新型コロナウイルスのまん延により、多くの業界で企業活動の低下がみられ、新しい時代のクリエーティブについて課題が生まれている。「ウィズコロナ」「アフターコロナ」と呼ばれるこれからの社会において、消費者から支持を得られる広告とはどのようなものになるのか。クリエーターの模索が続く中、大きなヒントとなる広告を大手ブランド企業が打ち出した。危機下におけるクリエーティブを分析し、変化を遂げた広告の特長と企業メッセージを考察する。
参照元:8社の動画広告に見るヒント──これからの広告制作の指針
ポカリスエット/大塚製薬は「合唱」でメッセージ
出典元:8社の動画広告に見るヒント──これからの広告制作の指針
大塚製薬のポカリスエットがYouTubeに出稿した動画広告は、コロナ禍で消費者の大きな話題となった。「自分の場所で自分らしく」をコンセプトに、自撮り動画を組み合わせ、1つの歌を中高生らが合唱した動画である。制約のある環境を生かした、これまでにないクリエーティブのプロセスは、他社にも影響を与えたといえるだろう。
パンテーン/P&Gは「前向き」な広告を発信
出典元:8社の動画広告に見るヒント──これからの広告制作の指針
同じく「前向きな一歩をサポートする」広告を打ち出したP&Gのパンテーン。広告制作に費やした期間は企画・出稿含め「わずか1週間」という異例のスピードだ。
コロナ禍でも「髪を変えるだけで、ほんの少し気持ちが前向きになるかもしれない」というメッセージを消費者に発信し続けた。ブランド独自の視点から「髪を考える」広告が消費者の支持を得たといえる。
ドミノ・ピザは「ソーシャル・ディスタンシング」をアピール
出典元:8社の動画広告に見るヒント──これからの広告制作の指針
ドミノ・ピザは需要が高まるデリバリーの利用において、消費者の安心を得られるよう直接の受け渡しを避けた「あんしん受取サービス」を展開。ソーシャル・ディスタンシングをオプションのサービスとして提案し話題となった。
マクドナルドはテイクアウトのデジタル化で利用を促す
出典元:8社の動画広告に見るヒント──これからの広告制作の指針
マクドナルドはITシステムを構築し、DX(デジタルトランスフォーメーション)をいち早く自社のビジネスに組み込んだ企業といえるだろう。スマホから商品を注文し、会計までできる公式アプリを動画広告として打ち出した。店内レジでの支払いがなくなることで消費者が店舗内にとどまる時間を最小化し、安心感や利便性をアピールしている。
変化したブランド広告/まとめ
出典元:8社の動画広告に見るヒント──これからの広告制作の指針
上記で挙げた企業のほかにも、自宅にいる時間を有効に使う美脚ケアを提案した「メディキュット」、働く社員に目を向けたインナーブランディング広告の「西友」、新たなソリューションで消費者にバーチャル体験を提案した「積水ハウス」、やわらかなタッチで感染予防を呼びかける「ACジャパン」なども、危機的状況下のクリエーティブで、消費者の支持を集めたといえるだろう。クオリティーを意識し、かつ、共感を得られる広告の必要性がますます高まっている。「新しい時代(ニューノーマル)のクリエーティブとは何か」を考える上で、各企業の対応力やスピード感は多くの企業の参考になるはずだ。