2022年4月に、Googleから新たなサービスである「multisearch(マルチサーチ)」が発表され話題を集めています。今回の発表も、画期的な機能が盛り込まれた内容であり、今後の更なるアップデートを待ち望んでいる方も多いのではないでしょうか。
画像検索機能に特化したマルチサーチは、多くのユーザーの利便性向上に効果を発揮すると共に、今後の改良次第では、検索という概念を大きく覆すモノとなる可能性があります。
本記事では、「multisearch(マルチサーチ)とは?」という部分から、マルチサーチの基礎情報や、マルチサーチの利用には欠かすことのできない「Googleレンズ」の情報も含め、詳しくご紹介していきます。
目次
Google multisearch(グーグル マルチサーチ)とは
世界的に影響力のあるGoogleから「Google multisearch(グーグル マルチサーチ)」という新たなサービスのベータ版が2022年4月に発表されました。
常に最先端を行き、画期的なサービスを発表して話題を集めるGoogleですが、今回の発表もまた独自性のある内容となっています。
そもそも「multisearch(マルチサーチ)とは一体何なのか?」という部分から簡単にご紹介していきましょう。
今回、Googleから発表された新サービスである「マルチサーチ」とは、検索行動を取る際にGoogleが開発した「Googleレンズ」と、テキストを組み合わせて活用ができるサービスとなっています。マルチサーチを活用することにより、実際に気になった被写体をGoogle レンズを使用し検索行動を取った際に、その検索結果にさらにテキストで情報を追加して詳細な検索が可能となるシステムが備わっています。
Googleレンズを使用して、商品検索ができる機能は日本版のGoogleアプリでも既に利用することができますが、今回発表されたマルチサーチに関しては、検索結果に対してクエリと呼ばれる関連語句を追加ですることで、その検索結果に対するさまざまな関連情報を一度に取得できる画期的な内容に仕上がっています。
【Googleレンズによる検索+テキスト検索】
マルチサーチは例えば以下のような手順により利用できます。
1.ブラックのパーカーをGoogle レンズに写すと、類似するパーカーが検索結果に表示されます。この機能は従来のGoogleレンズで見られる既存の機能です。
2.画面上には “Add to your search” という検索ボックスが用意されています。このボックス内に《blue》とテキストを追加入力します。
3.Googleレンズに写したブラックのパーカーと似たようなデザインで、「ブルー」のパーカーを検索結果に表示することが可能となります。
トレンドに敏感な方は、マルチサーチとMUMが関連するといった予測ができたかもしれません。
MUMとは、「Multitask Unified Mode」の略称であり、 Googleが発表した新しいタイプの検索アルゴリズムです。通常であれば複数回の検索が必要とされるような、複雑な質問に対し、さまざまな角度から答えを返してくれる最新型の検索アルゴリズムです。
現在もGoogleのAI機能によって複雑な検索を可能としているアルゴリズムですが、MUMの機能力はその1,000倍強力であるとも言われているため、注目を集めています。また、MUMの特徴として、画像を理解する能力やGoogleレンズとの連携が発表されています。今後、新たに発表されたマルチサーチにもMUMの能力が取り込まれ、最新の検索AIモデルによって、さまざまな場面で大きな効果を発揮するのではないかと考えられるでしょう。
マルチサーチの利用方法
ここからは、マルチサーチの利用に関して簡単にご紹介していきます。
マルチサーチは次のいずれかの方法で利用することができます。
・Googleアプリを起動し、「Googleレンズ」を使用して気になる被写体を写す
・Googleフォトのアプリ内に保存してある写真を選択してGoogleレンズを起動させる
※AndroidとiOSの双方がGoogleアプリに対応しています。
では、早速マルチサーチを使用してみたいところではありますが、発表されてまだ間もないことや、現在は米国の英語ユーザー向けにベータ版のみとして提供されている状況であるため日本国内での利用開始には多少時間が必要とされることでしょう。
マルチサーチ発表の背景
Googleの検索エンジンの利用率は、世界トップシェアを誇ります。また、そこに集まる世界中のユーザーの多様化する検索データを保持する事でも有名です。例えば、消費ユーザーにはどのようなアパレル商材が、現在のトレンドを集めているのかなどを把握しているものの、実際に気になっていた商品の購入を意思決定する際に、各ユーザーがどのようなインスピレーションを受けているのかといったことに理解を深める必要がありました。
そのためGoogleは、ビューティ・アパレル・インテリアに特化した商品を購入した米国人2000人の買い物客を対象とした調査に乗り出しInspired Shopping Reportを発表したのです。そのレポートから収集したことをご紹介しましょう。
・ビューティ・アパレル・インテリアに特化した商品の購入を考えるユーザーの多くは、購入の意思決定を下すまでに、おおよそ2週間は該当の商品や類似する商品をリサーチして比較検討に時間を割り当てる
・65%が気になる商品や、購入を考える商品が特にある訳ではないが、暇な時間を利用して
ショッピングサイトやSNSを利用して無意識にブラウジングを実施している
・60%が高い購買意欲を持ちながら買い物をしていない時でも、衝動買い意欲が芽生えるような刺激を経験したことがある
・39%が友人や、他のユーザーが使用している姿や、身に着けているアイテムを見た後にオンラインで商品を検索することがある
・48%がオンライン環境を利用している時に、興味の沸いた洋服やインテリア、アクセサリーなどの商品画像をスクリーンショットで保存する(70%が後に詳しく検索または、実際に商品を購入した経験がある)
・興味の沸いた商品や気になった商品を、オンライン環境を利用して検索する際に、言葉やテキストだけで検索を試みるも、特定商品を探し出すことができなかった経験がある
・66%が自身の趣味趣向にマッチするような商品に出会った場合に、類似する商品や別のカラーやデザインの展開を知りたいと思った経験がある
Googleはこのような消費ユーザーが体験した貴重な経験を、今後のビジネスで大きく発展させようとする狙いもあり、マルチサーチの開発に着手したともいわれています。
参考:Here’s how online shoppers are finding inspiration
Googleレンズについて
ここからは、今回ご紹介したマルチサーチと深い関係性にあるGoogleレンズについて、基礎知識をベースに詳しくご紹介していきます。
Googleレンズが発表された当初は、Googleレンズに対応できる端末が非常に限られていたことも影響し、話題性の割には急速な普及は見られませんでした。
現在は、サービスの利用可能範囲も拡大し、利用ユーザーの多いiPhoneやandroid端末でも利用することが可能となっています。また、日本語にもしっかりと対応できるように改良され、実際の使用方法の詳細やヘルプページも用意されるなど手厚いサポート体制が充実しているので安心してサービスを楽しむことができるようになりました。
Googleレンズとは
Googleレンズとは、GoogleのAI機能をベースに、その機能を画像検索に特化させた比較的新しいサービスです。
各ユーザーが実際に撮影した写真やスクリーンショット、保存した画像といった被写体を基に、画像に写りこむものの情報を瞬時に認識、識別を実施し画像検索やテキストの情報を読み込むことができます。
精度の高いAIによる画像解析は、画像に写っている場所や特定商品の情報、テキストなどあらゆるモノを自動化で認識する能力を持っています。
特にキーワードの入力や難しい操作は必要とせずに、実際に読み込まれたさまざまなデータを基に、検索された情報の詳細な情報を表示することができることや、画像に写りこむテキストを自動的に翻訳して提供する機能を兼ね備えるなど万能な能力を発揮するのです。
日常の生活で、商品をはじめ特定の「モノ」の名称が、思い出せずに、もやもやした気持ちを経験した方も多いのではないでしょうか?そんな時にもGoogleレンズは、情報源に画像さえ保持していれば問題解決へとスムーズに効果を発揮することでしょう。
関連記事:Google(グーグル)画像検索を使いこなそう!スマホ・PCでの基本をご紹介!
テキストを認識してコピー&ペーストができる
前述の通りGoogleレンズは、画像内にテキストが写る場合にそのテキストを認識して、さまざまな情報を収集することができる特徴があります。また、認識したテキストを基に表示された情報をタップすることで、Google検索に簡単に移動し、再度詳細な検索行動を取ることが可能であることや、特定のテキストをコピー&ペーストしモバイル内で管理するメモ帳や各SNS内で活用できるといった利点もあります。
テキストを写せば翻訳も可能
Googleレンズ内で認識できる言語の数は100以上用意されているといわれており、その多種多様な能力は、日常生活で大いに機能することはもちろんのこと、海外旅行でも安心して活用の場が広がるでしょう。
建物の情報検索から道案内まで連動してできる
観光施設や店舗の検索を希望する際にもGoogleレンズは効果を発揮します。実際に観光施設や店舗が写っている画像を取り込むことで、その画像を基に詳細情報を導くことができます。取得した詳細情報には、店舗の営業時間や他のユーザーからのクチコミによる評価など、施設や店舗により特化した詳細な情報を確認することが可能となり、Googleマップと連動して、目的地まで道案内を利用できるといった利便性の高さも大きな特徴として挙げられます。
商品検索をすれば販売サイトまでつながる
スポット情報を画像から収集できるように、商品の検索も画像をもとに検索を実施することが可能です。CDやDVDをはじめ、店頭に並ぶ書籍に関しても、Googleレンズを活用することにより特定の商品の詳細情報を簡単に確認することができるのです。
その検索精度は非常に高く、商品化され市場に出回っているアイテムであれば高確率で、詳細な商品情報を入手することができます。
他のユーザーから寄せられた商品レビューや、価格帯などタイトル以上の情報を簡単に確認することができ、オンラインサイトを経由しシームレスな方法で購入までの導線を確保されていることも特徴として挙げられます。
また、Googleレンズは、商品に付属するバーコードや、今や身近な存在となったQRコードも識別して読み取ることができます。
名刺やスケジュール管理などビジネスシーンでも活用できる
名刺を写せば、住所や電話番号をテキストとして抽出できるため、そのままコピー&ペーストで連絡先に加えることができます。また、手書きでメモをした予定などを同様に取り込むこともできるため、データとして保存することが可能です。
まとめ
本記事では、「multisearch(マルチサーチ)とは?」という部分から、マルチサーチの基礎情報や、マルチサーチの利用には欠かすことのできない「Googleレンズ」の情報も含めご紹介してきました。
マルチサーチは、さまざまな場面で便利に機能することが理解できました。
現在、マルチサーチの発表はベータ版に留まっていることから、改良が着々と重ねられ、機能性がさらに向上することが予想されます。
今後も、Googleの動向を確認しながら、最新情報をしっかりと把握していきましょう。