ダッシュボード(dashboard)は、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールに含まれる機能の一種で、個人、中小企業、大企業など、組織の大きさに関係なく利用できるものです。
複数の情報をグラフなどにまとめ可視化できることが大きな特徴ですが、詳細な機能や役割はよく分からないという人は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ダッシュボードの概要や機能、役割について詳しく解説します。また、代表的なダッシュボード作成ツールも10種ご紹介しますので、ダッシュボードの導入を検討している人はぜひ参考にしてください。
目次
ダッシュボードとは
ダッシュボードとは、複数の異なるデータや情報を一元化してまとめられるツールのことです。元々の語源は、自動車や飛行機のガソリン残量などを示す「計器盤」でした。現在では、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの多くがダッシュボード機能を搭載しており、企業の重要な意思決定支援ツールとして広く活用されています。
ダッシュボードの主な特徴は、複数の重要項目を一度に可視化できることです。これにより、データ分析や業績管理などに効果的に役立てることができます。しかし、単に雑多な情報を可視化できるだけでは、優秀なダッシュボードとは言えません。優れたダッシュボードは、UIの面においても秀でており、どこにどのような機能があり、何を分析できるかがひと目で分かるように設計されています。
また、多くのダッシュボードはリアルタイムデータの表示や更新が可能で、最新の情報を常に把握できる点も大きな利点です。これにより、企業は迅速な意思決定や戦略の修正を行うことができます。
ダッシュボードの活用により、企業は様々なデータソースから得られる情報を統合し、より効果的なビジネス戦略を立てることが可能となります。そのため、データドリブンな経営を目指す現代のビジネス環境において、ダッシュボードは不可欠なツールとなっています。
● BI(ビジネスインテリジェンス)とは
● ダッシュボードとレポートの違い
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BI(ビジネスインテリジェンス)とは
前述のとおり、ダッシュボードはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの一種です。
「BI(ビジネスインテリジェンス)=Business Intelligence」とは、企業がそれまで蓄積・保有してきた様々なデータや、社外から収集してきた情報などを分析及び加工し、それらを根拠として今後の経営戦略の意思決定を行うために役立てること、もしくはそういった仕組みのことを指します。BIは、企業の競争力向上や業務効率化に貢献する重要なツールとして注目されています。
BI(ビジネスインテリジェンス)は、主にツールとして提供されています。これらのツールを活用することで、企業は大量のデータを効率的に処理し、有益な洞察を得ることができます。ダッシュボードは、このBIツールの中核的な機能の一つとして位置づけられています。
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ダッシュボードとレポートの違い
ダッシュボードとレポートは、企業のビジネス活動におけるさまざまな情報やデータをひとまとめにして表示したものですが、両者には動的か静的かという点で大きな違いがあります。
レポートは、テキストデータや表、グラフなどの画像データを併せ持つ静的なドキュメントです。いわゆるデータセットのことで、アウトプットされた後は操作ができず、単なるデータの集合体となります。例えば、月次の売上レポートは、一度作成されると、その月の情報が固定された状態で保存されます。
一方、ダッシュボードは、表示されているさまざまなデータ群がリアルタイムで更新され、時間の経過とともにその画面は変化していきます。いわゆるデータビジュアライゼーションツールのことを指し、動的な媒体となります。データ更新中も、必要に応じて分析の範囲や程度を都度調整することができます。例えば、営業ダッシュボードでは、最新の売上情報や顧客データがリアルタイムで反映され、ユーザーは最新の情報を常に確認できます。
さらに、ダッシュボードはインタラクティブな要素を持ち、ユーザーが直接データを操作したり、異なる視点からデータを分析したりすることができます。これにより、より深い洞察を得ることが可能になります。
このように、ダッシュボードとレポートは、動的であるか静的であるか、そしてユーザーとの対話性の有無という点で大きく異なります。ビジネスの目的や状況に応じて、適切な方を選択することが重要です。
ダッシュボードの機能
ここまで、ダッシュボードの概要などについて解説してきました。ここからは、ダッシュボードの代表的な機能を5つご紹介します。これらの機能は、効果的なビジネスインテリジェンス(BI)を実現するための重要な要素となります。
分析
チャート・グラフの作成
レポーティング
コネクター
シミュレーション
それぞれ順番に見ていきましょう。これらの機能を適切に活用することで、データドリブンな意思決定を促進し、ビジネスパフォーマンスの向上につながります。ダッシュボードの各機能は、企業の様々なニーズに対応できるよう設計されています。
分析
分析機能では、特定の条件を指定したうえで情報を分析することができます。たとえば、時期や地域、年齢、性別などの属性が挙げられます。分析する項目が多いほど、ユーザーのセグメントを細かく分けられたり、詳細な分析結果を取得できたりします。また、ダッシュボードの分析機能を活用することで、データに基づいた意思決定や戦略立案が可能となります。これにより、ビジネスの効率化や競争力の向上につながる可能性があります。
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チャート・グラフの作成
分析機能では、特定の条件を指定したうえで情報を分析することができます。たとえば、時期や地域、年齢、性別などの属性が挙げられます。分析する項目が多いほど、ユーザーのセグメントを細かく分けられたり、詳細な分析結果を取得できたりします。また、ダッシュボードの分析機能を活用することで、データに基づいた意思決定や戦略立案が可能となります。これにより、ビジネスの効率化や競争力の向上につながる可能性があります。
レポーティング
レポーティングは、連携しているツールにレポートを出力できる機能です。たとえば、Google関連のダッシュボードでは、Googleスプレッドシートにレポートを出力することができます。多くのダッシュボードツールは、複数のデータソースから情報を収集し、それらを統合して包括的なレポートを作成する機能を備えています。
利用するダッシュボードツールによっては、時間帯や期間に応じて、定期的に自動でレポートを出力してくれるものもあります。この自動化機能により、データの更新やレポート作成にかかる手間を大幅に削減でき、より効率的な業務遂行が可能となります。また、一部のツールでは、カスタマイズ可能なテンプレートを提供しており、企業のニーズに合わせた独自のレポート形式を作成することもできます。
コネクター
コネクターとは、外部のツールからダッシュボードにデータを出力できる機能のことです。代表的な外部ツールとして、MA(マーケティングオートメーション)ツール、Googleスプレッドシート、CRM(Customer Relationship Management)ツール、Google Analyticsなどが挙げられます。
外部のツールと連携してデータを取り込めるため、従来なら手動で行っていた作業時間を短縮することができます。また、ダッシュボードの機能によっては、リアルタイムでデータを同期することも可能です。これにより、最新の情報を常に把握し、迅速な意思決定を行うことができるようになります。
シミュレーション
シミュレーションは、取り込んだデータや分析結果をもとに、さまざまな数値的予測ができる機能です。代表的な例としては、来期の予算編成や業績予想、株価予想などが挙げられます。高度なダッシュボードツールでは、AI技術を活用して精度の高いシミュレーションを行うことも可能です。
シミュレーションを行うことにより、最適なコストカットやランニングコストの見直しを図ることが可能です。また、複数のシナリオを比較検討することで、より戦略的な意思決定をサポートします。このように、シミュレーション機能は企業の将来計画立案や戦略策定において非常に重要な役割を果たします。
ダッシュボードが担う役割とは
ここまで、ダッシュボードが持つ基本的な機能について解説してきました。ここからは、ダッシュボードが担う3つの役割をご紹介します。ダッシュボードは、企業のビジネスインテリジェンス(BI)戦略において中心的な位置を占めており、以下の役割を果たします。
● 打つべき施策を検討しやすくする
● データを分かりやすく可視化する
● 情報共有
これらの役割は、企業の意思決定プロセスを大きく改善し、データドリブンな経営を実現するための重要な要素となっています。ダッシュボードを効果的に活用することで、企業は市場の変化に迅速に対応し、競争力を高めることができるのです。
それぞれ順番に解説します。
打つべき施策を検討しやすくする
ダッシュボードのシミュレーション機能は、たとえば予算編成の検討材料になります。そのため、現時点から予測できる来期の予算を検討すれば、どの程度攻めた販売戦略を立てられるのかが分かります。打つべき施策は当然予算によって変わってくるので、ダッシュボードの活用は施策に悩んでいる担当者には非常に有用だと言えるでしょう。
また、現時点でさまざまな施策を打っている場合は、ダッシュボードの分析機能が役立ちます。Google Analyticsなどからデータを取り込んだうえで分析を行えば、現時点の施策がターゲットに届いているのかなどを確認でき、施策の方向性が適切であるか否かを判断できるでしょう。さらに、ダッシュボードを活用することで、リアルタイムでのデータ更新が可能となり、最新の市場動向や顧客ニーズに基づいた戦略立案が可能になります。これにより、より効果的なマーケティング施策や商品開発の方向性を素早く決定することができます。
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データを分かりやすく可視化する
企業内に多くの人員がいたり複数の担当者がいたりすると、情報やデータは散在してしまう傾向があります。そうなると、同じ組織であるにも関わらず、特定のデータにたどり着くまでに相当な時間がかかってしまいます。
しかし、ダッシュボードを使って複数のデータを整理・可視化しておけば、探す手間をなくすことができます。また、情報がグラフなどで可視化されていることから、過去のデータ推移などもひと目で分かるようになります。さらに、ダッシュボードの機能を活用することで、リアルタイムでデータを更新し、最新の情報を常に把握することが可能になります。これにより、迅速な意思決定や効率的な業務遂行を支援することができるでしょう。
情報共有
企業の重要情報や目標をダッシュボードで共有することで、組織内の全員が共通の認識を持てるようになります。さらに、今期の予算の消化状況や集客数、KPI(重要業績評価指標)などもダッシュボード上で可視化しておけば、課題感を持って業務に取り組んでもらうこともできるでしょう。また、ダッシュボードを活用することで、部門間のコミュニケーションを促進し、より効果的な意思決定を支援することができます。リアルタイムで更新される情報を共有することで、組織全体の俊敏性と効率性が向上し、ビジネスの成長を加速させることができるのです。
ダッシュボードのメリットとデメリット
ダッシュボードは、企業の意思決定やビジネス戦略立案において非常に有用なツールですが、その導入や運用には様々な観点から検討が必要です。ここでは、ダッシュボードを活用する際に考慮すべきメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
● ダッシュボードのメリット
● ダッシュボードのデメリット
ダッシュボードの導入を検討する際は、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自社の状況や目的に合わせて適切に判断することが重要です。特に、データ分析や可視化のニーズが高い企業にとっては、ダッシュボードの活用が業務効率化や競争力向上につながる可能性があります。
ダッシュボードのメリット
ダッシュボードのメリットとしては以下が挙げられます。
● 正確な分析により自社の現状を素早く把握できる
● データの集計及び資料作成の工数を削減できる
● データの一元化により迅速な判断ができる
これらのメリットにより、企業は効率的なデータ活用が可能になります。特に、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールとしてのダッシュボードは、複雑なデータを視覚的に分かりやすく表示し、意思決定者が迅速かつ正確な判断を下すのに役立ちます。また、データの自動更新機能により、常に最新の情報に基づいた分析が可能となり、ビジネスの俊敏性向上にも貢献します。
正確な分析により自社の現状を素早く把握できる
ダッシュボードを活用すれば、データ分析により可視化された自社の現状及び自社が展開するビジネスの業績などについて、正確に把握することができます。数値化され画面上に表示されたデータをもとにデータマイニングを行い、ビジネスの改善を図っていくことができます。さらに、ダッシュボードの分析機能を使用することで、リアルタイムで最新の情報を把握し、迅速な意思決定を行うことが可能になります。これにより、市場の変化や顧客ニーズの変化に素早く対応し、競争力を維持・向上させることができるでしょう。
データの集計及び資料作成の工数を削減できる
Excelやスプレッドシートなどを使用し、今まで多くの労力と時間が必要だったデータの集計や資料の作成なども、ダッシュボードを利用することで自動化できるようになります。これにより、人材などの経営資源を別のフェーズに充当できるようになるでしょう。また、ダッシュボードの活用によって、データ入力やグラフ作成などの定型業務にかかる時間を大幅に削減し、より戦略的な分析や意思決定に時間を割くことが可能になります。結果として、企業全体の生産性向上にもつながります。
データの一元化により迅速な判断ができる
ダッシュボードは、Google AnalyticsやMAといった各種ツールと連携できます。各ツールから取得したデータを取り込んで一元化すれば、把握できていなかった情報も可視化されるようになります。表面化されていなかった経営指標の悪化や自社の課題なども素早く察知でき、改善のための迅速な判断ができるようになるでしょう。例えば、ダッシュボード上で売上高や顧客満足度などの重要業績評価指標(KPI)を一覧表示することで、経営者や管理職は企業の現状を瞬時に把握し、必要な対策を講じることができます。このようなデータドリブンな意思決定プロセスにより、ビジネスの競争力向上につながります。
ダッシュボードのデメリット
ダッシュボードのデメリットとしては以下が挙げられます。これらのデメリットを理解し、適切に対処することで、ダッシュボードの効果的な活用が可能となります。
● 導入にはコストがかかる
● 過去のデータをインプットする場合に手間となることがある
● データを使いこなすにはスキルが必要
導入にはコストがかかる
ダッシュボードの導入には、初期費用や月額費用などのコストが発生する場合が多く、企業の予算に応じた選択が求められます。また、過去のデータをツールに取り込む際には、互換性の問題や手入力の必要性が生じる可能性があります。さらに、ダッシュボードに表示されるデータを正確に解釈し、適切な意思決定に活用するためには、従業員の分析スキル向上が不可欠です。加えて、重要なビジネスデータを扱うため、セキュリティ対策にも十分な注意を払う必要があります。
ダッシュボード機能を搭載したツールは、初期費用がかかる場合が多々あります。また、こういったツールはクオリティを保つためシステムを更新する頻度も高く、ユーザーの利便性やユーザビリティの面からクラウドで提供している企業も多く存在します。このような場合には初期費用に加え、月額費用もかかってきます。
さらに、機能に応じてオプション料金が発生することもあり、それなりのコストが必要となるケースがほとんどと言えるでしょう。ダッシュボードの導入を検討する際は、自社の予算と照らし合わせて、費用対効果を十分に検討することが重要です。
過去のデータをインプットする場合に手間となることがある
ダッシュボードで企業の現状を把握する際、過去の業績やデータを比較対象として使用することがあります。このような場合、ツールに過去のデータをインプットする必要が生じます。
しかし、自社で保管している過去データの仕様と、ダッシュボードツールの互換性が問題となる可能性があります。互換性がない場合、すべてのデータを手入力でインプットしなければならず、多大な時間と労力を要します。
また、互換性があったとしても、データの形式や構造によっては、一部手作業での調整や入力が必要になることがあります。特に大量のデータを扱う場合、この作業は非常に煩雑で時間がかかる可能性があります。
さらに、過去のデータが紙ベースで保管されている場合、デジタル化する作業も必要となり、追加の手間がかかります。このようなデータの前処理や整形作業は、ダッシュボード導入の際に見落とされがちな隠れたコストとなる可能性があります。
したがって、ダッシュボードを導入する際は、過去データのインプット作業の工数も考慮に入れ、効率的なデータ移行計画を立てることが重要です。
データを使いこなすにはスキルが必要
ダッシュボードの画面にはデータが視覚的に分かりやすく表示されますが、これらのデータを効果的に使いこなすには相応のスキルが求められます。単にグラフや数値を眺めるだけでは、ビジネスの改善につながる洞察を得ることは難しいでしょう。
画面上に表示されたデータから誤った判断を下さないためには、従業員の分析スキルを向上させる必要があります。そのためには、データ分析の基礎知識やダッシュボードの操作方法に関する教育や研修を行うことが重要です。また、定期的なスキルアップセミナーやe-ラーニングなどを通じて、継続的な学習機会を提供することも効果的です。
さらに、データを正しく解釈し、適切な意思決定につなげるためには、業界や市場のトレンド、自社のビジネスモデルについての深い理解も必要不可欠です。これらの知識とダッシュボードのデータを組み合わせることで、より価値のある分析結果を導き出すことができるでしょう。
ダッシュボードの活用方法
ダッシュボードは正確なデータ分析ができる他、リアルタイムでの状況把握や情報の共有などもでき、さまざまな場面で活躍してくれます。これらの特性をうまく利用し、ダッシュボードを有効活用していきましょう。活用方法としては主に以下のようなものがあります。
● プロジェクト管理
● 財務状況の管理
● マーケティング分析
ダッシュボードの特徴である可視化機能を活用することで、複雑なデータを直感的に理解しやすくなります。例えば、KPI(重要業績評価指標)の達成状況を一目で把握できるようになり、迅速な意思決定に役立ちます。また、データの一元管理により、部門間の情報共有が円滑になり、組織全体の生産性向上にも貢献します。
さらに、ダッシュボードを活用することで、データドリブンな企業文化の醸成にも繋がります。従業員一人ひとりがデータに基づいて行動し、継続的な改善を行うことで、組織全体の競争力を高めることができるでしょう。
プロジェクト管理
ダッシュボードはプロジェクト管理を行う際にも利用できます。プロジェクトの進行管理や工程管理、従業員の業務状況などがリアルタイムで反映されるため、業務の効率化に繋げられます。また、ダッシュボードを活用することで、プロジェクトの進捗状況や課題を可視化し、チーム全体で共有することが容易になります。これにより、迅速な意思決定や問題解決が可能となり、プロジェクトの成功率を高めることができます。さらに、リソース配分の最適化や予算管理も効果的に行えるため、プロジェクトマネージャーにとって強力なツールとなります。
財務状況の管理
情報がリアルタイムで反映される特性を活かして、キャッシュフローを管理することもできます。売上高の他、利益率や流動比率といった財務データをダッシュボードに反映させることで、財務状況を効率的に把握できるようになります。また、予算の執行状況や費用対効果などの指標も可視化することで、経営判断に必要な財務情報をタイムリーに確認できます。このように、ダッシュボードを活用することで、企業の財務健全性を維持し、迅速な意思決定を支援することが可能となります。
マーケティング分析
マーケティング分析でダッシュボードを活用する場合は、営業活動における成果や売上状況などを反映させます。成約件数や成約状況、店舗ごとの売上などを反映させることで、リアルタイムに営業の成果を確認できます。成果が落ち込んできたときも早い段階でその原因を発見でき、迅速に改善対策を検討できるようになるでしょう。また、ダッシュボードを活用することで、顧客動向や市場トレンドなどのマーケティングデータを効果的に可視化し、より戦略的な意思決定を行うことができます。これにより、マーケティング施策の効果測定やROIの分析も容易になり、効率的なリソース配分が可能となります。
おすすめのダッシュボード10選
ここまで、ダッシュボードの概要などについて解説してきました。ここからは、ダッシュボードの導入を検討している人に向けて、おすすめのダッシュボードを紹介します。
● Domo
● Qlik Sense
● Microsoft Power BI
● MotionBoard
● Pentaho
● Looker Studio
● Tableau
● Yellowfin
● Salesforce Sales Cloud
● board
各ダッシュボードツールは、独自の機能や特徴を持っており、企業のデータ分析ニーズに合わせて選択することが重要です。導入を検討する際は、無料トライアルや機能比較を活用し、自社の要件に最適なツールを見つけることをおすすめします。
Domo
Domoは、Salesforce、Facebook、AWAなど、1,000以上のコネクターによりソースに接続できるダッシュボードです。そのため、日々さまざまな外部ツールを利用している企業には特におすすめのダッシュボードとなっています。
アラート機能も搭載されており、あらかじめ設定していた予算を超えたときやKPIのしきい値を超えたときなどには、それが通知されるようになっています。
無料のトライアルプランが用意されているので※、どのダッシュボードから試せば良いのか分からない人は、Domoから試してみるのも良いでしょう。
※2023年11月時点
Qlik Sense
Qlik Senseは、AIを活用したデータ分析が行えるダッシュボードです。精度の高い機械学習が用いられており、将来の予測が反映されたAnalytics(アナリティクス)も搭載されています。専門的な知識を要するダッシュボードであるため、より能動的な分析を行いたい企業におすすめです。
Qlik Sensは年間での費用が発生しますが、月額換算すると比較的低価格で利用できるようになっています。社内に専属の担当者が在籍している場合や、より高度な分析をしたい場合に導入を検討してみましょう。
Microsoft Power BI
Microsoft Power BIは、Microsoftが提供しているダッシュボードです。Microsoftが提供していることもあり、Excelなどとの連携が簡易的に行えるようになっています。
またアプリ版も提供されているため、外出先でも定期的にデータを確認することができます。
MotionBoard
MotionBoardは、非常にデザイン性に優れたグラフを作成できるダッシュボードです。3Dマップや地図データなどを用いたグラフを作成できるようになっており、2022年3月時点で、国内シェアNo.1も獲得しています。
営業、経営、マーケティング、人事などの領域で広く利用されており、オンプレミス環境で使える仕様も展開しているため、会社のサーバー環境に合わせつつ、より高度な分析とグラフ作成を行いたい方は、MotionBoardを検討してみると良いでしょう。
Pentaho
Pentahoは、Hitachi Vantara LLCが提供しているサービスで、データ統合とデータ分析の両方を兼ね備えたデータパイプライン・プラットフォームです。世界約180カ国、2,000社以上のリーディング企業や官公庁で15,000件以上の導入実績があります。
Looker Studio
Looker Studioは、Googleが提供するセルフサービスのビジネスインテリジェンス(BI)ツール
です。Looker Studioにはレポートテンプレートがあるため、データを数分で簡単に可視化できます。
またその他の特徴として、直感的に操作できる「ドラッグアンドドロップオブジェクト機能」があります。これにより、データソースを組み合わせるだけで魅力的なレポートが作成できるようになっています。
なお、Googleは「Googleデータポータル」というビジネスインテリジェンス(BI)ツールを保有していました。第3世代BIツールと呼ばれていた開発元であるLooker Data Sciencesを買収して、Googleデータポータルを「Looker Studio」へ改称し、製品統一されました。
Tableau
Tableauは、クラウドかオンプレミスかを選択できるビジュアル分析プラットフォームです。ビジュアルベストプラクティスが組み込まれているため直感的な操作ができるうえ、ユーザビリティを高める工夫が施されています。同コミュニティーには100万人以上のメンバーがおり、情報を共有することができます。
Yellowfin
Yellowfinは、アクションベースのダッシュボードが利用できます。同業他社より美しいダッシュボードを目指しており、非常に見やすくきれいなデザインのダッシュボードとなっています。あらゆるデータをワンクリックで情報分析できるうえ、即座に視覚化できる簡単さも魅力です。
Salesforce Sales Cloud
Salesforce Sales Cloudは、全プランがクラウドサービスとなっています。業務プロセスを自動化しながらコラボレーションさせることができる、プロダクティビティプラットフォームです。自動化にAIをプラスすることで業務スピードをアップさせています。
またAIによる「予測と提示」を活用することで、営業メンバーは適切なアクションを取ることができます。リアルタイムデータを上手に活用することで、効率よく営業活動を行っていけるでしょう。
board
boardは、Microsoft Azureクラウドを利用しているダッシュボードで、あらゆるデバイスからアクセスが可能です。画面のカスタマイズも簡単で、強力なセキュリティと拡張性も大きな魅力です。2,000件以上の導入実績があり、大手グローバル企業にも利用されています。
まとめ
本記事では、ダッシュボードについて詳しく解説してきました。ダッシュボードは、企業の重要なデータを一元化し、視覚的に表示するツールとして、ビジネスインテリジェンス(BI)の重要な要素となっています。その主な役割として、打つべき施策の検討を容易にし、複雑なデータを分かりやすく可視化し、組織内での情報共有を促進することが挙げられます。
ダッシュボードの機能には、分析、チャート・グラフの作成、レポーティング、コネクター、シミュレーションなどがあり、これらを効果的に活用することで、業務効率の向上や迅速な意思決定が可能となります。特に、リアルタイムでデータを更新し、動的に情報を提供できる点が、静的なレポートとの大きな違いです。
ただし、ダッシュボードの導入にはコストがかかることや、データを適切に解釈するスキルが必要となるなど、いくつかの課題もあります。そのため、自社のニーズや予算、既存のシステムとの互換性などを十分に考慮した上で、適切なダッシュボードツールを選択することが重要です。
本記事で紹介した10のおすすめダッシュボードは、それぞれ特徴や強みが異なります。例えば、Domoは多数のコネクターを持ち、Qlik SenseはAIを活用した高度な分析が可能です。Microsoft Power BIはExcelとの連携が容易で、MotionBoardはデザイン性に優れています。企業の規模や業種、目的に応じて最適なツールを選ぶことで、ダッシュボードの効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
ダッシュボードを効果的に活用することで、プロジェクト管理、財務状況の把握、マーケティング分析など、さまざまな分野でビジネスの改善と成長を促進することができます。今後のデータ駆動型の意思決定において、ダッシュボードはますます重要な役割を果たすことが予想されます。