BtoBサービスに限らず、新たな製品やサービスをリリース直後は知名度もなく、利用顧客もいない状態から、認知を獲得しながら新規顧客を獲得していきます。このフェーズで獲得すべきターゲット企業は、リファレンスカスタマー・ティーチャーカスタマーです。
また、徐々に認知が得られ利用顧客が増えてくると、獲得する企業層は変わってきます。このようにサービスの成長段階で獲得するそれぞれの企業層に対し、適切なマーケティング施策を行うことはマーケティングの効率化、利益の最大化につながります。
今回はサービスの成長段階におけるターゲット企業層とそれぞれ企業層に適切なマーケティング施策を紹介します。
目次
リファレンスカスタマー・ティーチャーカスタマーとは?
リファレンスカスタマーとは、製品・サービスの代表的なユーザーである企業を指します。特定の業界、あるいは業界を超えて影響力を持つ、または、ネームバリューのある企業が製品・サービスを導入し成功事例を1つ作ることができれば、それを横展開して新規導入の企業を増やすことができます。
また、ティーチャーカスタマーとは、新たにリリースされた製品・サービスをどの企業よりも早く導入し、製品・サービスの要望や不足部分をフィードバックする顧客のことを指し、リファレンスカスタマーのように業界をリードする企業が該当します。
新たな製品・サービスのリリース直後は知名度もなく導入実績もないため、より多くの企業からの認知を獲得しながら、ターゲット企業のニーズを満たす、訴求力・競争力ある製品・サービスになるよう改善を行なわなければいけません。
リファレンスカスタマーやティーチャーカスタマーを早期に獲得することができれば、新規顧客の獲得や製品・サービスの改善が可能になります。そして、製品・サービスをより多くの企業へ導入拡大していくフェーズへ進むことができます。
製品・サービスにはライフサイクルによって、獲得すべき(できる)企業の層が異なります。リファレンスカスタマー・ティーチャーカスタマーはプロダクトライフサイクルの導入期において、獲得すべき企業となります。
プロダクトライフサイクルで獲得できるそれぞれの企業層に対して、適切なマーケティング活動を行うことが、マーケティングの効率化、ひいては事業利益の最大化につながっていきます。
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プロダクトライフサイクルとイノベーター理論
製品・サービスのそれぞれの成長段階で獲得できる企業層に関しては、プロダクトライフサイクルとイノベーター理論が関連します。
①プロダクトライフサイクル
プロダクトライフサイクルとは、製品・サービスが市場に登場してから、売り上げを拡大し、やがて市場から衰退してくまでのプロセスを指し、この一連のプロセスを複数の段階に分けて捉えます。
プロダクトライフサイクルには「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つのステージがあります。
導入期
新たな製品・サービスをリリースして間もない時期。新たな製品・サービスについて知られていないため、知名度を上げることに注力
成長期
市場全体が大きくなり、製品・サービスの売上も急上昇していく時期。新規参入する企業が出てくるため、他社製品・サービスと差別化を図るプロモーションが必要
成熟期
競合他社が増え、市場が成熟してくる時期。ニーズに限界が生まれて市場の拡大が見込めなくなるため、限られた市場の中で自社製品・サービスの売上を維持・最大化が重要
衰退期
ニーズがなくなっていくため、市場規模も売り上げも低下していく時期。いかに既存の顧客を維持するかの戦略が求められ、場合よって撤退も視野に入れる。
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②イノベーター理論
イノベーター理論とは、消費者を5つの層に分類することにより、新しい製品・サービスである「イノベーション」がどのように市場に普及していくのかを分析した理論です。
イノベーター(革新者)
「新しさ」を重視する人たちで消費者全体の2.5%を占めると言われる。
アーリーアダプター(初期採用者)
流行に敏感で、情報収集を積極的に行い、製品・サービスの「ベネフィット」に着目し、新たなベネフィットがあるかどうか判断し購入。後続のアーリーマジョリティやレイトマジョリティに対する影響力が大きく、市場全体の13.5%を占めると言われる。
アーリーマジョリティ(前期追随者)
新しい製品・サービスの購入には比較的慎重な人たちで、全体の34%を占めると言われる。アーリーアダプターの影響を強く受ける傾向があることから、市場全体へ浸透する橋渡しとなる。
レイトマジョリティ(後期追随者)
新しい商品やサービスに対して懐疑的な人たちで、全体の34%を占めると言われる。まわりの動向を注意深くうかがい、半数を超える人たちが受け入れたことを確認して購入する。
イノベーター理論では、イノベーターからアーリーアダプターまでの普及が、次のアーリーマジョリティやレイトマジョリティまでに広がるかどうかの分岐点になると言われています。さらに、アーリーアダプターだけでなくアーリーマジョリティに対するマーケティング戦略も重要だとする「キャズム理論」も生まれています。
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各プロダクトライフサイクルにおける企業層
プロダクトライフサイクルで獲得できる企業層について、企業層に対する具体的なマーケティング施策と合わせて紹介します。
①導入期 × イノベーター、リファレンスカスタマー、ティーチャーカスタマー
導入期は製品・サービスの知名度を上げることに注力します。そのため、「新しさ」を求めるイノベーターに対して積極的に認知獲得のためのプロモーションを行います。そのためにはGoogle広告などのWeb施策や展示会などのオフライン施策で積極的に認知向上を図りながら、製品・サービスのブランディングを行っていきます。
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また、上述のリファレンスカスタマー・ティーチャーカスタマーもこの導入期で獲得すべきターゲット企業として含まれます。
②成長期 × アーリーアダプター、 アーリーマジョリティ
成長期には、イノベーターから流行に敏感なアーリーアダプターへ企業層が移行します。流行に敏感なアーリーアダプターは製品・サービスの「ベネフィット」に着目し購入を判断するため、高性能や新機能を訴求すると効果的です。
成長期が進むと、アーリーアダプターからアーリーマジョリティに徐々に移行します。アーリーマジョリティは新たな製品・サービスの購入に対しては比較的慎重であるため、導入企業実績や事例、顧客満足度を示すことで信頼感・安心感を醸成すると良いでしょう。
またこの時期には、新規参入の企業が出始めている時期でもあるため、競合他社との違いや強みを訴求しながら他社と差別化したプロモーションが重要となります。
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③成熟期 × レイトマジョリティ
市場が拡大した成熟期では企業層はレイトマジョリティへ移行しており、プロモーションを行えば単純に新規契約企業が増えるという段階です。しかし、成熟期が進むと市場ニーズに限界が生まれるため、徐々に既存顧客からの売上維持や最大化が重要となります。
また、この時期は競合他社が多く価格競争に陥りがちであるため、顧客との関係構築を強固にし顧客ロイヤルティを高める施策を行ったり、製品・サービスのブランディングを強化し競合とのさらなる差別化を図ります。
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まとめ
・リファレンスカスタマーとは、製品・サービスの代表的なユーザーである企業を指す。また、ティーチャーカスタマーとは、新たにリリースされた製品・サービスをどの企業よりも早く導入し、製品・サービスの要望や不足部分をフィードバックする顧客のことを指す。リファレンスカスタマー・ティーチャーカスタマーはプロダクトライフサイクルの導入期において、獲得すべき企業である。
・製品・サービスのそれぞれの成長段階で獲得できる企業層に関しては、プロダクトライフサイクルとイノベーター理論が関連する
・成熟期が進むと市場ニーズに限界が生まれるため、徐々に既存顧客からの売上維持や最大化が重要となる