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コンテンツの作成目的から複合的なシステムへと進化するCMSを使いこなす

2021.4.19
読了まで約 12

WEBサイトを構築・運営する上で最初の選択肢のグループに入っているのがCMS(Content Management Systems)です。

これは読んで字のごとく、コンテンツ(content)を管理(management)するシステム(systems)のこと。従来、専門的かつ属人的であったWEBサイトの管理をCMSというツールの導入により、誰もが扱える一般的な業務になったことはとても大きな進歩である。

そして、単に業務の効率やコストの軽減などにとどまらず、コンテンツの物量確保や即時対応によるWEBサイトとしての価値の向上、タイムリーなSEO対策、CRM(Customer Relationship Management)やMA(Marketing Automation)などとの連携による顧客サービス向上のツールとしてワンランク上の働きを求められるようになってきている。

しかしながら、ひとことにCMS導入といっても、何から始めてよいのか?最適な選択とは?と、最初の段階で悩んでしまうことも決して少なくない。

また、一度CMSを導入してしまうと、そのCMSの特性によってWEBサイト管理の方向性が決まってしまい、途中から方向転換がしにくくなってしまうことも考えられる。

そこで本稿では、CMSのしくみから、企業における導入のメリット・デメリット、具体的なCMSの種類を検証することで、自社のポジションや目的に沿ったCMSの選択と活用に役立つようにまとめてみる。

CMSのしくみを理解する

導入で述べた通り、CMSとはコンテンツを管理するシステムのことである。

では、一般的にどういったしくみで構成されているか見ていくことで、CMSを理解していく。

静的コンテンツとの比較

○HTMLファイルとの違い
WEBサイトは通常、HTML(Hyper Text Markup Language)という言語とイメージ画像や動画ファイルの組み合わせで作られている。

全体のイメージやレイアウトをデザインするデザイナー、それをHTML言語に書き起こす(コーディングする)コーダー、別のシステムと連携するにあたってプログラムを開発するシステムエンジニア、プログラマーと多くの役割を持つ人によって構成、作成されていく。 一方でCMSにおいては、デザイン、コーディング、プログラムにおける共通部分をテンプレート化することで、コンテンツの中身だけを作成できるようにしている。

PHPやJAVAなどの言語とDB(Data Base)で構成されることが多いが、多くのCMSはPHPで作られている。

つまり、HTMLによってWEBサイトを作成する場合,100ページ分のコンテンツには100ファイルの静的なHTMLファイル作成を必要としてきたが、CMSの場合テンプレート化されたPHPファイルと、DBに登録されたコンテンツデータによって、100ページ分のコンテンツを動的に表示することができる。

作成ソフトとの比較

静的なHTMLによってWEBサイトを作成する場合でも、作成ソフトを活用することによって、その専門性や作業負担を軽減することは可能である。

企業でよくあるWEBサイトの更新手段として、初期の立ち上げはデザイナー、コーダーによって作成し、更新はページビルダーと呼ばれる簡易なソフトを活用して管理していくというケースがある。

もちろんこの方法でも効率的に管理することは可能であるが、膨大な量のコンテンツを管理する場合においては、ページ数相当のファイルを管理することに変わりなく、コンテンツデータの流し込みだけで処理したり、テンプレートのみの変更で全ページのデザインを変更できるCMSの利便性に軍配が上がる。

クラウド型

HTMLを作成する場合、作成ソフトを利用したとしても、一旦手元のPCで作成、保存した後、その静的コンテンツをサーバーにアップロードすることで公開される。

CMSの場合は、あらかじめサーバーにセットされた、PHPやJAVAといった動的なプログラムによって表示されるため、手元のPCにファイルを保存する必要がなく、サーバー上のDBに直接データを投入することでページが作成される。

また、データの投入にあたっては、それをできるだけ簡単にできるようにするインターフェイスを持つ管理画面を介して行うため、専門知識や専用のツールを必要としないこともCMSの特徴である。

中には後述するMovable Typeのように、一旦投入したデータを動的なしくみで表示確認し、それを静的なHTMLとしてパブリッシュ(ファイルに書き出す)するしくみのCMSがあることも覚えておきたい。

CMSのしくみ

関連記事:CMSとは?利用目的やメリットデメリット・基本機能を初心者向けに分かりやすく解説

企業が導入する意義

CMSを導入するにあたっては、まずは企業ごとの目的を明確にしておきたい。

企業のポジションやWEBサイトの運営方針、CMS導入にかけられる予算、運用時のランニングコストやそれにさける人的リソースなどの要因によって、その企業にとって最適となるCMSの選択は変わってくる。

そのための判断材料として、CMSを導入した場合のメリット・デメリットをまとめてみる。

メリット

○知識・技術が不要
先にも述べたが、CMSはすでにプログラムされたテンプレートとコンテンツを記録するDBがサーバーにセットされており、それを管理画面によってコンテンツ登録していく仕組みである。

よって、新たにデザインを起こしたり、HTMLを学んで組み上げたりする必要がない。WEB作成の知識や技術を身に着けることなくWEBサイトの管理を行うことが可能になる。

○分業化の促進
CMSの導入により、WEBサイト管理は特別な部門の業務ではなく、一般業務の一部とすることを実現できる。

上記のように、専門的な知識・技術を必要としなくなったために、誰もがWEBサイトを管理することが可能になった。結果としてWEBサイト管理は、システム部門や外注会社の聖域ではなくなり、必要な部門において必要なコンテンツを自己の責任において管理できることになる。企業全体としても、必ずある部門を通さなければならないムダや、業務が一部門に集約してしまうムラを平準化し、より効率的なWEBサイト管理を行うことができる。

○コンテンツの即時性
CMSでは専門家が静的なHTMLファイルを作成するのではなく、データ投入とともに即時コンテンツが作成できるため、公開までの時間を短縮化することができる。

従来であれば、コンテンツをまとめ、専門部門または外注会社に依頼し、確認、公開まで中数日、場合によっては数週間の時間を要していたものが即時公開可能となる。

インターネットにおいてコンテンツ更新のスピード化はとても重要な要素であり、それを実現することは直接ビジネスの競争力にもなり得る。

また、定期的に更新されているWEBサイトはSEO対策上、評価点が高くなり検索結果の順位上昇にもつながる。

○コンテンツの総量を確保
WEBサイトの評価でコンテンツの総量は大きなポイントを占める。ある程度のコンテンツ量があり、それが整理されていること、必要な情報が網羅されていることは、ユーザーにとって有益な情報となることはもちろん、SEO上の評価ポイントも高くなり、即時性と同検索結果に好影響を与える。

簡易にコンテンツを作成できるCMSによって、多くのコンテンツを公開し、WEBサイトとしての競争力を向上させることができる。

○マルチデバイス対応
昨今のWEBサイトにおいて、スマートフォンやタブレットなど、PC以外の携帯デバイスへの対応、いわゆるWEBサイトのレスポンシブ化は必要不可欠である。

WEBサイトの内容やユーザー層によっては携帯デバイスでの閲覧が大多数を占めることもある。BtoBのサイトにおいてはPCと携帯の比率は特に大きく半々の割合になることが多いのが弊社の運用実績からも判明している。

CMSではテンプレートがマルチデバイスに最適化されていることが多く、あえて手間をかけて対応する必要がないことも大きなメリットといえる。

○容易なリニューアル対応
先にも述べたが、CMSはテンプレートを介しDBに保存されたコンテンツを表示している。 つまり、テンプレートを修正すればコンテンツの多寡にかかわらず、すべてのコンテンツ一律に表示の変更が反映される。

WEBサイト構成の変更に伴うメインメニューの変更はもちろん、デザインの大幅なリニューアルにおいてもテンプレートを修正することによって一斉の修正・変更が可能である。これにより、季節ごとのイメージ変更やキャンペーン開催時の一時的なデザイン追加なども容易に行うことができ、WEBサイトの鮮度を常に最新に維持しておくことが可能となり、企業内におけるWEBサイトの価値が更に向上している。

○属人的にならない
CMSの導入によってWEBサイト管理の業務を仕組化することが実現する。これまでのWEBサイトは特定の部門(情報システム、マーケティングの一部の人)や外注会社のみが管理・更新できる、ある種ブラックボックス的な位置づけであったがCMSの導入により仕組化されこの属人化から解放される。

オペレーションもわかりやすいインターフェイスによる管理画面を介することで、担当者や別の人が操作をしても変更の履歴を残したり操作自体がサイトに悪影響を及ぼすようなリスクは高くなくだれでも操作できることから、日常業務として誰でも活用でき、管理することも容易にできる。

また、データがサーバーに保管されるクラウド型のシステムとして、担当する人や専用PCといった限定された管理からの脱却を図ることができる。

○管理費用、負担の軽減
CMSは導入時に一定のコストを必要とする一方、専門部門や外注会社に頼らず、日常の運用コスト、メンテナンス費用の軽減を図ることができる。(一部のCMSでは一定の専門性が必要なものもあり取り扱いには注意してもらいたい)

そこで余剰となった費用や空いた人的リソースを、コンテンツの充実や他の業務に振り分けることで、より効率的、効果的なWEBサイト管理を実現できることになる。

デメリット

○導入時のハードルが高い
CMS導入にあたっては、HTML制作と比べ、共通項を洗い出したうえでの構成の設計、テンプレートの作成、DBの構築、管理プログラムの開発といった項目が必要になってくるため、導入時の時間、労力、コストが高くなる傾向にある。

目指すコンテンツ量が多ければランニングコストが軽減されるメリットと比較して、導入コストも軽減されるが、コンテンツ量が少ない場合は逆にコスト増となってしまうことも考えられ、イニシャルコストとランニングコストをシミュレーションした上で検討することが重要であろう。

一方、後述するWord Pressなどの既成のCMSを活用することで導入コストを抑えることも可能である。

また、CMS管理の方法について教育し習熟する必要があるなど円滑に運用されるまでのハードルが高いともいえる。

○表示スピードが遅い
静的なHTMLを表示させるタイプのWEBサイトに比べ、DBからデータを呼び出し動的に表示するタイプのCMSは、一般的に表示スピードが遅い傾向にある。

通信環境が日進月歩で向上しているとはいえ、古い環境下や表示量の多いコンテンツなどの場合はユーザーにストレスと与える可能性があることも知っておくべきであろう。

一方、Movable Typeなど一旦動的に登録したコンテンツを静的なファイルにパブリッシュするタイプのCMSでは、表示スピードは静的なコンテンツと同じになるためこの心配は不要である。

また、HTMLで構築された静的なWEBサイトと比較すると遅いことは事実ではあるが集客的等の観点でビハインドがあるわけではなく、同様に心配は不要である。

○個別対応の自由度が低い
テンプレートによって一律のコンテンツ表示をするCMSでは、型にはまってしまうため表現に限界があったり、コンテンツ表示方法の自由度が低い傾向にある。

個別の要望を実現するためにはカスタマイズが必要で、その都度開発コストがかかることも考慮しなければならない。

最近では、デザインテンプレートを自由に着せ替え出来るテーマの選択や、より細かいレイアウト設定まで配慮したテンプレートの提供などが充実し、以前に比べ自由度が広がってきている。

○セキュリティ面の懸念
管理画面を介してWEBサイト管理するCMSでは、サーバーのコンテンツ保存領域にアクセスするポートが開いていることになり、静的なコンテンツに比べると理論上セキュリティは低いことになる。

また、CMSのプログラムそのものが持つバグがあったり、シェアの高い既成のCMSの場合攻撃対象になりやすいなどのリスクもはらんでいる。管理画面のアクセスにはIP制限をかけたり、定期的にプログラムのパッチ(バグを埋める修正プログラム)を当てるなどの対策が必要となる。

セキュリティの脆弱性でよく言われるのはCMSの中でも大きなシェアを持っている、Word Pressだ。オープンソース型のCMSで内部のプログラムが全世界に公開されているCMSで拡張性や使い勝手や導入障壁が低いとされる一方で外部からのアタックを受けやすい環境もあり、リスクが高いとされることも事実となっている。

目的にあった選択

これまでに見てきたメリットとデメリットのバランスを考え、企業の目的やWEBサイトの管理方針にあったCMSを戦略的に選定してく必要がある。

導入コストとランニングコスト、コンテンツの量、人的リソースや部門での分担、といった要素を比較検討することで、その企業にあったCMSを選択することをお勧めする。

変遷する目的

○コンテンツ管理からユーザーとの接点増のためのツールへ
従来は、必要なコンテンツをリアルタイムに公開することが主な目的で、コンテンツが更新できる仕組みが充実していればCMSの要件を満たしていた。

昨今では、ユーザーの傾向にあわせてコンテンツを作成、表示するツールとしてCMSを位置づけるようになってきた。

アクセス傾向に基づいたSEOの最適化や、ユーザーの行動分析によって変化するコンテンツ表示、CRM、SFA、MA等のツールとの連動などさらに一歩踏み込んだ要件が求められるようになっている。

CMSでできること

CMSといっても何も大仰に構える必要はない。わたしたちの身近なところには、実はCMSがあふれているのである。

これもCMS、身近にあるCMS

○コーポレートサイトのお知らせやNews
コーポレートサイトのトップページには必ずあるお知らせやNewsのコーナー。静的なHTMLで作成することもあるが、多くは簡易なCMSを利用してコンテンツの管理・更新をしている。

管理画面からお知らせのタイトル、本文、イメージ画像やリンクなどを登録することで簡単に更新している。

○ブログサイト
普段よく目にするブログサイト。これもほとんどはCMSで作成されている。

ブログサービスと連携して表示をしたり、サーバー内にブログプログラムをセットし、WEBサイトと同様のデザインテンプレートにして活用していくことも可能だ。

○スケジュール管理
YahooやGoogleが提供するスケジュール管理ツールもCMSの一種。

ウィジェット(表示を埋め込むアプリ機能)を活用してWEBサイト内に表示することもできる。

他にも、天気予報や株価などが表示されているのはこのウィジェットを利用している。

○SNS
SNS(Social Networking Service)もCMSの機能を個人情報発信型に活用したものである。 コンテンツや画像、映像などを登録することで情報発信したり、閲覧したものにコメントを登録したりできる。

企業のWEBサイトもコンテンツがSNSに投稿(シェア)されるようSNSボタンを設置するなど、SNSを意識した作りが重要である。

○EC
普段私たちがショッピングをするEC(Electronic Commerce)サイトも、CMSの集合体といえる。

商品管理で商品を登録して販売、顧客管理や受注管理を行っていく。
中には売り上げを管理する基幹システムや、配送システムと連携を図るシステムを構築している場合もある。

SEO対策

先にも述べた通り、CMSとSEOは密接な関係にある。

CMSの活用によって、リアルタイムにスピード感のあるコンテンツを相当数の分量充実させることはSEO対策として効果がある。

また、SEO最適化に重要な、タイトルやキーワード、ディスクリプションをCMSで管理していくこともできる。

コンテンツの更新性もSEO対策を進める上で重要な要素ではあるが追加機能や評価を得やすいWEBサイトの構造に容易に対応をすることができる。  

身近なCMS

各ツールとの連携

昨今ではCMSは単独で管理するものから、他のシステムと連携させることで、ユーザーとの接点を増やすためのツールとして、役割を求められるようになってきている。

○SNS
特にB to CビジネスにおいてSNSの存在は欠かせないものになってきている。

SNSでの表示をウィジェットでWEBサイトに取り込んだり、SNSにシェアされるようなページ作りをCMSで図っていくことができる。

○CRM(Customer Relationship Management)
ECサイトなどではCRMとCMSを連動させているケースがある。ユーザーの購買データを基に、個別のユーザーにあったコンテンツ作成をする。また、CMSでコンテンツ作成した際に、個別にお知らせ表示をしたり、個別DMを送るなど直接表示を働きかけることも可能。

○MA(Marketing Automation)
CMSで作成した膨大なコンテンツを、MAによってユーザーの傾向にマッチングさせて表示する。CMSでコンテンツ登録時に、MAに活用する要件を登録しておくことで、ユーザーにあわせてコンテンツ表示にフィルターをかけたり、アクションを追加することができる。

○DMP(Data Management Platform)
DMPとはData Management Platformのこと。ユーザーの情報や行動分析を基に広告出稿に活かしていくもの。CRMやMAと同様、DMPで得られた値を基にCMSで作成したコンテンツを自動で広告出稿に反映させていく。

○API(Application Programming Interface)
API(Application Programming Interface)とは他のアプリケーションと連携するためのしくみのこと。基幹システムや在庫管理からのデータをAPIを介することで、そのままCMSに登録するなど効率化を図ることができる。

○Office
API同様、日常他のソフトで管理しているデータをそのままCMSで活用できるようにする。ExcelなどMicrosoft製ソフトで管理しているデータをそのままCMSに登録、表示できるようにする。

他システムとの連携

どんなCMSがあるのか

これまで、CMSの基本と応用について見てきた。

では、実際に導入するにあたってどんなCMSがあるのだろうか?
それぞれの企業にあったCMSを導入判断できるよう具体的に紹介をしていく。

CMSの種類

○オープンソース型
オープンソースとはプログラム自体は無料で配布されているもののこと。

誰もがプログラムを無償で入手し、自由に利用、カスタマイズできるため導入までの費用と時間が節約できる。

また、圧倒的な利用者数を背景にカスタマイズなどのナレッジが豊富なことがメリットといえる。

一方で、バグがあった場合に自分で対処せねばならず、ある程度の知識を有することが求められる。

また、有償のプログラムと異なり、開発者側にプログラム提供の責任がないため、セキュリティ面の不安やサポートの薄さなどがデメリットとなる。

中小企業やコンテンツの少ないCMSを運営する企業向けといえる。

○パッケージ
商用のCMSで有償のプログラムの中でも、メーカーやソフトウェア企業、ベンダーによって開発されたもののことを指す。

メーカー他の開発者からライセンスを購入し、自社のサーバーにインストールして利用する。

数多くのユーザーの利用実績を基に開発されており、機能性が高いこと、カバーする範囲が広いことが特徴で、導入までの期間も比較的早い。

一方で、多くのユーザーに対応するために公約数的な機能になりがちで、自社特有の要望に応えきれないことも考えられる。その場合、開発者に機能拡張のカスタマイズを依頼することになり追加の費用が発生することもある。

開発者が責任を持つため、マニュアル、トレーニングなどの導入支援、アップデートやセキュリティの向上といったサービスが受けられることは、導入後の運用を考えると大きな安心材料だといえる。

○フルスクラッチ
オープンソース型やパッケージのように既存のプログラムを活用するのではなく、自社の目的、業務にあわせて新たに設計、開発することをいう。

前者がレディメイドであるのに対し、フルスクラッチではオーダーメイドで構築すると捉えてよい。

フルオーダーで開発するため、自社の要望に限りなく完全に応えることができる一方で、1から構築するために導入までの期間とコストは必然的に高くなる。

独自のECプラットフォームを運営する企業や、報道メディアを運営するような大企業向けといえる。

CMSの種類

コスト別分類

○有償版
プログラムの導入自体にコストがかかる。 定期メンテナンス費用としてランニングコストもかかることが多い。

○無償版
上記の分類とも被るが、プログラムそのものが基本的に無償で配布されているもの。 公式のサポートは受けにくい。

○ASP型
ASP(Application Service Provider)とは、インターネットを介してプログラム利用サービスを提供すること。

CMSのプログラムそのものの提供を受けるのではなく、既存のサービスを利用するスタイル。ポータルサイトのホームページ作成サービスなどがこれにあたる。

比較的低い導入コストと、利用料としてのランニングコストが必要。 容量やページ数に制限があったり利用に自由度が少ない場合もある。

代表的なCMS

○Word Press
世界で圧倒的シェアを誇るオープンソース型CMS。テンプレートやプラグイン(後述)が豊富で、カスタマイズの多様性にも定評があり、チュートリアルサイト(後述)も充実している。

○Drupal
オープンソース型の中でも、中・大規模サイト向けCMS。 高度なカスタマイズ機能、多言語対応など拡張性が高いが専門的な知識を要する部分もあり、システム部門が充実している企業向け。

○jimdo
無料でWEBサイトを作成できるASP型サービス。 比較的自由度は少なく、小規模事業者向け。

○Wix
無料でWEBサイトを作成できるツールであり、厳密にはCMSとはいえない。 デザインが豊富である一方、無料ゆえの制限が多く、日本語でのサポートが受けられない。

○Concrete5
直観的で操作性が高いとされるオープンソース型のCMSで、企業のWEBサイトに向いていると定評がある。 自自由度が高い一方で、利用者が少ないためかナレッジが少ないため作成のガイドが必要。

○EC-Cube
ECを主目的としたオープンソース。テンプレートの作成や個別ページの作成もできるため、CMSとしての活用も可能。

○Movable Type
国産CMSの最大手、有償パッケージ型。導入実績はオープンソース型のWord Pressに次ぐ利用者数。 先述の静的コンテンツをパブリッシュするタイプ。

○Share With
国内企業が開発するクラウドパッケージ型CMS。 シンプルな管理画面や便利なデータ連携機能で使いやすさに定評がある。 手厚いサポートも受けられる。

○Blue Monkey
中小企業向けの国産パッケージ型のCMS。 誰もが簡単に更新できることを目標に開発されている。

代表的なCMS

便利な機能、プラグインを活用しよう

○拡張機能
オープンソース型のCMSにおいては、世界中の開発者がプラグインやアドオンと呼ばれる便利な機能を追加開発している。

利用者が多ければ多いほどその数も必然的に多くなり、必要に応じて追加機能をインストールして機能を拡張することができる。(有償、無償両方あり)

うまく活用することで、オープンソース型のCMSといえど、目的にあったWEBサイトを 構築することも可能だ。

また、テーマと呼ばれるデザインテンプレート(こちらも有償、無償両方あり)を利用することで、レベルの高いデザインを簡単に手に入れることができる。

○チュートリアルサイト
オープンソース型の場合、メーカーやソフトウェア企業、ベンダーからのサポートを受けられないものの、世界中の開発者によるチュートリアルサイトにある情報が充実している。

設定や利用方法といった初歩的なものから、カスタマイズやバグの修正といった高度なものまで情報を入手することができる。

○ウィジェット
先にも述べたが、他のサイトやアプリケーションと連携する際に、ウィジェットと呼ばれる表示用のアプリケーション、ソースが配布されている。

WEBサイト内に他サイトの情報を表示したり検索機能を付けたりすることができる。

これらをうまく活用し、目的に即したWEBサイトの構築を実現してほしい。

まとめ

ここまでみてきたように、ひとことにCMSといっても実現したいWEBサイトやシステムの要件によって様々な種類があることをおわかりいただけたと思う。

CMSを導入するにあたって、数多くあるCMSのうちどう言った観点・視点でCMSを選定すればよいのか、とても迷いどころである。

CMSの選択をする前に、まずはCMSの仕組みを理解し、WEBサイトの目的、運営の方針、自社の置かれたポジションを明確にし、導入コスト、ランニングコスト、人的リソースを明確にする必要がある。

その上で、運営方針やリテラシーにあったCMSを選択することで、導入時だけでなく、長く運営できるようなWEBサイト管理体制を構築できることを願っています。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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