ビジネスに携わっている人であれば、一度はブルーオーシャン戦略という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。ブルーオーシャン戦略は、市場やビジネスにおいて「競争相手が少なく、血が流れない」という意味から作られた言葉のことです。しかし、なぜブルーオーシャン戦略が重要であるかや、細かな概要が分からない人は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ブルーオーシャン戦略の概要を解説するとともに、なぜブルーオーシャン戦略が重要であるかを解説します。また、ブルーオーシャン戦略のメリットデメリット、成功事例などを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ブルーオーシャン戦略とは
まずは、ブルーオーシャン戦略の概要から解説します。ブルーオーシャン戦略とは、競争相手の少ないビジネスモデルや市場を探し、それらで戦うことを意味するマーケティング用語のことです。競争相手が少ないため、流れる血が少ないことからブルーオーシャンという言葉が使われています。
ビジネスにおいては、短期的に大きな利益を出すことよりも、中長期的にわたって安定的な利益を得ることのほうがよっぽど重要です。実際、本記事を読む人のなかにも、どのように安定的にキャッシュや利益を作っていくべきか、迷っている人は多いのではないでしょうか。
そのような場合に、競争相手が少ないブルーオーシャン戦略は有用です。ブルーオーシャン戦略が成功すれば、競争相手が少ない市場で品質の安定した商品を提供できるため、中長期的に安定した利益を生み出せるようになります。
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レッドオーシャンとは
先ほどブルーオーシャン戦略について解説をしましたが、その反対の言葉であるレッドオーシャンという言葉も存在します。レッドオーシャンは、競争相手となるビジネスモデルや商品が市場に乱立しており、海が戦いの血で赤く染まることから例えられた言葉のことを指します。
レッドオーシャン戦略は、中長期にわたって小さな利益を積み上げたいブルーオーシャン戦略を狙っている企業には、絶対におすすめしません。なぜなら、レッドオーシャン戦略で勝ち抜くためには、圧倒的な資金力が必要になるためです。
たとえば、レッドオーシャンの代表例として家電業界が挙げられます。日本において、家電製品は日々新しいものが出てきています。市場規模自体も大きいものの、その市場で大きなパイを取っていくためには、新商品の開発費用から広告費用など、それ相応の資金力が必要です。これから利益を積み上げていきたい企業が参入しても、太刀打ちできないのは分かるのではないでしょうか。
必然的に、レッドオーシャン戦略は強者のみが取れる戦略であるため、中小企業はブルーオーシャン戦略を駆使して、小さな利益を積み上げていくことが非常に大切です。
なぜブルーオーシャン戦略が重要なのか
ブルーオーシャン戦略が重要な理由は、小さな企業であっても安定した利益を生み出せることにあります。大企業が参入するレッドオーシャン戦略の場合、当たれば非常に大きなキャッシュや知名度が入ってくるものの、失敗した場合は損失額も非常に大きなものとなります。これは、安定的な利益を得ている状態とは言えないでしょう。そのため、これらを小さな中小企業が実現しようとしても、現実的に難しいのが現状です。
一方のブルーオーシャン戦略の場合、上記のようなレッドオーシャン戦略を取っている企業とは、戦わずとも利益を得ることができます。上手く行けば、レッドオーシャン戦略を取っている企業のおこぼれのような形で利益をもらうこともできますし、自社が新しい市場を小さく開拓して、そこでも利益を得ることができます。
先述したとおり、ビジネスや会社経営は安定的な利益を積み上げることが非常に重要です。ブルーオーシャン戦略は、それらを実現しやすい戦略であると言えるでしょう。
ブルーオーシャン戦略のメリット
ここまで、ブルーオーシャン戦略の概要を解説してきました。ここからは、ブルーオーシャン戦略の2つのメリットを解説します。
・ 投資費用が少ない
・ 安定した利益を生み出せる
それぞれ順番に見ていきましょう。
投資費用が少ない
ブルーオーシャン戦略は、市場にない商品を作ったり、競合とは全く異なる戦略を取ったりします。良い意味で競合の真似をする必要がないため、価格も自由に決められます。これらのことから、ブルーオーシャン戦略は投資費用を抑えてビジネスを始められます。
投資費用が少ないということは、それだけ投資費用を回収できる期間も早くなるため、投資回収後に早期に利益を積み上げられるということです。
安定した利益を生み出せる
上述したとおり、ブルーオーシャン戦略では競合の真似をする必要がありません。商品に付加価値を付けて販売することができるため、自社だけの見込み客を集めることが可能となります。自社の見込み客が商品のファンになれば、リピーター化してくれる可能性も高まるため、安定した利益を生み出せます。
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ブルーオーシャン戦略のデメリット
先ほど、ブルーオーシャン戦略のメリットを解説しましたが、ブルーオーシャン戦略ならではのデメリットも存在します。大きく2つ存在しており、1つ目は、レッドオーシャン戦略ほどの利益は得られないことです。
成功の定義は人それぞれ異なりますが、たとえば「100億円企業を作りたい」という目標がある場合、ブルーオーシャン戦略のみで100億円の売上を作ることは難しいかもしれません。なぜなら、100億円の売上を作る場合、既存のレッドオーシャン市場などで、ある程度のパイを獲得する必要があるためです。
2つ目のデメリットは、ブルーオーシャンというより、そもそも見込み客がいない可能性があることです。自社がこれから出そうとしている商品が、現状の市場に存在していない場合、なぜ市場に存在していないかを改めて考える必要があります。そもそも市場にないのは、競合がアイデアとして考えついていないわけではなく、そもそも見込み客がいないから商品が存在していない可能性もあるためです。
上記のようなケースで商品を販売しても、投資費用を回収できずにマイナスで終わってしまいます。
ブルーオーシャン戦略に重要なフレームワーク
ここまで、ブルーオーシャン戦略のメリットデメリットなどを解説してきました。ブルーオーシャン戦略を考える際は、フレームワークを使うと非常に便利です。ここでは、代表的な2つのフレームワークを紹介します。
・ 戦略キャンバス
・ アクションマトリクス
それぞれ順番に見ていきましょう。
戦略キャンバス
戦略キャンバスは、横軸に競争性、縦軸に競争性のレベルを記載し、ブルーオーシャン戦略が重要であるかを判断するフレームワークです。自社と他社の競争性とレベルをそれぞれ結び合わせた際に、線の交わる部分が異なる場合はブルーオーシャン戦略が有効であると捉えられます。
ただし、戦略キャンバスで自社と他社の線の交わる部分が異なるからといって、市場リサーチを欠かしてはいけません。上述したとおり、なぜ競合がブルーオーシャン戦略を取っていないのかを確認し、それでも取り組めそうだと判断した場合のみ実行するようにしましょう。
アクションマトリクス
アクションマトリクスは、セグメントを「取り除く」「増やす」「減らす」「付け加える」の4つに切り分け、自社、競合、市場の3つを分析するフレームワークです。付加価値を加えたり、人員を減らしたりすることで、ブルーオーシャン戦略を実行できるのかを確かめることに向いています。また、自社が今後どのように変化していけば良いのかも確認することができます。
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ブルーオーシャン戦略で成功した事例
最後に、ブルーオーシャン戦略で成功した事例を3つ紹介します。
・ ユニクロのケース
・ IKEAのケース
・ 海外のケース
それぞれ順番に見ていきましょう。
ユニクロのケース
ユニクロは既存の戦略に加えて、「高付加価値機能衣料」という形でブルーオーシャン戦略を取りました。シルキードライ、ヒートテックなどの商品を高付加価値機能衣料として提供し、流通コストなどを削減しつつ、自社アプリの広告やモバイル会員向けのクーポン配信といったO2Oにも取り組み、消費者の手に届きやすいように工夫したという背景があります。低コストを実現しつつ、他社との差別化も図ったブルーオーシャン戦略の代表例です。
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IKEAのケース
IKEAは、2つのブルーオーシャン戦略を取り入れています。1つ目は、非常に早いスピードで家具が届けられることです。競合他社と比較して納品までのスピードが早いため、引っ越しやオフィス移転などにおいて、IKEAに依頼する消費者が増えています。
2つ目は、モデルルームを用意していることです。他にもモデルルームを用意している家具屋は多いものの、消費者が利用しているイメージを湧かせやすいように工夫されていることが特徴です。
海外のケース
海外では、サウスウエスト航空という会社がブルーオーシャン戦略を取り入れました。他の海外の航空会社と比較して機内サービスは最小限に留められているものの、そのぶん費用が格段に抑えられており、予算を抑えたい消費者の心を掴むことに成功しています。
まとめ
本記事では、ブルーオーシャン戦略について解説をしてきました。ブルーオーシャン戦略は、投資費用が少なく、なおかつ顧客には品質が安定した商品を提供できるため、企業側に利益が残りやすいメリットがあります。一方で、ブルーオーシャン戦略で成功した場合はそれらを模倣する競合も出てくるため、それらに対する対策は常に講じなければなりません。
競合他社と差別化して安定した利益を生み出すためにも、実際に自社が取るべきブルーオーシャン戦略を考えてみてはいかがでしょうか。