デジタルマーケティングとは何か、Webマーケティングとの違いや成功事例、具体的な手法を解説します。Webサイト運用やSNSアカウントの運用、リスティング広告をはじめとするインターネット広告配信、IoT活用、AR/VR活用などあらゆる媒体を活用したデジタルマーケティングについて理解を深めましょう。
目次
デジタルマーケティング戦略の強みはデジタルデータ
デジタルマーケティングとは、WebサイトやSNS、メール、アプリ、ビッグデータ、AIなど、「あらゆるデジタル技術」を利用したマーケティング活動の総称です。
インターネットやIT技術が進歩したことで、多くの人がパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器を日常的に利用するようになりました。それにともない、ECサイトやアプリで買い物をするなど、消費者の行動にも変化が生まれ、店頭での販促活動、マスメディアによる広告宣伝・PRだけでは、消費行動を把握することは困難となりました。そこで登場したのが、デジタルマーケティングという概念です。
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デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い
デジタルマーケティングと似た意味で使われるのが「Webマーケティング」です。この2つは扱う範囲に大きな違いがあります。詳しく見ていきましょう。
デジタルマーケティングの範囲
デジタルマーケティングの範囲は幅広く、たとえばWebサイトで得られるユーザー行動だけでなく、タブレットやスマートフォンのブラウザや公式アプリでの行動履歴はもちろん、IoT経由のデータなど、あらゆるデジタル情報が含まれます。また、対面型のイベントの際には、その反響や店舗への来店データ、購入履歴といったリアルの場での活動データも収集対象になるのが特徴です。
デジタルマーケティングを活用することで、様々なチャネル(販売経路)を通じて顧客と接触する「オムニチャネル化」が可能になります。
Webマーケティング
一方、Webマーケティングとは、Webサイトを中心に行うマーケティングのことです。Webサイトをはじめ、SNSやメール、Web広告、アフィリエイトといったもののマーケティングを中心に扱います。一方で、IoTやAIの活用などは対象外となります。
つまり、Webマーケティングはマーケティングの場をWebに限定した、デジタルマーケティングの一部といえます。
デジタルマーケティングの特徴
デジタルマーケティングはどのような特徴があるのでしょうか。具体的に以下のような特徴があります。
・ システムによる自動調整ができる
・将来的にはAI技術の活用によりさらに精度の高いマーケティングが可能
システムによる自動調整ができる
デジタルマーケティングでは、顧客の行動データを自動で蓄積することができます。
テレビや新聞などの伝統的なマスメディアが主な宣伝手段だったころのマーケティング戦略では顧客の潜在ニーズや顕在ニーズ、購買行動、本音や興味関心などのデータは入手困難でした。しかし、近年ではこれらの膨大な量の顧客データを簡単に手に入れられるようになったのです。
そして、顧客データの解析を行い、その顧客にマッチした商品やサービスを提示できるようになりました。
そして、それらの作業は人間が行わなくても、マーケティングツールを使用することにより、自動調整されて顧客のもとに情報が届けられます。
将来的にはAI技術の活用によりさらに精度の高いマーケティングが可能
デジタルマーケティングはAIとも相性がよく、AI技術を導入することによりさらに精度の高いマーケティングが可能となります。
またデジタルマーケティングとAIを組み合わせることで、従来まで実現できなかったこともできるようになります。具体的に以下のような効果が期待できます。
・One to Oneマーケティング(顧客個別対応)を効率的に行うことができる
・顧客の行動を予測し先回りして対処ができる
・効率化や利益率の向上が期待できる
・収集した顧客データからCX(顧客体験)及びCS(顧客満足度)の高い媒体を作成可能
One to Oneマーケティング(顧客個別対応)を効率的に行うことができる
デジタルマーケティングにAIを活用すると、One to Oneマーケティング(顧客個別対応)を効率的に行うことができます。
膨大な量の顧客データをAIが管理することにより、顧客一人ひとりに最適な情報を提供し、適切な対応を取ることができるようになります。
消費者行動は年々複雑化しており、AIに任せることで難しい対応を簡単に自動化できるとともに、顧客データの一元管理が可能となるのです。
顧客の行動を予測し先回りして対処ができる
デジタルマーケティングにAIを取り入れると、顧客の行動を予測できるようになります。
例えば、サブスクリプション方式(サブスク=月額課金制)での顧客に対して、退会に至った経緯をAIに分析させることで事前に施策が打てるようになります。
サイト内における顧客の行動やサポート活用状況、サービスの使用頻度などを分析して、似たような行動履歴を辿っている顧客に対して特典やポイントを付与してあげたり、サポートを強化したりします。
このような施策を事前に行えば、中途退会の割合を減らせるでしょう。
このように顧客行動をAIに分析させることで先回りし、おもてなし精神で人間が顧客に対して対応するのが理想的です。
効率化や利益率の向上が期待できる
オンライン上ではいくらでも作業を簡略化することができます。
それまで人間のオペレーターが一つひとつ手作業で行っていた膨大な量の確認作業も、AIに任せれば一瞬にして結果がはじき出されます。
また顧客の応対などでも、すべての顧客に対して人間のオペレーターが応対する必要はなくなります。、なぜなら、一部の顧客に対してはAIがオペレーターの代替をするからです。
例えば購入前の顧客に対してはAIで応対させ、購入後の顧客やクレームの応対などは人間が行うなどすれば、作業を効率化できます。しかも、人件費も削減できるので利益率の向上が期待できます。
収集した顧客データからCX(顧客体験)及びCS(顧客満足度)の高い媒体を作成可能
デジタルマーケティングにより得られた膨大な量の顧客の行動データや購買データの分析結果から、CX(顧客体験)及びCS(顧客満足度)の高いECサイトを作成することもできます。
サイト内で、顧客の訪問したページやクリックした広告、閲覧した商品ページなどをAIに分析させ、商品の陳列や配列を工夫することで商品購入率を上げることができます。
さらにそのような顧客の行動履歴から、顧客の興味関心が高いと思われるコンテンツをAIに予測させ、顧客のクリックし易い位置にコンテンツページへのリンクタグを自動表示させることで、さらに商品購入率を上げることができます。
このように顧客が回遊しやすいサイト構成にすることで、サイト滞在時間が伸びると同時に、CX(顧客体験)及びCS(顧客満足度)の高いECサイトとなるのです。
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デジタルマーケティングの目的
デジタルマーケティングをなぜ行うのでしょうか。それは、従来まで主流だったマスマーケティングでは成し得なかった効果的かつ効率的なマーケティング施策を実施できるためです。具体的には以下のような目的があります。
・見込み客に向けて最適化されたマーケティング施策を実施できる
・顧客のデジタルデータを収集しマーケティング戦略に活用できる
見込み客に向けて最適化されたマーケティング施策を実施できる
デジタルマーケティングを行う目的の一つとして挙げられるのが、見込み客に向けて最適化されたマーケティング施策を実施ことがあります。
特に、顧客一人ひとり個別に対応していく「One to Oneマーケティング」との相性は抜群です。
One to Oneマーケティングは、従来のマーケティングのように顧客をセグメント分けするのではなく、その人一人ひとりに適した情報提供を行い、購買に結びつけるマーケティング手法です。
特に、インバウンドマーケティングにおいては、ペルソナによるターゲティングの設定如何(いかん)で奏功する場面も多く、One to Oneマーケティングの精度を高めることは、成否に結び付く重要な作業と言えるのです。
顧客のデジタルデータを収集しマーケティング戦略に活用できる
マーケティングのみならず、企業を運営していく上で欠かすことのできない重要な作業工程とも言えるのが「PDCAを回すこと」です。
どのような企業もPDCAサイクルにおける業務の改善無くして、企業の運営を安定させていくことは困難と言えます。
もちろんマーケティングにおいても例外ではなく、売上向上のために効果測定を定期的に実施する必要があります。
しかしながら、デジタルマーケティングにおいて重要な「顧客のデジタルデータ」を比較的簡単に入手できるのは「デジタルマーケティングの特徴」でも述べた通りです。
従来のマスメディアを利用した広告手法は効果測定という点で難があります。この点デジタルマーケティングであれば、収集された顧客のデジタルデータをもとにリアルタイムで効果測定ができます。
つまり、デジタルマーケティングはマスマーケティングなどと比べて、格段にPDCAを回しやすいことも特徴のひとつとして挙げられるのです。
このように、収集された顧客のデジタルデータをマーケティング戦略に活用できることも、デジタルマーケティングを行うひとつの目的と言えます。
関連記事:PDCAサイクルとは?他の手法との違いや定着させる方法、企業実例
デジタルマーケティングの手法
Webサイト運用
広告マーケティング
IoT活用
Eメールマーケティング
アプリマーケティング
マーケティングオートメーション
SNSマーケティング
動画マーケティング
デジタルマーケティングで行われる具体的な手法を8つご紹介します。デジタルマーケティングのみで扱うものもあるため、Webマーケティングからデジタルマーケティングに範囲を拡大する予定の方はぜひ確認しておきましょう。
Webサイト運用
消費者は「Webサイトで情報収集する」「Webサイトから直接購入する」ことが当たり前となっています。そのため、自社商品やサービスの認知度向上、販売促進にWebサイト運用は欠かせません。サイト運用で代表的な施策は以下の2つです。
集客施策
膨大なWebサイトの中から自社サイトへ集客するために、「SEO対策」が必要です。検索結果が上位に出てくるWebサイトほど見てもらえる可能性が高くなります。コンテンツの質を上げ、検索結果の上位に表示されるための工夫をしましょう。また、「インターネット広告」を出して、ユーザーの目に触れる機会を増やすのも有効です。
コンバージョン獲得施策
商品が売れる、サービスを利用してもらうなどのゴールにたどりつくよう、動線を作る施策が必要です。この成果(ゴール)をコンバージョンと言いますが、たとえば通販サイトでは商品購入がひとつのコンバージョンと言えるでしょう。ユーザーがコンバージョンに至りやすいようサイトを改善する、コンテンツを最適化する、フォームを最適化するなどの施策を検討しましょう。
CTA設計・見直しでコンバージョン率を改善する方法についてはこちら
広告マーケティング
2つ目は、広告マーケティングです。Webサイト上、アプリ上などインターネット上で見かけるあらゆる広告を使い、サイトへの誘導や商品購入などにつなげるマーケティングを指します。ここで活用する広告にはいくつかの種類があるため、目的に沿った広告を活用しましょう。
リスティング広告
リスティング広告とは、ユーザーが検索したキーワードに関連する広告を、検索結果画面にテキスト形式で表示する広告です。検索結果画面の上部に表示されるため、ユーザーの目に留まる可能性が高くなります。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで主に使われています。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトの広告枠の箇所に表示される画像、動画、テキストのことです。バナー広告とも呼ばれます。たとえば、ニュース記事などのコンテンツを見ている際に、画面の上部、左右、あるいは途中に画像を使った広告がよく表示されていますが、これらはすべてディスプレイ広告です。
SNS広告
Twitter、Instagram、FacebookなどのSNS上に表示されるのがSNS広告です。タイムラインと呼ばれるユーザーの画面に、他の投稿と同じように表示されるため、自然と目につきやすいメリットがあります。
IoT活用
IoTとは、Internet of Thingsの略で「モノのインターネット」を指し、身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながり、お互いに利用し合えることを言います。ゲーム機、エアコン、照明などの家電まで接続できるようになり、消費者の生活がより便利に。また、企業にとっても、家庭内で把握しづらかった行動データを収集・分析でき、マーケティング施策に活かすことができます。
Eメールマーケティング
メールマガジンや広告メールなどで、商品のPRやお得情報などのプロモーションをし、Webサイトなどに直接誘導する方法です。Eメールマーケティングは、既存顧客となるユーザーに繰り返し、そして直接アプローチできます。最近では、テキストメールだけでなく、画像や動画を取り入れたHTMLメール利用し、より魅力的なメールが制作されています。Webサイトを見てもらうのを待つのではなく、積極的なアプローチが可能です。
アプリマーケティング
日常的に使うスマートフォンのアプリを通じて、ユーザーの情報収集、追客する手法です。アプリの「プッシュ機能」通知を利用すれば、ユーザーへ直接的に、かつリアルタイムに情報発信ができるため、継続的な接点をキープできます。実際にアプリを使用しているアクティブユーザーにアプローチできるため、一般的なWeb広告よりも運用効率が高くなりやすいです。
マーケティングオートメーション
マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティングにおける情報収集や分析を自動化(オートメーション化)することを指します。たとえば、メール配信、Webアクセス履歴の分析、リード(見込み顧客)の管理、顧客スコアリングなど幅広い内容を自動化でき、分析結果から顧客一人ひとりに合わせたアプローチができるようになります。
SNSマーケティング
TwitterやInstagramなどのSNSで自社アカウントを作成し、情報発信(SNS広を含む)やユーザーとのコミュニケーションを図る施策です。現在、日本のSNS普及率は80%を超えており、SNSを活用することで新規、既存ユーザーとの接点を増やすことができます。ユーザーとインタラクティブな関係を築ける積極的な施策と言えるでしょう。
動画マーケティング
自社製品やサービスの紹介などを、動画を使って行うマーケティングです。テキストや写真(画像)のみでは伝わりにくい内容も、動画であれば短時間で理解してもらいやすく、購買意欲をかきたてるなどのメリットがあります。たとえば、YouTubeチャンネルを持って動画を配信する、Webサイト上でテキストや写真を動画に置き換えるなどの施策が可能です。
今後注目すべきデジタルマーケティングの手法
デジタルマーケティングには多くの手法がありますが、今後さらに注目される2つの手法をチェックしておきましょう。
AI
1つ目は、AI(人工知能)を用いたデジタルマーケティングです。企業への問い合わせ窓口としてAIが応答するチャットボットなどですでに活用されています。人材不足や作業の効率化を図るため、そして今後さらに高性能なAIの登場により、AIを使ったデジタルマーケティングが注目されるでしょう。
AR/VR
2つ目は、ARとVRを使ったデジタルマーケティングです。ARとはAugmented Realityの略で、「拡張現実」を指します。実際にある風景にCG技術を組み合わせ、現実世界に仮想空間を作ります。VRはVirtual Realityの略で、実際には存在しない「仮想空間(仮想現実)」を作り、専用のゴーグルなどをつけてリアルな体験をすることを指します。
VR(仮想空間)を使い、そこで他人とコミュニケーションを取ったり経済活動を行ったりする「メタバース」の知名度も高くなっており、AR/VR、そしてメタバースでのデジタルマーケティングは今後活発になるでしょう。
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デジタルマーケティングで必要となるスキル
顧客のデジタルデータを活用し、効果的かつ効率的なマーケティングを行うことができる「デジタルマーケティング」ですが、成果を出すためには個のスキルを必要とします。具体的には以下が挙げられます。
・ 情報リサーチ力
・データ分析力
・コミュニケーション能力
・AI及びIoTに関する知識
情報リサーチ力
インターネット上で公開されている情報がすべて正しいわけではありません。その中から正しい情報を取捨選択できる情報リテラシーが必要となります。
またデジタルマーケティング業界では情報の流行り廃りが激しく、わずか数年前の情報がすでに時代遅れとなっている場合もあります。
こういった膨大な量の情報の中から、効果的かつ適切な情報を判断できる情報リサーチ力が求められます。
データ分析力
デジタルマーケティングは収集された顧客のデジタルデータから、いかに顧客の行動内容を細かく分析できるかが成否を分けます。そして、細かく分析できるか否かは個の「データ分析力」のスキルによります。
数々の大手企業がペルソナ設定で成功してきた事例はいくつもあり、データドブリンに基づくしっかりとしたデータ分析力が個のスキルとして必要になってきます。
コミュニケーション能力
デジタルマーケティングでは他部署との連携が必要不可欠です。
蓄積された顧客データの内容や分析結果を他部署と共有できるように、いかに分かりやすく簡潔に伝達できるかが腕の見せ所です。
また、それらの蓄積されたデータをもとに、分析結果やこれから行う施策について、明確なエビデンスに基づいたプレゼンを行う必要性も出てきます。
さらにデジタルマーケターというポジションは、営業やコンサルティングといった形でクライアントと関わることも多くなります。
自社と先方との橋渡し的な作業も多く発生する役職柄、高いコミュニケーション能力が必要となるのです。
AI及びIoTに関する知識
デジタルマーケティングとAIの相性が良いことは、上述の「デジタルマーケティングの特徴」でも解説しています。
AIをデジタルマーケティングと組み合わせることで相乗効果が生まれ、更に精度が高く、かつ自動化されたデジタルマーケティングを遂行することができます。
また、マーケティングの新たな手段として注目されている「IoT(モノのインターネット)」もデジタルマーケティングとの相性は抜群です。
例えば、センサーやタグにIoTを取り入れることで、顧客の動向をデジタルデータとして自動で収集することが可能になります。
こういった事例は今後増えていくことが予想され、AI及びIoTに関する知識も必然的に求められることが多くなっていきます。
関連記事:マーケティングにおけるAI活用〜具体的なツールや導入のポイント
デジタルマーケティングのメリット
ユーザーのデータを集めて改善や戦略立案に活かせる
複数のチャネルでユーザーとの接点を持てる
One to Oneマーケティング戦略ができる
貴重なデータが蓄えられる
あらゆる数字を可視化できる
コストカットが可能
デジタルマーケティングを導入することで得られるメリットについてみていきましょう。Webだけでなくあらゆるデジタル技術を用いるので、得られるメリットもWebマーケティングより多くなります。
ユーザーのデータを集めて改善や戦略立案に活かせる
ユーザーの情報を収集することで、マーケティング戦略の立案や改善に活かせます。マーケティングは、闇雲に数を打てば良いわけではありません。ユーザーの属性やニーズを把握し、媒体によって適切な方法を取る必要があります。デジタルマーケティングは複数の媒体を使い、それぞれで適切な戦略立案や改善を図りやすいのが大きなメリットです。
複数のチャネルでユーザーとの接点を持てる
ユーザーに合わせて複数のチャネルを使いこなすことで、多くの見込み客と接点を持てるようになります。たとえば、SNSでもTwitterやInstagramなど複数のチャネルがあり、それぞれのユーザーは属性が異なります。媒体に合わせた適切なアプローチをすると、それぞれのチャネルでマーケティング効果が得られます。
One to Oneマーケティング戦略ができる
デジタルマーケティングでは消費者のあらゆるデータを取得・分析することができます。そのデータをもとに顕在ニーズや潜在ニーズを細かく把握し、リターゲティング広告やレコメンデーション、メール配信、店舗での対応など、一人ひとりに合った施策を検討することができます。
貴重なデータが蓄えられる
WebやIoTといったデジタル技術を活用することで、ユーザー属性(性別、年齢、収入、家族構成、住んでいる地域など)や各ユーザーの行動パターンやニーズ、今後の展開など様々なデータを集めることができます。情報収集や分析には膨大な時間がかかるので、自動的にできるツールの導入などを検討しましょう。収集したデータはマーケティング施策や新しい商品開発などに活かすことができます。
あらゆる数字を可視化できる
集まったデータを可視化することで、Webサイトにどれくらいの人が来ているのか、何時ごろに最も人が多いのかなどの分析が容易になります。誰もが現状を素早く把握しやすいのが大きなメリットといえるでしょう。
コストカットが可能
デジタルマーケティングはWebサイトやツールの費用のみでできるため、従来の電話営業やその他営業でかかる人件費に比べると大幅にコストが下がります。省人化によって人材不足の企業にも大きなメリットです。
デジタルマーケティングのデメリット
時代に即した先進的な「デジタルマーケティング」ですが、デメリットも存在します。それが以下の項目となります。
・トレンドにのらないと効果がでにくい
・ エリア限定のサービスには対応しにくい
・技術の陳腐化が早い
トレンドにのらないと効果がでにくい
デジタルマーケティングでは顧客の「デジタルデータ」が必要になります。
スマホでの決済履歴やECサイト内における行動、アプリケーションの使用状況など、顧客がその媒体やサービスに興味を持ち、活用することで顧客データの収集が可能となります。
つまり、顧客が新しいサービスや技術という名の「トレンド」にのっている必要があるのです。
顧客がトレンドにのるということは、そのサービスや技術を「使用する」ことであり、使用されて初めて顧客のデジタルデータが媒体に記録されるのです。
「トレンド=流行」に顧客がのっていなければ、そのデジタルマーケティングの案件としては効果がでにくいと言えるのです。
エリア限定のサービスには対応しにくい
インターネットがつながる地域であれば、場所による制限がないのがデジタルマーケティングの強みでもあります。つまり、当該サイトが閲覧できる人は世界中にいるのです。
エリア限定のサービスを展開している場合、その地域以外の人がサイトに訪れてもCV(コンバージョン=成果)にはつながりません。
そして、そのような人たちが問い合わせをしてくれば、応対や返答に労力を要し通常業務に支障をきたしてしまう可能性もあります。こういった背景からエリア限定のサービスには対応しにくいと言えます。
技術の陳腐化が速い
テクノロジーの分野では「技術の進化は日進月歩」言われるように、技術の移り変わりが速く、次から次へと新しい技術が登場しては、少し前の技術が陳腐化していきます。
デジタル技術も例外ではなく、デジタル技術の陳腐化とともに関連するマーケティング戦略も通用しなくなる可能性があります。
こういった背景から、自社でノウハウを蓄積しようとしてもなかなか思うようにいかない側面があります。
関連記事:デジタルマーケティングの種類とは?Webマーケティングとの違いや有効な施策を解説
デジタルマーケティングの成功事例
ここからは、実際にデジタルマーケティングに取り組み、売り上げアップや商品・サービス認知につながったなど、成功事例を5つご紹介します。
パナソニック「YouTubeでの動画マーケティング」
パナソニックは、生活家電や理美容機器などの商品を、YouTubeの公式チャンネルで紹介しており、スタートから1年弱でチャンネル登録者が10万人を超えました。認知度向上に大きく貢献し、購入につながっています。
コカ・コーラ「AIを活用したSNSの画像解析」
コカ・コーラはAIを活用してSNSに投稿された画像解析に取り組み、新たな戦略立案につなげています。コカ・コーラのロゴが写った写真を抽出し、誰とどこで商品を飲んでいるなどのシチュエーションを分析、新たな顧客獲得や商品開発の参考にしています。その後、アルコール飲料「檸檬堂」シリーズや、「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」などのヒット商品が生み出されました。
シャープ「SNSでブランディング」
シャープの公式Twitterアカウントでは、人間味あふれるツイートと情報発信を並行し、商品の認知度向上やブランディングにつなげています。また、新規顧客の獲得だけではなく、既存顧客との関係性を深めているのが特徴です。プレゼントキャンペーン開催時には既存顧客の応募を条件としたこともあり、人気を集めています。
青山商事「顧客ニーズに合わせたマーケティング」
「洋服の青山」でおなじみの青山商事は、硬いイメージのあるスーツ店から次世代店舗の出店、女学生向けのSNSアカウントを開設するなど、複数の媒体でマーケティングに取り組んでいます。従来の店舗のほか、インターネット通販、ネットと実店舗を融合させた「デジタル・ラボ」などを展開。顧客ニーズを的確にとらえています。
SBIホールディングス「YouTube広告でコンバージョン向上」
SBIホールディングスが運営する保険の見積もり比較サイト「インズウェブ」では、キーワードで集客する検索広告が広告配信の大半を占めていました。しかし、コンバージョンにつながりにくいため、YouTube広告の「TrueViewアクション」を採用しました。その結果、人目を惹くフレーズや広告を表示でき、コンバージョンは40%向上と大きな効果が得られました。
デジタルマーケティングの未来・WEB3.0時代のデジタルマーケティングとは?
2000年代初頭から現在まで主流だった「WEB2.0マーケティング」ですが、時代の流れに伴う市場変化と共に行き詰まりを見せています。
マーケティングの様態も今後、分散型ネットワークを中心にしたWEB3.0に即したマーケティング手法に移行する必要があり、その中のひとつに「トークングラフマーケティング」があります。
WEB3.0で注目される「トークングラフマーケティング」
トークングラフとはその人が保有している「トークン(認証デバイス)」から、趣味や嗜好の傾向などを探る仕組みのことです。
そして、ブロックチェーン上からトークンの公開情報を参照し、トークン保有者に最適と思われるNFT(Non-Fungible Token=代替不可能なトークン)を送り、自社の商品やサービスの訴求を行います。このマーケティング手法を「トークングラフマーケティング」と言います。
WEB3.0において、データの所有権は個人に移行し、WEB2.0のときのように企業が消費者のデータを収集できなくなります。そういった背景から、このトークングラフマーケティングに注目が集まっているのです。
関連記事:Web3(Web3.0)とは?特徴やメリットをわかりやすく解説
まとめ:デジタルマーケティングの重要性はますます上昇
デジタルマーケティングは、スマートフォン、タブレットなどデバイスの普及により、今後も企業にとって欠かせないマーケティングといえます。また、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークや巣ごもり需要はまだまだ続いており、対面式のセールスよりも非対面に重きを置く場合など、情勢の変化にも対応しやすいメリットがあります。
Webメディア、SNSなどの媒体は増えていることや、IoTの活用など、あらゆるもののデジタル化が進むとともにデジタルマーケティングもより重要になるでしょう。データを無駄にしないためにも、分析や戦略立案に力を入れるのはもちろん、マーケティングのプロへ外部委託する企業も多いため、ぜひ検討してみてください。