昨今、「Web3(Web3.0)」という言葉を耳にする機会が増え、今後さらに注目を集めることが予想されます。
本記事では、「Web3(Web3.0)とは?」という根本的な疑問から、Web1.0やWeb2.0との違いについて、さらにWeb3(Web3.0)が注目される理由や、そのメリットについて詳しくご紹介していきます。ぜひインターネット界の潮流をご確認ください。
目次
Web3(Web3.0)とは一体何?
デジタル市場に興味関心が強くトレンドに敏感な方には周知されているかと思いますが、「Web3(Web3.0) ウェブスリー」という言葉が注目を集めています。
「Web3(Web3.0) ウェブスリー」とは、ブロックチェーン技術などを活用した「分散型インターネット時代」や「非中央集権のインターネット時代」を指します。デジタル市場では「次世代のインターネット」と呼ばれ注目されているものです。
現在のインターネット界隈では、GoogleやAppleをはじめとする世界的な巨大企業の躍進が、世界的に大きな影響を与え、多くのユーザーを虜にし、ビジネスシーンやプライベート空間などさまざまな場面で利便性を高め、その存在価値を確立してきました。このような巨大企業のサービスを利用すると利便性が高まる半面、個人情報が収集され、情報漏洩のリスクが高まることが懸念されています。近年では、個人情報保護の観点や、セキュリティの観点から、プライバシーに対する考え方が強まりを見せ、世界的にも大きな問題として話題になっています。
このような問題点をWeb3(Web3.0)は、ブロックチェーン技術などを画期的に活用して解決に導くだろうといわれています。Web3(Web3.0)ではユーザー自身がデータや資産を管理できるようになり、ユーザー同士が直接やりとりできるようになります。これにより、プライバシーの保護やセキュリティの向上が期待されています。
ここからは、Web3(Web3.0)の前世代となるWeb1.0 やWeb2.0 の定義についてもご紹介していきます。
Web1.0(ホームページの時代)
Web1.0 を簡単にご説明すると、情報の発信を希望するユーザーと閲覧を希望するユーザーの二者が固定的に限定されていた時代を表わします。
現在では当たり前となった「WWW(World Wide Web)」が普及したことにより、一個人が自身や企業のウェブサイトを作成して、さまざまな情報を外部へ発信することが可能となりました。
この当時は主に、「html」を使用したテキストサイトが主流であり、近年では当たり前である画像や動画に特化したコンテンツの存在は非常に少なく、コミュニケーション手段に着目しても大半がメールによってコミュニケーションの取得が実施されていた時代であります。情報の発信を希望するユーザーと、閲覧を希望するユーザーとの双方向なやり取りは、ほとんどできていなかったといえるでしょう。ホームページの時代として、1990年代~2005年頃までが該当します。
Web2.0(SNS・クラウド時代)
Web1.0の次に登場したのがWeb2.0です。SNS・クラウド時代として2005年頃から現在までが該当します。Web2.0の時代の到来は大きな影響を与え、インターネット市場の変化を急速化させました。
Web2.0の特徴は、Web1.0では実現不可能であった情報の発信を希望するユーザーと、観覧を希望するユーザーの双方向なコミュニケーションの取得が可能となったことが挙げられます。インターネット環境の整備により、誰もが自由にインターネットを活発的に利用できるようになったことも大きな影響をもたらしました。
その他にもWeb2.0に見られる大きな特徴に、「Facebook・Instagram・Twitter・YouTube」などをはじめとするSNSの普及が挙げられます。
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スマートフォンやタブレットを片手に、インターネット環境さえ整っていれば、時間や場所に制限されることなく、誰でも気軽に情報の発信ユーザーになれます。
また、コミュニケーション取得の方法も多様化し、テキストだけに留まらず、画像や動画、音楽などさまざまなクリエイティブを手軽に活用でき、画像や動画コンテンツの共有も簡単に行え、活発的にコミュニケーションを取り合うことも可能となりました。
SNSの普及は、今日のインターネット市場の盛り上がりには欠かせない「モノ」となり、多くのユーザーから莫大な支持を世界的に集めるまでに発展しています。
Web2.0は、ボタンを一つクリックするだけで、欲しい情報を簡単に取得でき、多くのユーザーと手軽に繋れるといった利便性に特化しています。
しかし、その一方で便利なサービスの提供元である企業に、利用ユーザーの行動履歴や個人の情報が集中して保持されるといった特徴があります。利用ユーザーのプライバシー情報が一箇所に集中して保持されることから、仮にサイバー攻撃を受けた際には多くのリスクが伴います。また、個人情報を世界的にもトップシェアと影響力を兼ね備える「Google・Amazon・Facebook・Apple・Microsoft」のGAFAMと呼ばれる5大企業が独占してしまうといった問題も指摘され注目を集めているのです。
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Web3(Web3.0)が注目を集める背景
一方的な通信をメインとしたWeb1.0から、双方向性のあるWeb2.0、そしてプライバシー保護にも配慮したWeb3(Web3.0)へとインターネットの世界は変化し続けています。Web3(Web3.0)が注目を集める背景としては、次の2つが挙げられます。
● プライバシー管理への関心の高まり
● NFT(非代替性トークン)や仮想通貨の普及
それぞれの背景について見ていきましょう。
プライバシー管理への関心の高まり
現在のインターネットの世界では、個人情報を適切に処理しないと、巨大な企業や悪意のある第三者に漏洩するリスクがあります。しかしweb3(Web3.0)が普及した世界では、ユーザーは自分自身でデータや資産を管理できるようになるのです。
インターネットの世界では、特定のサイトにログインするためのアカウント情報が別のサイトのログイン情報として提示されることや、悪意のあるアクセス者により抜き取られることがあります。実際に、クレジットカードの利用履歴に覚えのないものが混ざっていたり、口座から多額のお金が引き落とされていたりといったトラブルも少なくありません。また、個人を特定できる情報がインターネット上に出回り、不審な電話やストーカーなどの被害が生じることもあります。
これらの問題はWeb3(Web3.0)が普及した世界では起こりません。Web3(Web3.0)はアカウントを作成せずに利用できるため、個人情報をインターネット上に晒す必要がありません。つまりプライバシー管理が気になる人も、Web3(Web3.0)は安心して利用できるのです。
NFT(非代替性トークン)や仮想通貨の普及
Web3(Web3.0)では、ブロックチェーン技術を利用した仮想通貨やNFT(非代替性トークン)で取引が行われます。これらはオンライン上で所有者を明確に登録できるため、不正な操作や盗難のリスクが低くなります。
仮想通貨は、国境や政府に関係なく流通できるデジタル通貨で、ビットコインやイーサリアムなどが有名です。NFTは、画像や音楽などのデジタルコンテンツに一意性や希少性を付与する技術です。最近では、アート作品やスポーツ選手の動画などが高額で売買されて話題になりました。
これらの仮想通貨やNFTは、従来のインターネットでは実現できなかった新しい取引方法を可能にします。たとえば、仮想通貨は送金手数料が安く済むことや、NFTは作品の著作権や収益分配が容易になることなどが挙げられます。Web3(Web3.0)は、これらの新しい取引方法をサポートするインターネットとして注目されています。
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Web3(Web3.0)の仕組み
ここからは、Web3(Web3.0)のさらに具体的な仕組みについてご説明していきます。Web2.0で問題となっている、一部の巨大企業の権力の分散を、実現可能に導くのが、Web3(Web3.0)です。
そこで重要なカギとなるものに「ブロックチェーン技術」が挙げられます。
世界的にブロックチェーン技術が着々と浸透し始めていますが、ブロックチェーン技術の浸透の先駆けとして、近年注目を集めているのはビットコインやイーサリアムなどです。主に暗号通貨のやり取りで活用されている技術で、個人情報の管理をユーザー自身でできるようにしていく仕組みです。
ブロックチェーン技術は、インターネット上で実施されたさまざまな取引に関するデータを適切に記録できるデータベース技術です。「ブロック」はデータ単位で鎖のようにつなげて管理するため、ブロックチェーンと呼びます。ブロックチェーン技術は、複数の場所にデータを分けられ、個人でのデータベース管理を可能としています。
このようなことからWeb2.0で問題視されている特定企業の権力保持や、個人情報の漏洩、プライバシー問題などのさまざまなリスクを軽減できるのではないかと考えられているのです。
暗号通貨で使われているブロックチェーン技術は、取引情報などが暗号化されるといった特徴を持ちます。また、暗号化された取引情報などを複数のユーザーで共有できることもできるのです。
Web2.0では、企業内やサーバーに多くの情報が集中して保持されている場合が多いため、サーバー攻撃やハッキングに非常に弱く、そのような事例が発生すると、保持している大量の個人データが流出してしまうリスクがあります。情報が分散される特徴を持つWeb3(Web3.0)ではそのような不安要素がなく、高いセキュリティレベルが確保されるのです。
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Web3(Web3.0)のメリット
ここまで、Web3(Web3.0)の概念について触れてきました。
ここからは、Web3(Web3.0)が具現化することで得られる、具体的なメリットについて簡単にご説明していきます。
ユーザーは個人情報の管理を個人でできる
現在、Webを活用したビジネスは年々増加傾向であり、暮らしの中でWebサイトやSNSを使用することは当たり前となりました。
さまざまなWebサイトやSNSを利用していると、自身の興味関心に沿った内容の広告が継続的に画面上に表示されるといった経験をした方も多いのではないでしょうか。
また、誰にも伝えていない情報であるのに、自身の趣味趣向を理解し広告として画面上に次々と表示されるのかと疑問を抱き、不快に感じたといった方もいるかもしれません。
このようなことは、企業がWebサイトやSNSにアクセスしたユーザーの個人情報を収集することにより発生するシステムが影響しているのです。
たとえば、世界的な大企業であるGoogleも、ユーザーの個人情報を独占している状況であるといえます。具体的にGoogleは、検索エンジンと呼ばれる独自のサービスを無料で提供していますが、Webサイトでのユーザーの検索履歴や行動履歴といった個人情報を取得しているのです。大企業が提供するサービスは影響力もあり、世界中のユーザーが利用するため、膨大な数の個人情報が集中します。その収集した個人情報を基にWeb広告をはじめ、さまざまなビジネスに活用されていきます。
Web3(Web3.0)では、各ユーザーが自身の意思決定により、個人データを管理し保有するといった特徴を持つのです。そのようなことから、広告の配信を希望せずにWeb上やSNSのサービスの利用が可能になるでしょう。
情報漏洩リスクの軽減が期待できる
Web3(Web3.0)では、ブロックチェーン技術を用いて、情報を一箇所ではなく複数の場所に分散して管理します。これにより情報が改ざんされたり盗まれたりする可能性が低くなります。
たとえば、氏名や住所、電話番号、クレジットカード情報などの大切な個人情報は現在のインターネットではサーバーやクラウドに保存されていますが、Web3(Web3.0)ではユーザー自身が管理できます。現在のインターネットではハッキングやサイバー攻撃の対象となりますが、Web3(Web3.0)では分散して保存されるため、情報漏洩リスクが大幅に軽減されます。
Web3(Web3.0)は、個人情報や企業情報などの重要な情報を安全に保護するインターネットとして期待されているのです。
どこでもサービスの利用が可能
日本では、誰でも自由に制限されることなく、インターネットを利用できますね。しかし、この当たり前のようなことも、世界的に見るとそうではない国も存在するのです。
政府による検閲システムが採用され、日本でも身近な存在でもあるGoogle・Twitter・YouTubeなどのサイトへのアクセスが禁止されている例があります。
しかし、Web3(Web3.0)では上記のような制限を設けられなくなります。ブロックチェーンに対する条件や権限はなく、中央集権的なサーバー自体も存在しないことから、誰でも自由にアクセスが可能となり、対等なサービスを利用できるようになります。
仲介なしで企業と直接的な取引が可能となる
現在、Web上でビジネスの展開を実施するのであれば、さまざまな仲介業者を経由しなければならない場合が多く、その都度仲介業者への手数料が発生する事例が散見されます。
しかしWeb3(Web3.0)時代におけるネットワーク接続には、仲介するサーバーを必要としないといった特徴があります。このようなことから、企業とユーザーは直接的な取引が可能となるのです。
仲介の必要性がなくなることで、現在の存在するさまざまな既存ビジネスに大きな影響をもたらし、すでに確立されていたビジネスモデルが崩壊する可能性が強まることが予想されます。
たとえば、中央管理者を必要としない金融仲介アプリケーション「DeFi」では、実際の取引記録がブロックチェーン上にすべて記録され、現在中央集権的な役割の国内仮想通貨取引所を必要とせず、また手数料を払うことなく金融資産の管理を行えます。
以前では考えられなかったこのような画期的なサービスが、一般化し浸透していくことでこれまで仲介の役割を担っていたさまざまな企業やサービスが不要となり、現在のビジネスモデルが大きく変化することが予想されるのです。
Web3(Web3.0)に関連する6つの技術
Web3(Web3.0)を活用することで、新たな技術も生まれています。すでに注目されている技術としては、次のものが挙げられます。
● メタバース
● DeFi
● DO
● NFT
● SocialToken
● Crypto asset
各技術について詳しく見ていきましょう。
1.メタバース
メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間で、アバターを使って自由に行動できる場所のことです。オンラインゲームやビジネス活動など、さまざまな用途で活用されています。
たとえばオンラインゲームでは、メタバース上に街をつくり、ゲームユーザーがアバターをとおして散策したり、メタバース内の土地や建物、アイテムなどを売買したりすることもできます。これによりゲームの世界観が広がり、ゲームの楽しさも増幅します。
また、ビジネス活動においては、メタバース上に会議室や談話室などを設け、アバターを使った会議や雑談などに使う企業も増えました。インターネットさえあればどこからでも会議や雑談に参加できるため、テレワークの普及にも役立っています。
さらに、採用面接にもメタバースを活用すれば、遠方に住んでいる人も求人に応募しやすくなります。少子高齢化により、人材確保はいよいよ難しくなってきていますが、メタバースの利用で採用の門戸を広げることができます。優秀な人材を採用する機会を増やすためにも、メタバースの利用は欠かせないでしょう。
このように、メタバースはインターネット上における新しい体験やコミュニケーションを提供する仮想空間として注目されているのです。
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2.DeFi(ディーファイ)
DeFi(Decentralized Finance、ディーファイ)とは分散型金融のことで、銀行や証券会社などの中央管理機関がなくても金融資産を取引できる仕組みを指します。DeFiではブロックチェーン技術を利用して取引記録をユーザー自身が管理します。これにより中央管理機関に頼らず取引ができるのです。
たとえばDeFiでは中央管理機関の営業時間に左右されないため、自分の都合次第で24時間365日いつでも利用でき、手数料も低く抑えられます。国や金融機関などの影響を受けずに取引できるため、余計なコストもかからず、政治的・経済的な不安定さからも自由になれます。DeFiは中央管理機関なしで金融資産を取引できる画期的な仕組みとして、今後さらに注目されることでしょう。
3.DAO(ダオ)
DAO(Decentralized Autonomous Organisations、ダオ)とは分散型自律組織のことで、ブロックチェーン上で管理・運営される組織を指します。経営者などのトップが不在で、組織に属する人々は個々の意思で行動します。
DAOに参加するには、DAOで使用される仮想通貨を購入します。株式会社の株式を購入して特定の会社で発言権を得るのと同様に、DAOの仮想通貨を購入することで、DAO内での発言権が得られるのです。DAOのメンバー間には上下関係がありませんが、DAO内にはルールがあり、DAOのメンバーによってルールの採択や規制が行われます。
DAOは、ブロックチェーン上で自律的に運営される画期的な組織として注目されています。
4.NFT(エヌエフティー)
NFT(Non Fungible Token)とは非代替性トークンとも呼ばれ、複製や改ざんができないデジタルデータのことです。たとえば、世界にただひとつのデジタルアート作品や、製造個数が限られ、シリアルナンバーが入っている作品などがNFTになります。
NFTには作品自体のデータだけでなく、過去の取引データもブロックチェーン上に記録されます。これにより、作品の真贋や所有権が確認できます。また、個数が制限されていることや、著名人が保有していたことで価値が上がることもあります。その場合、制作者に利益が還元されます。
NFTは、複製や改ざんができないデジタルデータとして注目されています。
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5.SocialToken(ソーシャルトークン)
SocialToken(ソーシャルトークン)とは、特定のコミュニティでのみ使用できるトークン(デジタル通貨)のことです。コミュニティに属する人がSocialTokenを購入することで、コミュニティ内での活動や交流が可能になります。
日本国内でも、プロスポーツチームがSocialTokenをすでに利用しています。チームを応援するサポーターがSocialTokenを購入すれば、サポーター限定イベントに参加したり、寄付を通してチーム活動を支援したりできます。
SocialTokenは、コミュニティないでの絆や貢献度を高めるトークンとして注目されています。
6.Crypto asset(クリプトアセット)
Crypto asset(クリプトアセット)とは、ブロックチェーン技術を活用したトークン(デジタル通貨)のことです。Crypto assetは国の中央銀行が発行する法定通貨ではありませんが、法定通貨と交換できる財産価値があります。
インターネット上での取引が増えるにともない、安全に送金できるCrypto assetへの注目度も高まっています。また、送金手数料が低いことや、取引時間が短いことも、Crypto assetが従来の法定通貨より利便性の高い存在として注目される理由のひとつです。
Crypto assetはブロックチェーン技術を活用した革新的なトークンとして注目されています。
Web3(Web3.0)の課題とは
Web3(Web3.0)には個人情報を保護しやすいなどのメリットもありますが、課題もいくつかあります。Web3(Web3.0)の実用に向けて解決すべき課題としては、次のものが挙げられます。
● 法的整備が必要
● 利用には高いITリテラシーが求められる
● トラブルの対処は自己責任
● ガス代(手数料)が高い
● セキュリティの脆弱性
それぞれの課題について説明します。
法的整備が必要
Web3(Web3.0)は新しい技術を活用したインターネットの進化ですが、その分、法的整備が追いついておらず、法制度や税制面の仕組みづくりが必要とされています。
たとえば、仮想通貨を使って代金が支払われた場合、受け取った側はどのように所得税額や法人税額を計算するのか、事業所を持たずに運営している場合は、どこの国の税制が適用されるのか、などの問題も想定されます。
法的整備は、Web3(Web3.0)の安全性や信頼性を高めるためにも必要だといえます。
利用には高いITリテラシーが求められる
Web3(Web3.0)は仮想通貨やブロックチェーン技術を活用したインターネットで、ITリテラシーを向上させることが必要です。知識やスキルが不足していると、Web3(Web3.0)の利用は難しく感じるかもしれません。たとえば、仮想通貨やブロックチェーン技術についての基礎知識や用語を理解することや、自分でウォレット(仮想通貨の財布)を管理することなどが必要です。
Web3(Web3.0)は従来の金融の概念を覆す技術です。法定通貨以外の通貨に財産を置き換えることに対して、不安を感じる人もいると想定されます。
ITリテラシーの向上は、Web3.0の利用や普及にとって必要なことといえるでしょう。
トラブルの対処には注意が必要
Web3(Web3.0)には管理者がいません。そのため、トラブルが発生したときの対処は自分で行う必要があります。
従来、銀行などの金融機関を通して送金するときは、送金する側だけでなく受領する側も氏名や口座番号などの個人情報を登録し、個人情報を開示するというリスクはあるものの、万が一のときには金融機関に責任を追及できるということができました。しかし、Web3(Web3.0)では管理者不在のため、万が一のときは自分でトラブルを解決することが求められます。
仮想通貨を使って送金するときは、送金先のアドレスを間違えると取り戻すことができません。また、ウォレット(仮想通貨の財布)のパスワードや秘密鍵を紛失すると、資産にアクセスできなくなります。
Web3(Web3.0)では管理者不在のため、トラブルが発生しないように注意することが重要なのです。
ガス代(手数料)の課題と対策
Web3(Web3.0)では、ブロックチェーン上で取引を行う際に、ガス代(手数料)と呼ばれる費用が発生します。ガス代は取引の速度や量に応じて変動しますが、高額になる場合があります。
ガス代が高いと、Web3.0の利用者にとって大きな負担となります。特に、新規参入者や少額取引者は、ガス代が取引額を上回ることもあるため、気軽に取引できないと感じるかもしれません。
ガス代を低くするためには、いくつかの対策が考えられます。ブロックチェーンの改良や拡張などです。ガス代が低くなれば、新規参入者や少額取引者も増えやすくなり、取引速度や効率も向上するでしょう。
セキュリティの課題
Web3(Web3.0)ではブロックチェーンや暗号技術を使って、従来のサービスよりも高いセキュリティを提供します。しかし、一部のプロトコルやスマートコントラクトにおいては、セキュリティの課題が存在する可能性があります。
セキュリティの課題は、Web3(Web3.0)の利用者にとって大きなリスクとなります。たとえばハッキングや不正操作によって、資産やデータが流出したり損失したりする可能性があるでしょう。
Web3(Web3.0)の普及にともない脆弱性がより明らかになれば、対応策なども開発されやすくなると考えられます。
Web3(Web3.0)のサービス事例
Web3(Web3.0)を利用したサービスは、すでに多数誕生しています。そこで、ブラウザやオンラインマーケット、ゲームなどの事例を紹介します。
Brave
Braveは、次世代のGoogle Chromeとも称されるブラウザです。
Braveは、ユーザーのプライバシーを守るために、閲覧や検索履歴から自動表示される広告をブロックします。また、ユーザー自身で表示広告をコントロールできるため、不要な広告にブラウジングを邪魔されることがありません。
さらに、Braveは、ユーザーに報酬を与える仕組みもあります。ユーザーが広告表示を許可すると、仮想通貨(BATトークン)により報酬を受け取ることができます。この報酬は、Brave内のウォレットに貯めたり、他のサービスに送ったりすることができます。
OpenSea
OpenSeaは、NFTコンテンツを売買できるオンラインマーケットプレイスです。NFTコンテンツとは、ブロックチェーン上で作成されたコンテンツで、世界にひとつしかないオリジナル性や希少性があります。
OpenSeaでは、アート作品やゲームアイテムなど、さまざまなNFTコンテンツを取引できます。NFTコンテンツは、作成者や所有者が自由に価格を設定したり、オークション形式で売買したりもできます。また、ほかのサービスと連携して利用することもできます。
My Crypto Heroes
My Crypto Heroesは、日本の企業が手掛けているNFTゲームです。ゲーム内のキャラクターやアイテムはNFTで作られているため、従来型のゲームよりもキャラクターやアイテムのオリジナリティが高く、プレイヤー同士で売買できる点が特徴です。
また、My Crypto Heroesでは、ゲームを通じて獲得したアイテムをOpenSeaなどのオンラインマーケットで販売し、リアルで稼ぐこともできます。
以上のように、Web3(Web3.0)では、ブラウザやオンラインマーケット、ゲームなど、さまざまなサービスが提供されています。これらのサービスは、ユーザーに高いセキュリティや自由度を与えるとともに、新しい価値や体験を生み出しています。今後もWeb3(Web3.0)のサービスは、さらに多様化や発展が期待されます。
Web3(Web3.0)の今後の展望
Web3(Web3.0)の将来性としては、次の2点に注目できます。
● 金融分野での普及
● 組織のDAO化が進む
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
なお、インターネット界ではすでにWeb4(Web4.0)の概念も誕生しています。Web4(Web4.0)とは、ブロックチェーン技術を活用したユーザー主導型のWeb3(Web3.0)のコンセプトを引き継ぎ、AIやビッグデータなどを駆使して、人と機械の共生を目指すインターネットの世界です。
金融分野での普及
Web3(Web3.0)のサービスは金融分野と相性がよいため、今後はDeFi(分散型金融)の広がりが期待されます。安全に取引する方法としてDeFiが一般化するだけでなく、法定通貨の存在意義にも影響を及ぼすと考えられます。根本的な貨幣価値が変わるだけでなく、極端なインフレによる経済情勢の不安定化も回避できるかもしれません。
組織のDAO化が進む
オンラインサービスだけでなく、リアルな組織もDAO(分散型自律組織)化が進むと考えられます。DAO化が進んだ組織にはヒエラルキーが存在しないため、より風通しのよい組織が実現できるでしょう。
また、DAO内で使用する通貨を購入するだけで発言権を得られることからも、新規性のある事業を開発しやすくなるなどのメリットも想定されます。例えば、Uniswap(ユニスワップ)やCompound(コンパウンド)などのDeFiプロジェクトは、DAOによって運営されています。これらのプロジェクトは、ユーザーに高い利便性や収益性を提供するとともに、業界全体にイノベーションを起こしています。
新たなビジネスモデルを生むWeb3の動向に注目しよう
本記事では、「Web3(Web3.0)とは?」という部分から、Web1.0やWeb2.0との違いについて、さらにWeb3(Web3.0)が注目される理由や、そのメリットについて紹介してきました。
現在のトレンドでもあるWeb3(Web3.0)は、今後も着々と進化を遂げ、最新情報が次々と更新され、世界中でさらに注目を集めることでしょう。Web3(Web3.0)に関する情報をこまめにチェックし、新時代の流れに対応していきましょう。
よくあるご質問
Web3で使われるプログラム言語は?
Web3(Web3.0)では従来のプログラム言語だけでなく、ブロックチェーン技術に対応したSolidityやVyper、Rustなどが使用されることもあります。Solidityはスマートコントラクトの記述に適した言語で、VyperはSolidityのセキュリティ上の問題を解決するために開発された言語です。また、Rustは並行計算や命令型プログラミングなどにも対応しています。
Web3に関連する銘柄は?
Web3(Web3.0)に関連する銘柄としては、イーサリアムをベースとした「BAT(ベーシックアテンショントークン)」や、ブロックチェーンをつなぐ「DOT(ポルカドット)」、分散型ストレージサービス用の「FIL(ファイルコイン)」などがあります。そのほかにも、BTT(ビットトレント)やICP(インターネットコンピュータ)、GRT(グラフ)なども取引されています。
Web3で用いるブロックチェーンとは?
ブロックチェーンとは、取引履歴を暗号技術で鎖のようにつなげ、正確に記録する技術のことです。ブロックと呼ばれる単位で取引データを管理し、鎖(チェーン)のように連結していることからブロックチェーンと呼ばれています。ブロックチェーン技術が用いられているものは、銀行や証券会社のような中央管理機関がなくても、それ自身で取引履歴を記録できるため、データ破壊や改ざんのリスクが低いと考えられます。