昨今、ITやスマートフォン、IoTなどが我々の日常生活に広く普及していますが、その背景にはGAFAの存在があります。GAFAのサービスは生活の一部になるほどインフラ的な役割を担っていますが、その他の企業の成長の妨げになるのではないかという声も挙がっています。
しかし、そもそもGAFAがどのような企業であるか分からない、なぜ注目されているのか具体的に理解できない方は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、GAFAの概要やビジネスモデル、GAFAが世界的に注目されている理由を解説します。また、GAFA規制における日本の動きに関しても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
GAFAとは4つの企業の頭文字
まずは、GAFAの概要からご説明します。GAFAとは、世界的IT企業である「Google」「Amazon」「Facebook(現Meta)」「Apple」の4つの会社の頭文字を取った言葉のことです。読み方は「ガーファ」で、これら4つの企業はITを駆使しながらインフラを提供し、生活になくてはならないプラットフォームの役割を果たしています。Microsoft(マイクロソフト)を加えて「GAFMA」と呼ばれることもありますが、ここでは、GAFAそれぞれの時価総額やビジネスモデルをご紹介します。
Google(グーグル)
Googleは、1998年に設立された企業で、検索エンジンである「Google」を提供しています。Googleアカウントを1つ作成すれば、ドキュメントを作成できるGoogleドキュメントを利用できたり、Excelの代替となるGoogleスプレッドシートを利用できたりします。また、広告を出稿するために必要なキーワードプランナーや、WEBサイトのアクセスを解析できるGoogleアナリティクス等も提供しています。つまり、WEB上におけるインフラ的な役割から、広告を出稿するところまで幅広くサービスを提供していることが特徴です。
時価総額
Googleの親会社アルファベットの時価総額は、2021年11月時点で1兆9,800億ドルです。過去半年間のデータを見ても右肩上がりに時価総額が増しており、今後もサービスの拡充や競合他社の追随を許さない圧倒的なデータ量を踏まえると、上がり続けるのではないかと予想されています。
ビジネスモデル
Googleのビジネスモデルは、検索エンジンにアクセスしているユーザーや、Googleアカウントを保有しているユーザーデータを起点にしています。たとえば、特定の地域や年代のユーザーに絞って広告を出稿できるリスティング広告や、リターゲティング広告が代表例です。他にも、YouTubeを閲覧しているユーザーのセグメントを分析し、広告を出稿できるYouTube広告といったサービスも提供しています。つまり、Googleは売上の大半を広告が出稿されることによって得ています。
Amazon(アマゾン)
Amazonは、世界最大のECサイトである「Amazon」を運営している企業です。日常生活に必要なあらゆる物品を格安で購入することができ、日常生活に欠かせないインフラとして機能しています。また、近年ではラジオや本の読み上げ、好みの音楽を流してくれるAIアシスタントである「Amazon Alexa」も注目を集めています。
時価総額
Amazonの時価総額は、2021年11月時点で1兆8,600億ドルとなっています。創設者である「ジェフ・ベゾス」は世界一の富豪であることで有名で、2,000億ドルを超える資産を保有しているとされています。
ビジネスモデル
Amazonのビジネスモデルは、ECサイトであるAmazonでの売買による手数料から大きな売上を得ています。また、映画等のコンテンツが配信されるサブスクリプションサービスの「Amazonプライム」や、上述した「Amazon Alexa」など幅広くサービスを展開していることが特徴です。また、あまり知られてはいないものの、融資サービスも提供しています。
Facebook(フェイスブック)
Facebook(現Meta)は2004年に設立され、GAFAの中では最も歴史の新しい企業になります。世界最大級のSNSである「Facebook」をサービスとして提供しており、全世界のアクティブユーザーは25億人を超えると言われています。ユーザーのかなり詳細なデータを保有しているため、ユーザーデータを活かしたビジネスを展開しています。
時価総額
Facebook(現Meta)の時価総額は、2021年11月時点で約9,600億ドルです。GAFAの中では最も少ない時価総額ではあるものの、世界的に見れば脅威的な数字であることに変わりはありません。
ビジネスモデル
Facebookのビジネスモデルは、Facebookに登録しているユーザーから詳細なデータを取得し、セグメントを切った上での広告配信が主になります。出身大学、年齢、既婚か未婚、趣味といった詳細なパーソナルデータを保有しているため、特定のユーザーに絞り込んで広告を出稿したい企業に多く利用されています。
また、Facebookは「Instagram」を買収したことでも有名です。Facebookは自社の脅威となりそうな企業や、有効活用できると考えた企業を積極的に買収し、高品質なサービスに育てることで、同業他社を徹底的に潰すことでも知られています。2012年には、「ワッツアップ」というメッセンジャーアプリを買収しました。
Apple(アップル)
Appleは、世界的な著名人である「スティーブ・ジョブズ」が設立した企業で、iPhone等のハードウェアを提供しています。「MacOS」や「iOSといったアプリケーションやOSも手掛けていることで知られています。また、クラウド上で様々なものを共有したり、アクセスできたりする「iCloud」や、アプリケーションをダウンロードできる「App Store」も人気サービスの1つです。
時価総額
Appleの時価総額は、2021年11月時点で、2兆6,300億ドルとなっています。世界の時価総額ランキングでも、常に1位2位を争っていることでも有名です。
ビジネスモデル
Appleのビジネスモデルは多岐にわたります。Appleは「iPad」や「MacBook」「iPhone」といったハードウェアを提供していることに加えて、取り込んだ音楽を流せる「iPod」も提供しています。
また、クラウド上で様々なものを編集できる「iCloud」や、ノイズキャンセリング機能が搭載されたイヤホンである「AirPods」など、多角的にビジネスを展開していることが特徴です。
世界中がGAFAに注目する理由
ここまで、GAFAの時価総額やビジネスモデルを解説してきました。ここからは、世界中がGAFAに注目する2つの理由を解説します。
・ 世界最大級のプラットフォーム
・ インフラとしての役割を担っている
それぞれ順番に見ていきましょう。
世界最大級のプラットフォーム
Googleであれば検索エンジン、AmazonであればECサイト、FacebookであればSNSなど、それぞれが世界最大級のプラットフォームを持っています。それらのプラットフォームから顧客情報を取得し、情報を基に新しいビジネスやサービスを展開できるため、向かうところ敵なしの状態になっているのが現状です。
インフラとしての役割を担っている
GAFAは、世界中でインフラとしての役割も担っています。Amazonというショッピングサイトであらゆる物品を購入することもできますし、YouTubeやSNSで日々コンテンツを消費することもできます。日々の生活で私欲や需要を満たす上で、GAFAの存在は欠かせないものとなっています。
GAFA規制における日本の動き
先ほど、GAFAが世界中で注目されている理由を解説しましたが、GAFAが危険視されていることも事実です。それは、GAFAがビッグデータを保有しており、なおかつプラットフォームによって市場を独占しているためです。さらに、GAFAは税率の低い国に本社を置いているため、納税額も驚くほどに低いです。これらの理由からGAFAは危険視されていますが、日本では以下2つのGAFA規制における動きが見られます。
・ 独占禁止法
・ 官民データ活用推進基本法
それぞれ順番にご説明します。
独占禁止法
以前までの独占禁止法では、事業者間取引の規律のために存在し、サービスの提供者と消費者が同等の立場でなければならないと定められていました。しかし、2019年に公正取引委員会は、独占禁止法の解釈基準を明確に示しました。それは、プラットフォーマーの個人情報の取得や利用においても、独占禁止法が適用されると明言したのです。これによって、プラットフォーマーによる個人情報の不当な取得や利用は「優越的地位の濫用」にあたるとし、違法行為とみなされるようになりました。
官民データ活用推進基本法
官民データ活用推進基本法は、2016年に成立した法律です。官民データを幅広い分野で活用したり、行政の手続き等をオンラインで行えるようにできたりする法律で、特定の団体や企業が個人データを容易に独占できなくなりました。そのため、GAFAの保有しているビッグデータに対抗する法律として期待が高まっています。
まとめ
本記事では、GAFAの概要や時価総額、ビジネスモデルや世界中が注目している理由などを解説しました。GAFAは世界最大級のプラットフォームを持ち、ビッグデータも保有していることから、インフラとしての役割も担っています。
時代の最先端を走るビジネスも常に展開しているため、今後のGAFAの動きやビジネスモデルを参考に、新規事業の立ち上げ等のアイデア出しの参考にしてみてはいかがでしょうか。