを行いたいが知識や時間、ノウハウがないという方は、ぜひ一度ご相談を。