昨今のIT分野において、耳にする機会が増えた「ノーコード・ローコード」のシステム開発。ノーコード(No Code)とは、プログラミング言語でコードをまったく書かずにアプリなどのソフトウエア開発を行うことである。一方で、ローコード(Low Code)とは、少ないコードを書くことで開発していくことがポイントだ。
ノーコード・ローコード開発は現在、IT業界の「バズワード」ともいえるほど目立つ存在となっている。今後その概念は一般的な一つのスタイルとして継続されるのか、または一過性の流行でとどまるのか。開発における「実効性」について、解説する。
ノーコード・ローコード開発とは?
コードを書かない、またはほとんど書かずにアプリケーションなど、ソフトウエアの開発を行う「ノーコード・ローコード開発」。
IT人材の不足が叫ばれる中で需要が高まり、コーディングする開発と比較して、プログラミング知識がなくても扱えるノーコード・ローコードでの開発は、今後もさらに増えるのではないかという予測も多いようだ。
そもそもコンピューターは、オフとオンの2つの電気信号(2進数)を使って計算したり情報を処理したりしている。オフは(0)、オンは(1)という信号だ。
スマホのデータ処理も、携帯で撮影したホーム画面に設定する写真も、実はすべてオフ(0)とオン(1)の羅列で表されているのである。
これまでは、コンピューターの専門知識を持っているごく一部の人にしか理解できなかった信号だが、より多くの人が扱えるように生み出されたのが、人間とコンピューターをつなぐプログラミング言語である。以下で詳しく解説する。
プログラミング言語とは?
人間とコンピューターの間に入り、システム開発などで必要な信号をコンピューターに伝達する言葉がプログラミング言語である。
プログラミング言語で書かれた言葉は「コード」と呼ばれ、現在私たちが活用しているソフトウエアは、そういったプログラミング言語から生まれたコードの集まりだと考えればよいだろう。
人間とコンピューターをつなぐために誕生したコードではあるが、勉強せずに使いこなすことは難しく、高度な技術をコンピューターに伝達する場合においては、専門的な知識が必要である。
ノーコード・ローコードの実効性は?
プログラミング言語であるコードが専門的な知識を必要とするのに対し、誰でも簡単に扱えるノーコード・ローコードの開発は、人材不足で悩む企業や、費用を抑えたシステム構築に取り組みたい企業にとって有益な施策となるだろう。
ソフトウエアなどの開発に使用するのは、基本的にほぼマウスのみ。コンピューターの処理をドラッグ&ドロップで設定していけば、複雑なコードの知識がまったくなくても、必要な情報を伝達することが可能となっている。
ノーコード・ローコード開発の実績事例には、コードを書いたこともソフトウエア開発に携わった経験もないビジネスユーザーが、たった3日でアプリケーションの開発に成功したことが挙げられるだろう。もちろん、コードは1行も書かずに開発したのである。
まとめ
企業に有益な技術として、期待されるノーコード・ローコード開発。最新の技術ではノーコードやローコードでも、かなり高度なアプリケーションをつくることができ、AIの実装やAPI(Application Programming Interface:アプリケーションとプラグラムをつなぐもの)への連携も行える。
例えば、マーケターが自身のマーケティングツールを作成し、専用データベースを用いてマーケティング分析を行うよう実装することも可能である。
ノーコード・ローコードが、今後より一層発展し、一般的なものになれば、誰もがアプリケーションやソフトウエアの開発者となり、頭に思い描く通りの世界を生み出すことができるだろう。