コロナ禍の外出自粛の中、生活者のライフスタイルや意識にはさまざまな変化が生まれた。「オンライン化」はその中でも最も大きな変化の1つではないだろうか。
家庭生活でも仕事でも、多くの人がこれまで以上にオンラインに頼らざるを得ない状況が生まれ、以前よりオンラインを重視した生活が定着しつつある。
オンライン化を一過性のものに思う人もいるかも知れないが、実はそうではない。コロナ禍をきっかけに多くの人々がオンラインならではのメリット気づいており、もはやオンライン化の流れは不可逆のように思われる。
そのような変化の中、企業側もサービスのリモート化などの変革が求められている。
Googleは、そのような環境変化を事業変革のきっかけとし、成果を出した実例を紹介している。
参照元:コロナ禍で新たな需要をどう捉えたか──Zoff、保険市場、花キューピット
オンライン接客とデジタル広告で成果を出した「保険市場」
株式会社アドバンスクリエイトが運営する「保険市場」は全国の窓口で対面による保険相談のサービスを提供していた。
もともとOMO(Online Merges with Offline=オンラインとオフラインを融合したマーケティング)施策を推進しており、オンラインによる保険相談の準備も進められていたそうだ。
そんな中、新型コロナウイルスの脅威が広がり、オンライン重視への切り替えが避けられないものとなった。
保険市場は「オンライン保険相談」を3月にリリースし、認知拡大のために4月〜5月にはYouTube広告を配信した。
オンライン相談リリース前と後で、相談件数は下記の通り変化したそうだ。
【オンライン相談リリース前】
・対面での相談…約200件/日
【オンライン相談リリース後】
・対面での相談…約20件/日
・オンラインでの相談…約280件/日
・合計…300件/日
対面だけの頃に比べて全体の相談数が1.5倍に増えていることがわかる。
オンライン保険相談のページ来訪者のうち36%が「YouTube広告を見た」と回答しており、動画広告の活用も重要であることがわかった。
EC強化で成果を出した「Zoff」
株式会社インターメスティックのブランド「Zoff」はメガネを販売している。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発令後、一時全店を休業にせざるをえない状況に追い込まれた。
そこでZoffは、在宅ワークによってPCメガネの需要が増えることを予測し、ECでの販売を強化した。
PCメガネが在宅ワークで目や身体を守る生活必需品であることを伝えるブランド戦略「Eye Performance(アイパフォーマンス)」、「ブルーライトカットコート無料キャンペーン」などが功を奏し、これまでZoffでメガネを買ったことのない人にもリーチした。
Zoffも広告に力を入れた。4月末から5月末までの1ヶ月で、検索広告やYouTube広告、ディスプレイ広告など全方位的に広告を配信したらしい。
これらの結果、PCメガネのECサイトからの受注数は過去最高、検索経由でのコンバージョンは前年比7倍となった。
今後もEC販売、デジタルマーケティングを強化していく予定だという。
データを活用して新たな需要を開拓した「花キューピット」
花キューピット株式会社は、以前からオンライン生花販売の「インターネット花キューピット事業」を展開していたそうだ。
売上の多くは「お祝い」需要だったが、コロナ禍の外出自粛でお祝いの機会が減ることによる売上減少の懸念が生じた。
そこで花キューピットは「Google トレンド」のデータを活用し、需要の変化を調査したという。その結果、自分への「癒し」、パーソナルギフトと思われる「観葉植物」といったキーワードが多く検索されていることを発見した。
出典元:コロナ禍で新たな需要をどう捉えたか──Zoff、保険市場、花キューピット
新たに発見した需要に応えるため、花キューピットは商材を「ギフト」「パーソナルギフト」というカテゴリーに分け、後者の広告配信を強化したそうだ。
広告予算配分、検索広告とYouTube広告のクリエイティブを変更した結果、パーソナルギフト商材のインプレッション数が2019年同期比7.2倍、クリック率(CTR)も5ポイント上昇という結果になったという。
オンラインビジネスでは生活者の需要変化にスピーディーに対応することが大切だとわかる事例だ。