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ABテストとは? 4つの種類とやり方、仕組みをわかりやすく解説

2025.3.7
読了まで約 13

マーケティングの現場ではしばしば「ABテスト」という言葉を見聞きします。ABテストとは2つのものを比較して検証するもので、インターネットマーケティングで多く行われる手法の1つです。

ABテストの基本的な考え方は、「AパターンとBパターンのどちらがより効果的か」を客観的に判断することです。これにより、ウェブサイトやランディングページ、広告などの改善に役立つ貴重なデータを得ることができます。

具体的には、サイトへのアクセス数、広告のクリック率、成約率などの指標を用いて比較を行います。テストの精度を高めるためには、比較対象以外の条件(テスト期間や配信頻度など)をできるだけ同一に保つことが重要です。また、テストするデザインや文言の違いは、極端なものではなく、微妙な変更に留めるのが一般的です。

この記事では、ABテストの基礎知識から実施する理由、潜在的なリスク、おすすめのツールまで、包括的に解説します。マーケティング戦略の最適化を目指す方々にとって、有益な情報となるでしょう。

ABテストとは何か?

ABテストとは複数のものを比較するテストです。「AパターンとBパターンではどちらがよいか」を比べるため、ABテストと呼ばれていると考えるとわかりやすいでしょう。

インターネットマーケティングでよく行われる手法で、サイトや広告のアクセス数や成約率などのデータを比較し、成果が出ているほうを採用します。

一般的に、ABテストでは以下のような要素を比較します。
・ウェブページのデザイン
・広告のコピーや画像
・メールマーケティングの件名や本文
・アプリケーションのユーザーインターフェース

ABテストの目的は、ユーザーの行動や反応を分析し、最も効果的なバージョンを特定することです。これにより、コンバージョン率の向上やユーザーエクスペリエンスの改善が期待できます。

より正確なデータを収集するため、比較対象以外の条件、たとえば期間や広告を配信する頻度などをできる限り違わないようにしておくことが望ましいです。また、比較するデザインや文言は、大幅には異ならないもので実施します。メルマガの成果を上げるためにも、ABテストを実施することがあります。

ABテストは継続的な改善プロセスの一部として位置づけられ、定期的に実施することで、マーケティング施策の最適化を図ることができます。

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ABテストを行う理由

ABテストを実施する理由には、主に3つの重要な点があります。1つ目は、ホームページやランディングページの精度を向上させ、収益の増加を図ることです。2つ目は、大規模な改修を行わずに、比較的低コストで成果を上げられる可能性があることです。3つ目は、効果的なデザインや文言のパターンを発見し、将来のマーケティング施策に活用できる知見を蓄積できることです。

これらの理由により、ABテストはインターネットマーケティングにおいて非常に有効な手法となっています。特に、ウェブサイトの改善や広告効果の最適化において、データに基づいた意思決定を可能にし、ビジネスの成長を支援する重要なツールとなっています。

ホームページの精度を上げて収益をアップさせる

最初に作ったホームページや広告、ランディングページ(LP)は仮説の塊といえます。実際に運用してみないことには、成果はわからないものです。メインビジュアルのリニューアル、見出しや文章の内容の改善、掲載されている画像変更によって、成果が今よりも上がるかもしれません。

ABテストを行ってそれらの要素を一つひとつ改善していけば、よりホームページの精度が向上し、問い合わせや注文が増え、収益がアップする可能性があります。

ABテストを実施し、これらの要素を一つずつ改善していくことで、ホームページの精度が段階的に向上します。その結果、問い合わせや注文の増加につながり、収益アップの可能性が高まります。継続的な改善プロセスを通じて、ユーザーニーズにより適合したホームページへと進化させることができるのです。

コストをかけずに成果をアップさせられる可能性がある

ホームページやLPの成果が上がっていないからといって、まるごと作り直すのはコストと手間がかかります。しかも、リニューアルしたからといって必ずしも結果が出るとは限りません。

前述のとおり、サイトに含まれる要素を少し変えるだけでも成果が上がるケースはあります。ABテストを行えばコストをかけてまでリニューアルしなくても、収益アップにつながる可能性があり、ホームページやサイトの運営効率を上げることも可能です。

ABテストは比較的小規模な変更で実施できるため、大規模なリニューアルに比べて低コストで実行できます。例えば、ボタンの色や配置、見出しの文言など、サイトの一部分だけを変更してテストすることで、どの要素が成果に影響を与えているかを特定できます。これにより、効果的な改善点を見つけ出し、最小限の投資で最大限の効果を得られる可能性が高まります。

また、ABテストは段階的に実施できるため、リスクを最小限に抑えながら継続的な改善が可能です。一度に大きな変更を加えるのではなく、少しずつ改善を重ねていくことで、安定した成果の向上を図ることができます。

成果が出るパターンがわかってくる

ABテストを行って結果を検証すれば知見が貯まってきます。「メインビジュアルはこのデザインがいい」「コンテンツでこんな訴求をすれば成約率が上がる」「このバナーを使えば広告でアクセスが集められる」といったことがわかってくるでしょう。

これらの発見は、単に現在のキャンペーンや施策の改善にとどまらず、将来的なマーケティング戦略全体に大きな影響を与える可能性があります。成功パターンを体系化し、社内で共有することで、組織全体のマーケティングスキルの底上げにもつながります。

さらに、ABテストを通じて得られた知見は、新規プロジェクトや新商品のプロモーション戦略を立案する際の重要な指針となります。過去の成功事例を参考にすることで、より効果的なマーケティング施策を素早く展開できるようになり、結果として企業の競争力向上に寄与します。

このように、ABテストは単なる一時的な改善手法ではなく、長期的な視点で見たときに非常に価値のある取り組みといえるでしょう。継続的にABテストを実施し、その結果を適切に分析・活用していくことが、デジタルマーケティングの成功には不可欠です。

ABテストのメリット

ABテストのメリットとしては、次の点が挙げられます。

● 複数のパターンを同時並行で検証できる
● 低コストかつ短期間で実施できる

これらのメリットにより、効率的かつ効果的なマーケティング施策の実施が可能となります。ABテストを活用することで、データに基づいた意思決定を行い、ビジネスの成果を向上させることができます。また、継続的な改善サイクルを確立することで、長期的な競争力の強化にもつながります。

それぞれのメリットを説明します。

複数のパターンを同時並行で検証できる

ABテストという名前ですが、必ずしも2つを比較検証するのではありません。3つ以上のパターンを同時並行で検証することもあります。

まとめて比較検証することで、短時間でより効果の高い施策が判明します。また、パターンの設定によっては、どのパターンのどの部分を改善するとさらによくなるかなども分析可能です。この方法により、短期間でより効果的な施策を見出すことができます。

例えば、ウェブサイトのボタンデザインを改善する場合、現行のデザイン(A)に加えて、新しい色のボタン(B)、異なる形状のボタン(C)、テキストを変更したボタン(D)など、複数のバリエーションを同時に比較できます。これにより、どの要素がユーザーの行動に最も影響を与えるかを効率的に分析できます。

さらに、複数のパターンを比較することで、各要素の相互作用も観察できます。例えば、色の変更とテキストの変更を組み合わせた場合の効果など、より詳細な分析が可能になります。これらの知見は、今後のマーケティング戦略や製品開発に活かすことができる貴重な情報となります。

このように、ABテストを通じて複数のアイデアを同時に検証することで、効率的かつ効果的な改善策を見出すことができるのです。

低コストかつ短期間で実施できる

前述のように、一般的なABテストでは、大幅に違うデザイン・文言のものを比較検証しません。

そのため、検証結果によって改善作業が必要だと判明しても、元からあるものを少し変更するだけで済みます。低コストかつ短期間で効果的に改善できるのも、ABテストのメリットです。

例えば、ウェブサイトのボタンの色を変更したり、見出しの文言を微調整したりするだけでも、ユーザーの行動に影響を与える可能性があります。こうした小さな変更を迅速に実施し、効果を測定することで、継続的な改善サイクルを回すことができます。

また、ABテストのツールを活用することで、テストの設定や結果の分析をさらに効率化できます。これにより、マーケティングチームは時間とリソースを節約しつつ、データに基づいた意思決定を迅速に行うことが可能となります。

このように、ABテストは大規模な変更や長期的なプロジェクトを必要とせず、小規模かつ迅速に実施できる改善手法として、多くの企業で活用されています。

ABテストを行う際の注意点

メリットの多いABテストですが、実施する前には次の点に注意が必要です。

● テストは同じタイミング、同じ時期に1つの要素に絞り込んで行う
● 一定以上のサンプル数を確保する
● テストは2週間以上行う
● 必ずしも良い結果が出るわけではないと理解しておく

これらの注意点を守ることで、より信頼性の高い結果を得られます。テストの条件を揃えることで、外部要因による影響を最小限に抑えられます。また、十分なサンプル数と期間を確保することで、統計的に有意な結果を得られる可能性が高まります。

ただし、ABテストの結果が必ずしも期待通りになるとは限りません。時には想定外の結果が出ることもあります。そのような場合でも、その結果から学びを得て、次の改善につなげることが重要です。

ABテストは継続的な改善プロセスの一部であり、1回の結果だけで判断するのではなく、長期的な視点で取り組むことが成功への鍵となります。

それぞれの注意点について説明します。

テストは同じタイミング、同じ時期に1つの要素に絞り込んで行う

ABテストは、複数パターンを同時検証することが大切です。テストの時期がずれると、ユーザーの流入経路やモチベーションが変化し、妥当性の高い検証結果が得られません。

また、比較する要素も1つのみに限定することが望ましいでしょう。2つ以上の要素を同時に比較すると、どの要素が結果に対して影響を及ぼしているのか把握できません。例えば、ボタンの色とテキストを同時に変更するのではなく、まずは色だけを変更してテストを行い、その後テキストを変更するといった具合に、1つずつ要素を変更してテストを実施することで、より明確な結果を得ることができます。

一定以上のサンプル数を確保する

ABテストから信頼性の高い結果を得るためにも、ユーザー数やコンバージョン(CV)数はある程度多くなくてはいけません。たとえばWebサイトの検証であれば、妥当性の高い検証結果を得るためにも、2,000以上のCV数が必要とされています。

ただし、元々の閲覧数などによっても適切なサンプル数は異なる点に注意しましょう。また、メルマガの検証などのようにユーザー数が限られている場合も、必要なサンプル数は異なります。

サンプル数が少ない場合、テスト期間を延長したり、トラフィックを増やす施策を実施したりするなどの対策を検討しましょう。逆に、大規模なサイトでは短期間でも十分なサンプル数を得られる可能性があります。適切なサンプル数を見極めるには、統計的な知識や専門家のアドバイスを参考にすることも有効です。

テストは2週間以上行う

Webページの改善目的のABテストでは、2週間以上続けてテストするのが理想的とされています。

ただし、閲覧数やCV数が少ないWebサイトでは、2週間程度では十分なサンプル数を獲得できません。反対にアクセスの多いWebサイトでは2週間未満の短期間でも、十分すぎるサンプル数を獲得できることがあります。

また、メルマガ配信の効果検証においても、適切なテスト期間は異なります。必要なサンプル数やユーザー数などに応じて、適切なテスト期間を定めましょう。

ただし、Webサイトの特性によっては、この2週間という基準を柔軟に調整する必要があります。例えば、アクセス数が非常に多いサイトでは、2週間未満でも十分なサンプル数を得られる可能性があります。逆に、閲覧数やコンバージョン数が少ないサイトでは、2週間では十分なデータが集まらず、より長期間のテストが必要になるかもしれません。

また、季節性や曜日による変動も考慮に入れる必要があります。2週間以上のテスト期間を設けることで、これらの変動要因の影響を最小限に抑え、より信頼性の高い結果を得ることができます。

メールマガジンの効果検証など、Webページ以外の領域でABテストを行う場合は、それぞれの特性に応じて適切なテスト期間を設定することが重要です。例えば、メールマガジンの場合は、配信頻度や購読者数などを考慮して期間を決定する必要があります。

結論として、ABテストの期間は、テスト対象の特性、必要なサンプル数、ユーザー数などを総合的に判断して決定すべきです。2週間という基準を参考にしつつ、各ケースに応じて柔軟に調整することが、効果的なABテストの実施につながります。

必ずしも良い結果が出るわけではないと理解しておく

ABテストでは新しいものが必ずしも良い結果を出すとは限りません。ホームページの要素を変更したがために成約率が下がってしまった、新しい広告を入稿したがためにアクセス数が少なくなってしまったというケースもしばしばあります。ABテストを行ったことで成果が下がるリスクがあることも念頭に置いておきましょう。

とはいえ、ホームページやLPをまるごとリニューアルしたり、まったく新しい広告を配信したりといった場合でも同じことがいえます。それよりはリスクが低くコストもかからないので、まずはABテストを実施して細かい改善を積み重ねていきましょう。

なお、ABテストは変更点によって結果が左右されやすく、必ずしも期待した結果が得られるとは限りません。好ましくない結果や目的とはずれる結果、一見、参考にならないような結果が出ることもあります。

これらの結果は、現状の問題解決には活かせないかもしれません。しかし、ABテストを実施していくことで 最適解に近づけるのは事実です。参考にならない結果も適切に蓄積し、継続的にABテストを実施していきましょう。

ABテスト4つの種類

Webページの改善に用いるABテストは、大きく次の4種類に分けられます。

1. 同一URLの要素・見た目を切り替えるテスト
2. 複数ページテスト
3. リダイレクトテスト
4. 多変量テスト

分析したい内容によって適切なテストを選ぶことが大切です。
ABテストのツールはGoogleオプティマイズ(2023/9/30終了)などが挙げられます。Microsoft「Clarity」などのヒートマップツールを組み合わせて活用することで効率的な改善が可能です。

なお、メルマガ配信の検証については、異なるタイプのABテストを用います。
ここからは、各種類の特徴や流れを説明します。

各テスト方法には、それぞれ特徴や長所・短所があります。たとえば、同一URLのテストは準備が容易である一方、複数ページテストではより広範囲な検証が可能です。リダイレクトテストは特定のフローに適していますが、準備に手間がかかります。多変量テストは複数要素を同時に検証できる反面、結果の解釈が複雑になる傾向があります。

テストの選択にあたっては、検証したい内容や現在のウェブサイトの構造、available resource(利用可能なリソース)などを総合的に考慮する必要があります。また、テスト実施後の分析と改善策の実行も重要なステップとなります。

関連記事:メールでのABテストはどうやってやる?検証のポイント
関連記事:Microsoft「Clarity」とは!無料で使えるヒートマップツールを解説!

1.同一URLの要素・見た目を切り替えるテスト

URLを変えずに特定の要素や見た目だけを変える手法があります。Webページの検証に用いるABテストのなかでも一般的な手法で、ソースコードの書き換えが不要なため、テストの準備が容易である点がメリットです。

なお、同一URLでもユーザーによって異なるWebページにアクセスできるようにするには、JavaScriptの技術を用います。JavaScriptを使って比較検討するパターンごとにスクリプトとして登録すると、ユーザーのデバイスやブラウザの種類によって、異なる要素・見た目のWebページにアクセスできるようになります。

この手法は、ページの特定の部分、例えばヘッダー、ナビゲーション、コールトゥアクションボタンなどを変更して効果を測定するのに適しています。また、ユーザーエクスペリエンスを大きく変えることなく、細かな改善を積み重ねることができるため、段階的な最適化に向いています。

2.複数ページテスト

複数ページテストとは、比較検討したい要素が複数のWebページにわたるときに利用するABテストです。複数ページテストでは、ページごとのパターンだけでなく、リンク先も比較対象にします。

この手法の大きな利点は、ページ間の導線も比較できることです。これにより、コンバージョン(CV)につながる効果的なサイト構造を見出すことが可能となります。たとえば、商品紹介ページから購入ページへの遷移、あるいはランディングページから会員登録ページへの導線など、複数のページにわたるユーザーの行動を分析できます。

複数ページテストを効果的に実施するためには、特定の導線以外は移動できないように制御することが重要です。これにより、テストの結果がよりシンプルになり、解釈しやすくなります。例えば、A版とB版で異なるページ遷移を設定し、それぞれの導線でのCV率を比較することで、より効果的なサイト構造を特定できます。

ただし、複数ページテストは単一ページのテストよりも複雑になる傾向があるため、テスト設計や結果の分析には十分な注意が必要です。また、テスト期間中はユーザーエクスペリエンスに影響を与える可能性があるため、慎重に実施することが求められます。

3.リダイレクトテスト

リダイレクトテストとは、テスト対象のWebページに訪れたユーザーを別のURLにリダイレクトして実施するABテストです。たとえば、申し込みのフローなど、途中からユーザーが入ってくることのないWebページで用いられることがあります。

このテスト方法は、完全に異なるデザインや構成のページを比較する際に特に有効です。ユーザーは気づかないうちに、異なるバージョンのページへ誘導されることになります。これにより、大規模な変更の効果を測定することができます。

ただし、リダイレクト先の別ページを用意する必要があるため、手間がかかる点に注意が必要です。また、リダイレクトによる表示速度の低下がユーザー体験に影響を与える可能性もあるため、実施の際はこの点にも配慮が必要です。

リダイレクトテストを実施する際は、SEOへの影響も考慮すべきです。検索エンジンがリダイレクトを正しく解釈できるよう、適切な設定を行うことが重要です。

関連記事:リダイレクトとは?種類や設定方法、必要なタイミングを解説

4.多変量テスト

多変量テストとは、同じページ内にある複数の異なる要素を切り替えて組み合わせ、数多くのパターンを比較するテストです。パターンごとの成果を分析することで、より効果的なパターンや、効果の大きい要素を把握できるようになります。

一般的なABテストよりは複雑になりますが、比較検討したい要素が複数あるときには一度で検証が済むため便利な手法です。複数の要素を同時に変更して効果を測定することで、各要素の相互作用も分析できるのが特徴です。

たとえば、ボタンの色とテキスト、画像の配置を同時に変更してテストを行うことで、それぞれの組み合わせがどのような結果をもたらすかを総合的に評価することができます。この方法により、個々の要素だけでなく、要素間の相乗効果も把握することが可能になります。

ただし、多変量テストは通常のABテストよりも多くのトラフィックと時間を必要とするため、実施する際はサイトの規模や目的に応じて適切に判断することが重要です。

ABテストの基本的な進め方4ステップ

ABテストは、基本的には次の流れで進めていきます。

1. ABテストの目的を明確化する
2. 実際のデータに基づいた仮説を立てる
3. データ計測環境を整えテストを実施する
4. 結果を分析し改善策を実行しPDCAを回す

これらのステップを順番に進めていくことで、ABテストを通じて効果的な改善を行うことができます。各ステップの詳細については、以降のセクションで解説していきます。

1.ABテストの目的を明確化する

まずはABテストの目的を明確化します。複数の課題や変更点を検証したいときは、改善インパクトの大きい箇所からABテストを実施するように計画を立てます。目的を明確にすることで、テストの方向性が定まり、効果的な検証が可能になります。また、目的に応じて適切な指標を選定することも重要です。例えば、コンバージョン率の向上が目的であれば、CVR(コンバージョン率)を主要指標として設定します。目的と指標を明確にしたうえで、具体的なテスト計画を立案しましょう。

2.実際のデータに基づいた仮説を立てる

テストごとに仮説を立てます。たとえば、「ボタンを赤に変えるほうが、クリック率が上昇する」のように改善点から予想される仮説を書き出します。

なお、仮説を立てる際は、バナーのクリック率やページの離脱率など、実際のデータを活用してください。データを活用することで、仮説が妥当だと判断される可能性が高まり、より精度の高い検証を実施できます。

また、仮説を立てる際は具体的な数値目標を設定することも重要です。例えば「ボタンの色を赤に変更することで、クリック率を現状の5%から8%に向上させる」というように、明確な指標を定めることで、テスト結果の評価がしやすくなります。さらに、過去のABテストの結果や業界標準のベンチマークなども参考にすると、より現実的な仮説を立てることができるでしょう。

3.データ計測環境を整えテストを実施する

検証する指標が正しく計測できるよう、データ計測環境を整えたうえでABテストを実施します。

JavaScriptやCookieなどを用いて自力でテストを構築できますが、手間がかかるだけでなく、サンプル数が多いと対応が難しくなるため、後述するABテストツールなどを用い効率的に実施しましょう。

また、テスト実施前にはデータの取得漏れがないか、正確に計測されているかを確認することが重要です。テスト期間中も定期的にデータを確認し、異常値や予期せぬ変動がないかチェックすることで、信頼性の高い結果を得ることができます。

4.結果を分析し改善策を実行しPDCAを回す

結果と仮説を照らし合わせて、分析・検証します。具体的な改善策を導き出し、実行していきましょう。また、一度の改善で終わるのではなく、改善・検証のPCDAサイクルを回し続けることが大切です。ABテストの結果を分析する際は、統計的有意性を考慮することも重要です。十分なサンプル数を確保し、信頼性の高い結果を得られたかどうかを確認しましょう。改善策を実行する際は、前回のテスト結果を踏まえつつ、新たな仮説を立てて次のABテストを計画することで、継続的な改善が可能となります。PDCAサイクルを効果的に回すことで、長期的にはWebサイトのパフォーマンスを大幅に向上させることができるでしょう。

関連記事:PDCAサイクルの具体例を徹底解説します!成功・失敗の要因を説明!

ABテストが行われるシーンと方法

ABテストは主に以下のようなシーンで行われます。それぞれの方法について紹介しましょう。

ホームページ

文章や掲載されている画像の内容、デザインの色使いやリンクボタンの位置などによってホームページのパフォーマンスは異なります。ホームページの一部分を変更してABテストを行い、結果データを比較します。
たとえば、トップページのメインビジュアルを変更するだけでも、成約率が変わる可能性があります。メインビジュアルのみを変更してABテストを行うことで、違いが明らかになります。
サイトで特に顕著に違いが出やすいのはリンクボタンです。「お問い合わせはこちら」「購入する」といったボタンの位置や色、文言などは成約率を大きく左右します。
このようにサイトの要素を変更してABテストを実践し改善を繰り返すことで、成果が上がるホームページに成長していくのです。

インターネット広告

リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などでもABテストがよく行われます。広告の役割はサイトに人を集めること。広告文やバナーのクリエイティブによってアクセス数が大きく異なります。
インターネット広告のABテストでは、異なるクリエイティブの広告を2つ用意して一定期間同時に配信し、クリック率(広告が表示された回数のうちクリックされてサイトにアクセスがあった割合)などを検証します。

例えば、以下のような要素でABテストを行うことが一般的です:
・広告のヘッドライン
・広告の本文
・使用する画像やバナー
・表示するURL
・広告の配信時間帯や曜日

これらの要素を変更し、より効果的な広告を作成することで、広告費用対効果(ROAS)の向上が期待できます。

LP(ランディングページ)

LP(ランディングページ)とは広告を踏んだ後に到達するサイトのことを指します。広告でアクセスを集め、LPで見込み客に商品やサービスの魅力を伝えて成約させるという流れです。
LPに関しても文章の内容や画像、リンクボタンの位置といった要素が非常に重要であり、ホームページと同様に一部の要素を変更してABテストを行います。また、LPに関しては特に内容が成約率を大きく左右します。2つの内容が異なるLPを用意してサイトごと比較するというABテストも行われます。

LPでは以下のような要素でテストを行います。
・ページのレイアウト
・見出しや本文の内容
・使用する画像や動画
・CTAボタンのデザインや配置
・フォームの項目数や配置

LPのABテストでは、コンバージョン率(CVR)の向上を主な目的とします。ユーザーの行動データを分析し、より魅力的で成約につながりやすいLPを作成していきます。

関連記事:LPとは?ホームページやトップページとの違い

Eコマースサイト

オンラインショップなどのEコマースサイトでも、ABテストは重要な役割を果たします。主に以下の要素でテストを実施します。
・商品の並び順やカテゴリ分類
・商品詳細ページのレイアウト
・価格表示の方法(割引率の表示など)
・レビューやお客様の声の掲載方法
・チェックアウトプロセスの簡略化

Eコマースサイトでのテストは、売上や顧客単価の向上、カート放棄率の低下などを目的として行われます。

これらのシーンでABテストを継続的に実施することで、マーケティング施策の効果を最大化し、ビジネスの成長につなげることができます。

ABテストツールおすすめ4選

ABテストは、ツールを活用すると効率的に進められます。おすすめのABテストツールを紹介します。

1.SiTest

SiTestは、ABテストだけでなく、ヒートマップの解析や入力フォーム最適化なども利用できるツールです。多様な手法でサイトの解析・改善をしたいときに活用してみましょう。有料ツールですが、無料トライアルがあり、使い心地を確かめてから導入できます。

SiTest

2.Juicer

Juicerは、ビジュアルエディターを活用して直感的にABテストを実施できるツールです。基本プランは無料で利用できます。ただし、多変量テストには対応していないため、比較要素が複数あるときには不向きです。

Juicer

3.Optimizely

Optimizelyは、複数のページに渡ってABテストができるツールです。テスト設計に利用できる言語もJavaScriptやCSSなどのメジャーなものが多く、利用しやすい点も特徴です。複数の視点から結果を測定したいときに活用してみましょう。

Optimizely

4.Optimize Next

Optimize Nextは、PROJECT GROUP株式会社が開発した無料のABテストツールで、Google Optimizeの後継として誕生しました。

直感的で使いやすいUI/UXを備え、日本語にも対応。2025年3月時点で、すでに4,600以上のWebサイトに導入されています。また、施策管理機能を搭載した有料プランも提供されていますが、基本的なABテスト機能は引き続き無料で利用可能です。

Optimize Next

ABテストを活用し効果的な分析をしよう

ABテストとは、異なる複数のものを比較して、成果が出ているほうを採用するインターネットマーケティングで多く行われる手法のことです。ホームページや広告、メルマガなどに対してABテストを実施することで、より成果が得られる内容や方法を選択できます。

ABテストにより収益アップにつなげられる可能性もあり、知見も増えます。ただし、ABテストを実施する際に一時的に成果が下がるリスクがある点に注意しましょう。

よくあるご質問

ABテストの実施期間はどのくらい?

Webサイトの改善目的でABテストを実施するときは、2~4週間が一般的です。しかし、PV数が少ないページを検証するときは4週間では十分とはいえず、PV数が多いときは2週間未満でも有意な検証結果が出ることもあるため、臨機応変に調整しましょう。ただし、メルマガ配信のABテストについては、この限りではありません。

ABテストの比率とは?

ABテストの比率とは、「ABテストの対象者÷全ユーザー数」で計算される数値のことです。メルマガの改善目的でABテストを実施するときなど、あらかじめユーザー数が分かっている場合は、ABテストの比率を決めて実施します。ABテストの比率は1~20%が一般的です。ユーザー数が多いときは比率が少なく、反対にユーザー数が少ないときは比率が多くなります。

ABテストの有意差はどのくらい?

ABテストの有意差は0.05未満が一般的です。なお、有意差とは、テストの結果によって生じた差が誤差かどうかを判断する基準のことです。有意差0.05未満は、結果が誤差である可能性が5%未満であることを意味します。有意差が小さければ小さいほどテスト結果の信頼性は高まりますが、結果を得るためのサンプル数が多くなり、検証時間もコストもかかる点に注意しましょう。

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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