株式会社サイカは、「Cookie等を用いたユーザー行動分析の利用実態調査 2020年版」を実施し、その結果を発表した。
この調査は2018年から毎年実施されているが、今回の調査では、2018年に比べて「Cookie等を用いたユーザー行動分析に不足を感じている」層が2倍以上に増加していることが明らかになった。
参照元:企業の広告宣伝担当者290人に聞いた Cookie等を用いたユーザー行動分析の利用実態調査 2020年版
「Cookie等を用いたユーザー行動分析」とは?
インターネット広告の市場は2000年前後から継続して伸張している。インターネット広告媒体や戦略が多様化していく中では、自社が出稿した広告について、効果測定を行うことも重要だ。
そのためインターネット広告市場の伸張と併行し、広告の効果測定の技術も発展してきた。その中の1つが「Cookie等を用いたユーザー行動分析」だ。
Cookieとは、Webサイト提供者が、訪問したユーザーのデバイスに一時的に書き込んで保存させたデータを指す。この中にはユーザーの識別や属性、サイト訪問日時などが記録されることが多い。
インターネット広告では、複数のWebサイトからCookieを受け取ることでユーザーを識別し、そのユーザーの閲覧履歴・行動履歴を記録・追跡することが可能となっている。この技術を使うことで、出稿した広告に効果があったかどうか判断できるというわけだ。
しかし、近年は統合分析という手法を使った効果測定のニーズの高まりや個人情報保護に関する規制強化など、Cookieなどを用いたユーザー行動分析には逆風ともいえるような状況になっている。
「日常的に実施している」層は減少、「不足を感じる」層は2018年の2倍以上に増加
企業の広告宣伝担当者290名に、「Cookie等を用いたユーザー行動分析」をどの程度行っているのか調査した結果が下のグラフだ。
出典:企業の広告宣伝担当者290人に聞いた Cookie等を用いたユーザー行動分析の利用実態調査 2020年版
「常に実施している」「実施することが多い」を合わせた層は、2019年から2020年の間で10%以上減少していることがわかる。
続いて、先のアンケートで「実施している」と回答した担当者を対象に、「Cookie等を用いたユーザー行動分析」の満足度について調査が行われた。
出典:企業の広告宣伝担当者290人に聞いた Cookie等を用いたユーザー行動分析の利用実態調査 2020年版
「あまり測定できているとはいえない」「全く測定できていない」を合計した割合は、2018年の11.4%から2020年には24.1%になっており、2倍以上に増えていた。
不足を感じるのは「効果測定範囲が限定的である点」
具体的に不足を感じているのはどのような点なのだろうか。先のアンケートで「不足を感じている」と回答した担当者を対象に、不足点について調査した結果が下のグラフだ。
出典:企業の広告宣伝担当者290人に聞いた Cookie等を用いたユーザー行動分析の利用実態調査 2020年版
「効果を測定できる範囲が限定的である」という回答が半数を超え、圧倒的に多かった。この回答の割合は2018年には35.0%で3位だったが、2019年に48.4%で1位となり、2020年も53.9%で1位となった。
出典:企業の広告宣伝担当者290人に聞いた Cookie等を用いたユーザー行動分析の利用実態調査 2020年版
このような結果になった背景としては、やはり統合分析による効果測定のニーズの高まり、個人情報保護に関する規制強化が影響していると考えられている。