近年、マーケティング活動に不可欠とされ、さまざまな企業が成長の課題としている「カスタマーエンゲージメント」。
最新の顧客事情調査によると、50%以上の顧客が、あらゆる企業に対し「顧客との関わり方を見直すべきである」と考え、顧客の70%以上が、「ある一つの企業で素晴らしいカスタマーエクスペリエンスが得られれば、その他の企業でも同じ体験ができることを期待する」と回答している。
では、顧客からの期待に応えられるようなカスタマーエンゲージメントを目指すには、どのような施策が必要なのか。現代の企業に求められる顧客ニーズから、エンゲージメントの意味や、そのトレンドについても解説する。
参照元:カスタマーエンゲージメントの新しいルール:グローバルな調査で明らかになった主要トレンド
カスタマーエンゲージメントとは?
カスタマーエンゲージメントとは、顧客とのつながりを深め、良好な関係を構築することである。効果的なコミュニケーションにより、顧客と信頼関係を構築し、ブランドロイヤリティを高めていくことで、カスタマーエンゲージメントの成功を導くことができるだろう。
「顧客の期待」には、大きく3つの要素が挙げられる。
●ニーズについて、顧客が要求せずとも企業に前もって知っていてほしい。
●企業にとってではなく、顧客にとって最も便利な「場所と時間」を選びたい。
●企業には、部署の隔たりなく情報を共有し、自身へのサポートに役立ててほしい。
顧客は企業に要求する課題について、あらかじめ想定しておいてほしいと感じ、担当と話をする場合においても、電話・メール・オンライン上など、使用するチャネルやデバイスは自分で選択したいと考えている。また、もし担当者が次の日に変わったとしても、スムーズな対応を受けたいということを企業に期待しているのだ。
逆にいえば、期待した対応ができない企業は不満を持たれ、消費者コミュニティーにおいて非難される可能性もあるだろう。どの業界のどんな企業であっても、エンゲージメントで成功するには、期待に応えられるよう自社サービスを常に見直すことが必要だ。以下で詳しく解説する。
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カスタマーエンゲージメントの3要素とは?
企業はどのように自社のカスタマーエンゲージメントを改善し、日々変化する顧客の期待に応えていけばよいのか。成功の鍵ともいえる3つの要素、「体験のパーソナライズ」「情報のつながり」「リアルタイムの体験」を紹介しよう。
● 体験のパーソナライズ
出典元:カスタマーエンゲージメントの新しいルール:グローバルな調査で明らかになった主要トレンド
前述したように、顧客の70%以上が、企業には自身のニーズを前もって把握しておいてほしいと願っている。
パーソナライズについては、カスタマージャーニーを通して、一貫した顧客体験を求めていることが調査結果でわかった。気の利いた会社の同僚が仕事の合間にタイミングよくコーヒーを運んできてくれるように、60%以上の人々が自身のアクションに合った体験の提供を企業に求めているのだ。
そのためにはデジタルテクノロジーを駆使し、最新のニーズをつかむことが大切である。
● 情報のつながり
出典元:カスタマーエンゲージメントの新しいルール:グローバルな調査で明らかになった主要トレンド
顧客と企業がやりとりを行う際に重要なのが、顧客情報のつながりである。
60%以上の顧客が、「企業内の各部署で情報管理がばらばらに行われ、全体共有できていない」という印象を持っていることがわかった。チャネルを複数持つ企業にとって難しい課題となるが、エンゲージメントを高めるには、情報の統合は急務である。企業内のすべての人々が統一したシステムにアクセス可能であれば、繰り返し顧客に質問したり、情報収集のために待たせたりすることなく、素早い対応ができるだろう。
● リアルタイムの体験
出典元:カスタマーエンゲージメントの新しいルール:グローバルな調査で明らかになった主要トレンド
顧客の70%以上が、企業と顧客がリアルタイムでコミュニケーションがとれるよう望んでいる。「企業への要求をすぐに満たしたい」と考えているのだ。例えば、10人中6人ほどの顧客は「商品の配送が安くて迅速だった場合、他社のサービスに乗り換える」と回答している。また、解決できる問題であれば自身でなんとかしたいと考える顧客も70%近くに上った。この結果から、顧客は「待つ」という行為を避ける傾向にあることがわかる。リアルタイムで対話できるシステムの構築は、もはや必須の課題といえるだろう。
まとめ
カスタマーエンゲージメントの戦略を打ち出すには、「体験のパーソナライズ」「情報のつながり」「リアルタイムの体験」が重要である。
マーケターは常に自社の顧客ニーズを把握し、「適切なチャネル」に「最適なタイミング」で「効果的なメッセージ」を発信することが成功のポイントだ。