携帯電話やスマートフォンを通じて決済する「モバイルペイメント」の普及が拡大しています。コンビニチェーンや携帯電話キャリアなどさまざまな企業が参入し、大々的なポイント還元施策を実施したことで、生活者の間でモバイルペイメントの利用が急速に拡大しました。
しかし、現金やクレジットカードといった既存の決済手段を利用し、モバイルペイメントに移行しないもしくは積極的に活用しない層も一定数います。こうした層にもモバイルペイメントを普及するには、どのような手段を講じればよいのでしょうか。
この記事では、さらなるモバイルペイメントの利用拡大には何が必要か、Googleが分析したモバイルペイメント普及の鍵をご紹介します。
利用者数が拡大するモバイルペイメント
モバイルペイメントとは、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル端末を利用した電子決済をいいます。
モバイルペイメントの方法にはさまざまな種類があり、カードリーダーにスマートフォンをかざして決済する「電子マネー型」、スマートフォンに表示したQRコードを店舗側に読み取ってもらう「QRコード(バーコード)型」などがあります。
Googleの調査によると、QRコードを利用した決済サービス(以下QR決済)の利用経験があるユーザーの割合は、2020年1月時点で63.3%と高い水準に達していました。さらに、20〜50代の利用経験は、すべての年代で男女ともに60%を超えています。モバイルペイメントの利用者数拡大は、QR決済の利用でポイント還元といった各企業の積極的なプロモーションの効果によるものだと考えられます。
しかしながら、「今後もQR決済を積極的に利用したいか」という利用意向の調査では、「積極的に利用したい」と答えた人の割合は23.3%に留まりました。加えて、現金の利用意向は32%、クレジットカードの利用意向は36%と、いずれもQR決済を上回っています。
これらの調査結果から、モバイルペイメントが生活者に浸透し利用者数が拡大する一方で、現金やクレジットカードから本格的に移行しているとはいえないことがわかりました。今後は利用者数の拡大よりも、利用意向を向上させる必要があるとGoogleは結論づけています。
モバイルペイメント普及の鍵は使い方の理解促進
モバイルペイメントを今後さらに普及させるには、生活者の利用意向を高める必要があります。
Googleの調査では、生活者がモバイルペイメントを積極利用する過程において、以下の2点が重要であると明らかになりました。
1.魅力的なポイント還元
2.使い方が理解しやすいこと
ポイント還元に関しては、すでにさまざまな企業が大々的なプロモーションを実施しています。生活者もポイント還元には関心を持っているため、モバイルペイメントの利用者数拡大という一定の効果が出ています。しかし、生活者がポイント還元と同じぐらい使い方の理解も重視していることに関しては、これまでのプロモーションの中でさほど目が向けられていなかった部分でしょう。
ポイント還元や対応店舗の増加といった「わかりやすい取り組み」だけでなく、モバイルペイメントの使い方の理解を促進できるような「生活者の目線に立った取り組み」も大切です。
セキュリティへの信頼性も積極利用につながる
現金やクレジットカードよりも積極的にモバイルペイメントを利用する層を増やすには、セキュリティの信頼性が重要です。Googleの分析によると、「ポイント還元」「使い方の理解」に次いで、生活者はモバイルペイメントに「安心・安全」を求めていることがわかりました。
2019年には、大手コンビニチェーンが展開するモバイルペイメントにおいて不正利用が発覚し、クレジットカードからのチャージが停止されました。その後はモニタリング体制の強化や外部IDによるログイン停止といった措置が講じられましたが、サービス開始からわずか3ヶ月で廃止されています。
モバイルペイメントのセキュリティに関しては、技術的な対策をとることはもちろんですが、生活者に植え付けられたセキュリティ面での不安や不信感を払拭していかなければなりません。ユーザーがセキュリティに信頼を持ち、安心・安全に利用できると認識できれば、モバイルペイメントの積極的な利用は増えていくと考えられます。
参考:Google社 『さらなる普及には使い方の理解促進が重要──生活者視点からモバイルペイメント普及の鍵を探る:モバイルペイメント市場調査』
まとめ
◆モバイルペイメントとは、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル端末を利用した電子決済をいう。
◆各企業の積極的なプロモーションの効果により、モバイルペイメントの利用者数が拡大している。一方で、現金やクレジットカードから本格的に移行できているとはいえない。
◆モバイルペイメントにおいて生活者が重視していることは、「ポイント還元」と「使い方の理解」である。Googleは、「使い方の理解」が今後のモバイルペイメント普及の鍵とみている。
◆生活者はモバイルペイメントに対し、セキュリティ面での「安心・安全」も求めている。技術的なセキュリティ対策はもちろん、生活者が感じている不信感や不安も払拭していかなければならない。