一般的に言われるパラメータとは、母集団が持つ固有の統計量のことを言います。しかし、Web業界で使用されるパラメータは、若干意味合いが異なります。Web業界のパラメータは、主にURLとブラウザ間でのやり取りを行うプログラムのことを指し、リスティング広告等の効果測定やMAツールで活用されています。
本記事では、パラメータの概要や活用シーン、それぞれの注意点を解説しますので、ぜひ今後のデータ分析等にお役立てください。
目次
パラメータ(Parameter)とは?
パラメータは、統計学や数学上では、母平均や母分散などの、母集団が持つ固有の統計量のことを言います。つまり、パラメータは、統計学や数学の世界では「母数」という意味で使われるのです。
パラメータという言葉は、Web業界でもよく使用されますが、Web業界ではどのような意味で使われるのでしょうか。説明していきましょう。
Web業界のパラメータ
Web業界で使用されるパラメータという言葉の意味は、WebブラウザがWebサーバーに送信するプログラムのことを言います。
プログラムと言っても、ここでは指示書のようなものを指しています。指示書を送られたサーバーは、その指示に見合ったデータをブラウザに返します。それでは、指示書はどのようにWebサーバーに対して送信されるのでしょうか。ここで、URLパラメータというものが使用されるのです。
インターネットを見ていると、末尾に「?」がついているURLを見たことはありませんか?たとえば、「https://aaaaaa.co.jp?color=red」というURLです。この例で言うと、「?」の後ろの「color」の部分がパラメータ名、「red」の部分がパラメータの値になります。
個々に入力されたパラメータ名・値を受け取ったサーバーは、データベースの中から「colorグループの中のred」というデータをブラウザに返してくるのです。
つまり、URLパラメータとは、サーバーに指示書を送る目的で外部から投入される変動要素のことです。ちなみに、複数のパラメータを送りたい場合は、「&」で区切ります。(例:https.//aaaaaa.co.jp?color=red&color=blue)
パッシブパラメータ
URLパラメータは、パッシブパラメータとアクティブパラメータの2つに分けられます。
パッシブパラメータとは、外部から影響を受けないタイプのパラメータです。パッシブパラメータは、URLパラメータがついていてもついてなくても、コンテンツ内容が変動することはありません。これを静的ページと言います。
ユーザーのアクセス数や、経路などのアクセス解析ツールで、情報収集するために使用されます。これについては以下で詳述します。
アクティブパラメータ
アクティブパラメータは、パラメータを送ることによって、Webコンテンツの内容が変化するタイプのパラメータです。これを動的ページと言い、ECサイトに使用されることが多いパラメータです。
たとえば、「clothes」というお店があって、そのお店のサイトのURLが「https//clothes.com」だったとします。このURLを開けば、そのお店のサイトのトップページに行きますが、末尾に「?shirt=yellow」というパラメータをつければ、そのお店のサイトの黄色いシャツが表示されます。
このようにアクティブパラメータは、外部からのURLパラメータによって、コンテンツ内容が変化していくものなのです。
どちらのパラメータでもSEO効果に変わりなし
パッシブパラメータもアクティブパラメータも正しくインデックスされているのであれば、SEO施策上の評価は変わりません。
少し前までは、動的ページよりも静的ページの方が評価される傾向にありました。つまり、アクティブパラメータよりもパッシブパラメータの方がSEO施策上有利とされていたのです。
しかし、現在は検索エンジンのアルゴリズム向上によって、パッシブパラメータでもアクティブパラメータでもほとんど大差がないと言われています。
パラメータの活用シーン【Web業界】
ここまでは、パラメータという概念について説明してきましたが、実際にパラメータはどのような形で活用されるのでしょうか。ここでは、パラメータがWeb業界で活用されるシーンについて解説していきます。
リスティング広告等の効果測定
URLパラメータは、リスティング広告の効果測定の際に使用されます。
Googleアナリティクスやアクセス解析ツールなどでURLパラメータは活躍しているのです。広告のリンク先URLにパラメータを付与しておくと、Googleアナリティクス側で広告経由のアクセスやコンバージョンなどを解析することができるといった感じです。
例を出してみましょう。たとえば、Googleリスティング広告経由からの流入の場合は、URLパラメータ「?source=Google」を付与します。トップページからの流入の場合は、URLパラメータ「?source=index」を付与します。特定のメールからの流入の場合は、URLパラメータ「?source=mail」を付与します。
このように、それぞれのURL先にパラメータを付与することで、ユーザーがどの経路から流入してきたのか知ることができ、より詳細な解析・分析が可能になります。もしURLパラメータを付与しない場合、ユーザーがどこから流入してきたのか解析することができません。そのため、広告やGoogleアナリティクス、アクセス解析ツールにはURLパラメータは必須なのです。
<流入元の違いによりパラメータの値を変更する>
● 「リスティング広告経由からの流入」:https://aaaaaaaa.com/?source=Google
● 「ホームページからの流入」:https://aaaaaaaa.com/?source=index
● 「特定メールからの流入」:https://aaaaaaaa.com/?source=mail
MAツールを活用した個人特定
MA(マーケティングオートメーション)ツールを利用していると、URLパラメータはよく登場します。
MAツールとは、新規顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化、自動化するツールのことです。MAツールは、送信するメールに記載されているURLに、URLパラメータとしてユーザーIDを自動的に付与すると言う特徴があります。
そのため、ユーザーがそのURLをクリックすれば、どのユーザーがクリックしたのかを特定することができます。そして、この時にブラウザのcookieにユーザーIDが登録されるため、そのユーザーがその後もWebページを閲覧している場合、随時MAツールで分かるようになるのです。
パラメータを利用する際の注意点
URLパラメータを利用すると、Googleに重複コンテンツであるとみなされる可能性があります。
たとえば、ECサイトでユーザーが商品のカラーを選択し、コンテンツをフィルタリングしたとします。しかし、ユーザーが選んだ商品のカラーが変わっただけで、コンテンツ内容はほぼ同じです。フィルタリングと同時にパラメータを付与しても、それはパラメータなしの本来のURLと同じものとして認識されてしまいます。
Googleは重複コンテンツを嫌う傾向にあります。Googleのクローラーは、さまざまなページをユーザーに届けようとするため、重複したページは検索結果に表示されなくなってしまうのです。
そこで、Googleから低い評価を受けてしまわないために、「URLパラメータツール」を使用するという手段があります。これを使用すれば、ECサイトなどでフィルタリングをしても、重複コンテンツと判断される確率が低くなります。
まとめ:URLパラメータに関する理解を深めましょう
本記事では、URLパラメータについて解説してきました。
URLパラメータとは、Webサーバーに指示を出す指示書のようなものです。その指示書を受け取ったWebサーバーは、データベースからそれに合う結果をブラウザに返します。
また、URLパラメータには、パッシブパラメータとアクティブパラメータがあります。パッシブパラメータは、外部から影響を受けず、広告や解析ツールに使用されます。アクティブパラメータは外部から影響を受け、それに合わせてコンテンツの内容も変わります。
URLパラメータは、web業界において活用する機会も多くあり、メリットもありますが、Googleに重複コンテンツと判断されてしまうなどのデメリットもありますので、注意をしましょう。
本記事で説明したURLパラメータの知識を深め、自社のマーケティングで有効に活用できるようにしていきましょう。