リモートワークの普及により、マーケティングやセールスの場は、オンライン展示会やオンライン商談などデジタルシフトしました。その中でも大手企業のキーマンと接点が取れる手段として、今、CXOレターが注目されています。
エンタープライズ企業ターゲットのマーケティング手法とは? | MarkeTRUNK
CXOレターは企業の役職者に対して手紙を送付する施策を指します。今回は、デジタルではないCXOレター施策がなぜ注目されているのか、その理由と効果の出る方法を紹介します。
目次
CXOレターとは
CXOレターとは、企業の役職者に向けて送付する手紙を指します。CXOはChief X Officerの略で、特定のある役割・業務(X)における執行責任者を意味します。商談を獲得したいターゲット企業の、サービス導入を最終決定をする決裁者、もしくは、導入に際し大きな影響を持つキーマンに直接アプローチするために行われる施策です。
似たような施策にDM(ダイレクトメール)があります。DMは自社のハウスリスト、もしくは専門の名簿業者から入手した企業リストをもとに、営業や宣伝を目的とした製品やサービス、キャンペーンなどに関する広告をはがきや封書で送るものです。
マーケティングにおけるDMの役割とは? その効果と実施のためのポイント | MarkeTRUNK
DMとCXOレターの違いとしては、パーソナライズとカスタマイズ性にあります。DMは大量のリストに対し同じ内容で一斉に送付するため、非常に効率が良く実行できます。一方で、CXOレターはその企業に合わせた内容で1社ごとに手紙を作成するため、限られたリストにしか送付することができません。
そのため、CXOレターは直接接点を持つことが難しい、かつ、数が限られる、大手企業の決裁者・キーマンにアプローチするための施策として多くの企業で取り入れられています。
多くの企業がCXOレターに注目する理由
コロナ禍を契機にリモートワークが急速に普及しました。そのため、担当者に直接アプローチするテレアポや企業訪問が難しくなり、新たな施策が求められるようになりました。そこで再度注目されているのがCXOレターです。その理由としては2つあります。
①担当者の心象を悪くしない
CXOレターはテレアポや企業訪問と異なり、担当者の業務時間を強制的に奪うことなく、自社の製品・サービスを訴求でき、担当者の心象を悪くしません。また、リモートワークで担当者が手紙を見るまでに時間がかかったとしても、担当者が良いと思えばアポイントの連絡を企業からもらうこともできます。
②大手企業の役職者に確実に届く
CXOレターが大手企業に有効な理由として、秘書の存在が非常に大きいです。役職者への送付物はあらかじめ秘書が選別をしてから直接届けられます。そのため、送ったCXOレターが他のDMと区別され役職者の机に届けられれば、役職者の目を通る確率が高くなります。
CXOレターの手順とポイント
CXOレターに取り組むステップとポイントを紹介していきます。取り組むステップは①リスト選定 ②リストクレンジング ③手紙の作成 ④フォローコールの4つです。
①リスト作成
まずどの企業に手紙を送付するのか、企業リストの選定基準を決めていきます。これまでの受注企業や利用履歴などのデータを分析し、受注率やLTVの高い業界や企業規模などを抽出します。また、アプローチすべきキーマンの役職や担当業務・部署なども洗い出していきます。
リストの選定基準が決まったら、どこから企業リストを取得するのか検討します。外部の企業データベースを活用すると、業界や企業規模以外の情報も網羅されているため、より製品・サービスに合うセグメントも可能になります。
外部の企業データベースを活用したターゲティング | MarkeTRUNK
また、すでに商談中や接点を持っている企業、過去に接点を持ったことのある企業に対して手紙を送付するのか、セールスと確認してリストへ反映する必要があります。商談中の企業へ手紙を送付してしまうと企業の心象を悪くするため、抜け漏れのないようなリスト管理方法を構築しておくことが重要です。
②リストクレンジング
選定基準に基づいて取得した企業リストから、その情報が最新情報であるかの確認と、手紙の宛先となる対象者を調べていきます。これは次の手紙の作成と一緒に取り組むと効率的です。具体的には企業のホームページを見たり、上場企業であればIR情報を確認し、封筒に記載する住所と企業名と宛名を調べていきます。
③手紙の作成
リストクレンジングを行ったら、次は同封する手紙を作成していきます。手紙は企業のホームページやIR情報を確認しながら、1社ごとにカスタマイズしますが、冒頭のあいさつや製品・サービス紹介など共通する部分はテンプレートで用意すると効率よく作成できます。
「なぜ、手紙を送付したのか」「製品・サービスの導入によって何が実現できるのか」といった部分はその企業に伝わる内容で作成していくことがアポイント獲得に重要です。手紙を送付する封筒や切手、便箋にもこだわり、秘書が選別する際に重要な手紙であるように感じさせることもポイントです。
④フォローコール
手紙の送付後にフォローコールを行うことで、アポイントが獲得しやすくなります。手紙を送ってから3営業日を目途にフォローの電話を行います。電話を行う際にはトークスクリプトを用意しておくとスムーズです。
手紙を読んでいる場合と読んでいない場合、そして、秘書が対応する場合のトークスクリプトをそれぞれ事前に作成すると良いでしょう。また、電話に繋がらなかった場合でもタイミングを分けて、最低3回以上フォローコールを行うようにし、担当者に接点を取るようにします。
CXOレターの効果をさらに上げる手紙の工夫
CXOレターの4つの手順はいずれも重要な取り組みですが、より他社と差別化してアポイントを獲得するには手紙を工夫することで可能になります。
秘書のもとに届いた際に、重要な手紙であると認識させ、役職者・キーマンの机に届くようにしなければなりません。そのためには手紙の外観である、封筒・切手・宛名書きで工夫をします。
①封筒
封筒は自社の社用封筒を使わず、和紙封筒が無難で間違いないでしょう。社用封筒は秘書に営業の手紙といったような事務的な印象を与え、処分される可能性が高くなってしまいます。
②切手
切手も通常の普通切手では目に留まらず、社用封筒と同じような印象を与えてしまうでしょう。郵便局や郵便局のネットショップで購入できる「記念切手」を貼ると、特別な印象を与えることができます。また、シール式を使うと手紙の封入作業も効率よく行えます。
③宛名書き
封筒の宛名はコピー機で印字してしまうと、事務的な印象を与えてしまいます。1社1社に宛てて作成していく意味でも、手書きで用意しましょう。ある程度まとまった量があれば、筆耕サービスに依頼しても良いでしょう。
まとめ
・CXOレターとは企業の役職者に向けて送付する手紙を指す。商談を獲得したいターゲット企業の、サービスの導入を最終決定をする決裁者、もしくは、導入に際し大きな影響を持つキーマンに直接アプローチするために行われる施策
・CXOレターが再度注目されているの理由として、①担当者の心象を悪くしない ②大手企業の役職者に確実に届くの2つある
・CXOレターに取り組むステップは①リスト選定 ②リストクレンジング ③手紙の作成 ④フォローコールの4つ
・秘書のもとに届いた際に重要な手紙であると認識させ、役職者・キーマンの机に届くようにするためには手紙の外観である、封筒・切手・宛名書きで工夫をする