今回は実際に広告主としてDSPを活用する際に、自社にあるデータや顧客の情報を有効に活用し、どのようにマーケティング活動に繋げていくかを解説します。
競合との差別化を図るためには、自社の強みを理解し、それを最大限に活かす戦略が不可欠です。DSPの多様な機能の中でも、自社データとの連携や、特定のターゲティング手法に強みを持つサービスを選ぶことが、効果的な広告運用への第一歩となります。
DSP選定においては、単に機能の豊富さだけでなく、BtoB特有の配信面へのリーチ力や、精緻なターゲティング精度も重要な評価軸となります。
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DSPを活用したマーケティング活動
BtoB領域におけるDSP広告の運用は、戦略的なデータ活用が鍵となります。弊社の経験上、BtoBの領域においてDSPを効果的に活用する際の優先順位は以下の通りです。これらの要素を理解し、自社の強みを最大限に活かすことが、DSP広告の成功に繋がります。
<DSP広告運用の優先順位>
- 課金方法: DSP広告の課金体系は、インプレッション課金(表示回数あたりの課金)が主流ですが、クリック課金を採用しているDSP業者も存在します。この中で、CPM(Cost per Mille:広告が1,000回表示されるごとに発生する費用)やCPC(Cost per Click:広告が1回クリックされるごとに発生する費用)がどの程度であるかは、予算管理と費用対効果を測る上で非常に重要な指標となります。BtoBでは、特にリード獲得単価(CPL)や顧客獲得単価(CPA)に影響するため、慎重な検討が必要です。
- ターゲット設定: いわゆるオーディエンスタゲティングですが、ターゲットとしたい顧客層を詳細にセグメントし、的確に配信できるかどうかが重要です。BtoBにおいては、企業規模、業種、役職、興味関心など、より精緻なターゲティングが求められます。効果的なターゲティングは、無駄な広告費の削減と、質の高いリード獲得に直結します。
- 配信面: BtoB広告主は、広告が表示される媒体(配信面)を非常に重視する傾向があります。特に、ビジネス関連の専門メディアや、ターゲットとする業界のポータルサイトなど、権威性や専門性の高い媒体への出稿を重要視されることが多いです。BtoBでのDSP広告では、こうした特定の配信面へのリーチが、ブランド認知度向上や信頼性獲得に不可欠です。
- 曜日や時間帯の設定: 曜日や時間帯を絞り込んで配信することは、多くのDSPツールで標準的に可能です。しかし、設定した時間帯に絞り込んだ上で、目標とする配信数やクリック数を達成できるかが課題となります。BtoBの意思決定プロセスは長期にわたるため、ターゲットが情報収集しやすい時間帯や、検討が進みやすいタイミングを狙った配信が効果的です。
- 実績: 業者ごとに運用実績には差があり、また、何を評価の指標とするかによっても重要度は異なります。CPA(Cost Per Action/Cost Per Acquisition:コンバージョン1件あたりの獲得単価)、CPC、CPMなどの実績において、運用を検討しているDSP業者が、自社と類似した業種の企業でどのような成果を出しているかを確認することが重要です。過去の成功事例や、具体的なデータに基づいた提案力も、DSP選定の重要な要素となります。
※参考情報:
- CPM (Cost per Mille): 広告掲載料金の費用対効果を示す指標の一つです。広告が1,000回表示(インプレッション)されるごとに課金される場合に使われます。インプレッション課金の場合、広告が1,000回表示されるごとに課金が発生します。
- CPC (Cost Per Click): 1クリックあたりの効果を測る指標です。「クリック単価」とも呼ばれ、広告がクリックされて広告主のウェブサイトに訪問者が訪れるごとに課金されます。
- CPA (Cost Per Action/Cost Per Acquisition): コンバージョン(CV)1件あたりにかかった広告費用を示す値です。商品の購入、資料請求、問い合わせなどの成果をどれだけの費用で獲得できたかを示します。
自社の強みを活かしてDSPを使っていく方法
DSP広告を効果的に活用し、自社の強みを最大限に引き出すためには、保有するデータと顧客理解が鍵となります。特にBtoBマーケティングにおいては、データに基づいた戦略が不可欠です。
最も代表的かつ強力な活用法の一つがリターゲティングです。これは、一度自社のウェブサイトを訪問したことのあるユーザーに対して、他のウェブサイトの広告枠上で再度広告を表示させることで、再訪を促し、最終的なコンバージョンに繋げる手法です。リターゲティングのメリットは、潜在顧客の認知度向上だけでなく、既に興味関心を示しているユーザーにアプローチできるため、コンバージョン率の高さにも期待が持てます。
しかし、単にリターゲティングを実施するだけでは、期待する効果を得られないことも少なくありません。そこで、効果を最大化するための、より洗練された活用法をご紹介します。
- コンバージョン拡張: リターゲティング対象者の中から、既にコンバージョン(購買や問い合わせなど)に至ったユーザーの属性を分析し、類似する新規ユーザーへも配信を拡張する手法です。これにより、より質の高いリード獲得に繋がる可能性があります。
- リターゲティング × キーワード指定: 過去のサイト訪問者が検索した可能性のあるキーワードや、自社がターゲットとするキーワードとリターゲティングを組み合わせます。これにより、顕在層へのアプローチを強化できます。
- リターゲティング × サイト指定: 特定の業界や関心を持つユーザーが多く閲覧しているであろうウェブサイトを指定し、そのサイト上でのリターゲティング配信を行います。これにより、より精度の高いターゲティングが可能になります。
- リターゲティング × DMP(Data Management Platform): 自社が保有するDMP(顧客データプラットフォーム)とリターゲティングを掛け合わせることで、より詳細な顧客セグメントに基づいたパーソナライズされた広告配信を実現します。自社の顧客リストや過去の行動履歴などのデータを活用することで、広告の精度を飛躍的に向上させることが期待できます。
これらの手法は、リターゲティング対象者に対して、過去の運用実績や顧客データを分析した上で、配信するキーワードや配信面を絞り込んだり、保有するDMPを掛け合わせたりすることで、より効果的なアプローチを可能にします。 BtoBでの DSP広告の活用は、単なる広告配信に留まらず、データに基づいた顧客理解を深め、エンゲージメントを高めるための強力な手段となるのです。
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まとめ
BtoB領域でDSP広告を効果的に活用するためには、課金方法、ターゲット設定の精度、配信面の選定、配信時間帯の最適化、そして過去の実績を総合的に評価することが重要です。特に、自社が保有するデータや顧客情報を活用したリターゲティングは、BtoBマーケティングにおけるDSP活用の強力な手段となります。コンバージョン拡張やキーワード・サイト指定、DMPとの連携といった多様なアプローチを組み合わせることで、より精緻なターゲティングと広告効果の最大化が期待できます。BtoBでのDSP広告の運用においては、これらの要素を考慮し、継続的な改善と検証を通じて、マーケティング活動全体の成果向上を目指しましょう。

