オンライン調査会社などの調べによると、クリエーティブな作品として大きな賞を獲得し、「世界的に評価される質の高い広告」は、必ずしも「効果が上がる広告」とはいえないことが判明した。
独創的で創造性の高い広告が集まる、世界最大規模の広告祭・カンヌライオンズといえば、多くのクリエーターたちが注目する祭典である。さまざまな作品の中から選ばれた名高い受賞コンテンツには「ブランドに革新的な影響を与えること」や「宣伝効果の高さ」が求められるのだ。しかし、昨今の作品においてその「広告力(効果の高さ)」を示せたのは、全体のわずか4分の1のみという驚くべき結果が明らかになった。
これまで当然のこととして関連づけられていた「クリエーティブな受賞コンテンツ」と「広告力」。独創性や創造性のある広告は、なぜ力を失ってしまったのか。
クリエーターにとって悩ましい、作品の「評価と効果」について解析する。
参照元:クリエイティブの評価は、必ずしもブランドへの影響力につながらない/クリエイティブが最も高い評価を受けるのは顧客の信頼を勝ち取ったときだけだ
受賞コンテンツによる影響力の低下はなぜ起こったのか
出典元:クリエイティブの評価は、必ずしもブランドへの影響力につながらない/クリエイティブが最も高い評価を受けるのは顧客の信頼を勝ち取ったときだけだ
クリエーティブな広告には、独自の表現でブランディングを行うことや他との差別化ができていること、また、ユーザーから興味や関心を引くことなどが求められている。
しかし昨今は、ユーザーの関心を引くことに重点を置き、高評価を得ている受賞コンテンツが多く見られるようだ。インパクトのある作品をつくれば、それだけユーザーを引き込むことができるだろう。しかし、それだけではクリエーティブと広告力が紐づかないものになる。ブランドの価値を訴求し、差別化されたコンテンツこそが「効果の高い広告」と位置づけられるからだ。
どのようにブランドを印象づけるかが重要
世界的に認められたコンテンツであっても、ユーザーに与える影響が乏しく、広告力につながらないという結果から、今後のコンテンツ制作をもう一度見直す必要がありそうだ。
効果を上げるための手法の一つに「パーパス(意図・目的・目標)」が挙げられるだろう。分析調査によると、パーパスをブランディングできた企業は、ブランディングできていない企業に比べ、2倍以上の躍進を遂げているのだ。
大切なことは、クリエーティブがブランドのパーパスを明確に捉えること。ユーザーの持つブランドイメージに当てはまり、それを可視化するようなコンテンツでなければ、広告の効果が上がるパーパスにはならないのである。
参照元:クリエイティブの評価は、必ずしもブランドへの影響力につながらない/クリエイティブが最も高い評価を受けるのは顧客の信頼を勝ち取ったときだけだ
まとめ
広告クリエーティブを行う上で大切なことは、他社との識別を促すブランディングとその意義を高めることである。「この企業だからこそ」というニーズを引き出し、ユーザーに選ばれるよう構築する必要があるのだ。記憶に残ることはもちろん、徹底してブランドを浸透させるべく、他とは強く差別化を図るべきだろう。
昨今の受賞作品において、意図的にブランドを想起させる広告クリエーティブはどれぐらいあっただろうか。独創性や創造性の中に、訴求したいブランドの価値とつながる適切な表現が必要だろう。世界的な賞を獲得した広告クリエーティブにおいても、最終的に評価することができるのはユーザーなのである。
参照元:クリエイティブの評価は、必ずしもブランドへの影響力につながらない/クリエイティブが最も高い評価を受けるのは顧客の信頼を勝ち取ったときだけだ