ウェブサイトでコンバージョン(成果)を発生させるには、ユーザーの本質的な欲求や隠れた本音である「ユーザーインサイト」を理解することが重要です。また、質の高いユーザーインサイトを獲得すれば、ユーザーニーズに沿ったマーケティング活動ができるようになります。将来的には競合他社をリードし、ビジネスの拡大へとつながっていくでしょう。
この記事では、マーケティングにおけるユーザーインサイト獲得の必要性とともに、高品質なユーザーインサイトを得るための3つのステップをご紹介します。
高品質なユーザーインサイトの獲得は競合他社をリードする
ユーザーインサイトとは、ユーザーの持つ隠れた本音、深層心理をいいます。
スマートフォンやパソコンでウェブサイトを開くとき、明確な目的を持って訪問する場合もあれば、ただなんとなくサイトを開いている場合もあるでしょう。このユーザー自身も説明がつかない「ただなんとなく」には、ユーザーの本音や欲求が隠されているというのが、ユーザーインサイトの考え方です。
マーケティングにおいては、質の高いユーザーインサイトの獲得が重要です。優れた商品やサービスがあっても、ユーザーに関心を持ってもらえない限りコンバージョンには結び付かないからです。
高品質なユーザーインサイトを得るには、散らばったユーザーデータをひとつにまとめて分析し、動的なユーザーエクスペリエンスを提供する必要があります。ユーザーインサイトの把握には、検索キーワードやウェブサイト上での動き(どのページを閲覧したか、どのような操作をしたか)などのユーザーデータを収集します。このステップによってユーザー行動の全体像を把握し関係を築き上げれば、競合他社からの抜け出しやビジネスの拡大につながるでしょう。
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高品質なユーザーインサイトを得るステップ1. ユーザーデータの統合
まずは最初のステップとして、ユーザー行動の全体像をとらえていくことから始めます。組織や部署の垣根を越えてさまざまなユーザーデータを収集し、ひとつに統合します。チームごとに保管していたデータをひとつにまとめることで、より明確で価値のあるユーザーインサイトが得られるのです。
膨大な量のユーザーデータを統合するには、小規模から段階的に始めていくのがポイントです。
初めに、ウェブ・アプリの分析ソリューションを顧客管理テクノロジーに関連付けます。そして、ユーザーと関連のあるチャネル(集客ルート/メールキャンペーンやポイントプログラムなど)で、データの統合方法を考えます。
次に着目するのは、ユーザーの検索意図などからもたらされる明確な外部データです。これらのデータをクラウド上の管理スペースに統合し、ユーザーに関する高品質なインサイトを見つけ出していきます。
ユーザーインサイトを理解するために有効なツールとして、「Googleアナリティクス」があります。Googleアナリティクスとは、ユーザーがウェブサイトでどのような動きをとっているか解析するツールです。滞在時間やページ移動、リピート率など、ユーザーインサイトの理解に役立つデータを収集できます。
また、ユーザーの生の声を集める手段として、インタビューやアンケートも有効です。ただし、質問内容を慎重に検討しなければ、ユーザーインサイト=隠れた本音を導き出せない可能性があるため、注意が必要です。
高品質なユーザーインサイトを得るステップ2. カスタマージャーニー全体のデータ分析
次のステップは、カスタマージャーニー全体の測定とデータ分析です。マーケティング効果の測定・分析は、すべてのチーム共通のビジネス指標となるため、このステップこそマーケティング戦略の核心といえるでしょう。
Googleでは、分析ソリューションを選ぶポイントとして以下の2点を挙げています。
1. 多様な要素を分析できるツールを選ぶ
カスタマージャーニー、チャンネル、コンテンツ、キャンペーンなど、さまざまな分析が可能なツールを選べば、より成果をあげている要素に貢献度を割り振れます。
2. 複数メディアの連携や成果の高いチャネルが把握できるアトリビューションモデルを選ぶ
アトリビューションモデルとは、どのチャネルがコンバージョンに貢献しているか判断したうえで、貢献度をどのように割り振るか決めるルールをいいます。マーケティングの効果を高め、成約の可能性が高いユーザーの把握やそのようなユーザーに効果的なクリエイティブを特定できます。
高品質なユーザーインサイトを得るステップ3. 最適なユーザー体験の提供
最後のステップは、データから得た高品質なユーザーインサイトをプラットフォームに適用し、最適なユーザー体験を提供することです。
ユーザーインサイトが活かされていないプラットフォームは、顧客定着のチャンスを逃すことになるでしょう。たとえば、ECサイトで商品を購入した翌日に、同じ商品が割引されてユーザーの目に飛び込むことがあります。これは、過去のユーザーインサイトを活用しておらず、データの連携ができていなかったことが原因です。
最適なユーザー体験を提供できれば、ユーザーの不信感や違和感をなくし、満足度の向上につながります。ユーザーインサイトを活用すれば、ユーザーを趣向や傾向ごとに分類でき、それぞれのセグメントに合ったユーザー体験の提供が可能です。
セグメントごとにユーザー体験をカスタマイズするのは、機械学習といった新しいテクノロジーが活躍します。それぞれのセグメントに最適化された質の高いユーザー体験を提供できるようになれば、長期的なビジネスの拡大につながっていくでしょう。
まとめ
◆ユーザーインサイトとは、ユーザーの持つ隠れた本音や深層心理をいい、マーケティングにおいてはコンバージョンを高めるための重要な要素である。
◆高品質なユーザーインサイトを得るには、以下の3ステップを行う必要がある。
1. 部署や組織の垣根を超えたさまざまなユーザーデータを収集しひとつにまとめる
2. チーム共通のビジネス指標となるカスタマージャーニー全体の測定とデータ分析を行う
3. データから得たユーザーインサイトをプラットフォームに適用し、最適なユーザー体験を提供する
◆3ステップによってユーザー行動の全体像を把握し関係を築き上げれば、競合他社からのリードやビジネスの拡大へとつながっていく。