毎日届く大量のメルマガや、動画視聴前に強制的に流れる広告に、うんざりした経験はありませんか?現代の消費者は、一方的に送りつけられる情報に対して強い嫌悪感を抱き始めています。このような顧客心理の変化に対応するため、マーケティングの手法は、企業から顧客へ一方的に情報を届ける「プッシュ型」から、顧客が自ら情報を探し求める「プル型」へとシフトしています。
本記事では、このプル型マーケティングの代表格であるインバウンド・マーケティング、そしてその成功に不可欠な要素であるパーミッション・マーケティングについて、その意味と具体的な例を交えながら詳しく解説します。パーミッション・マーケティングを理解し実践することで、顧客との良好な関係を築き、マーケティング効果を最大化することが可能になります。
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インバウンド・マーケティングとパーミッション・マーケティング
インバウンド・マーケティングとは?
インバウンドといっても、海外から日本にやってくる訪日外国人を表しているわけではありません。この場合のインバウンドとは、外側から内側に向かう流れを意味します。具体的には、ニュースリリース、動画、ブログ、SNSなどを活用して積極的に情報発信を行い、顧客に自社サービスへの興味を持ってもらう戦略をインバウンド・マーケティングと呼んでいます。これは、従来のように訪問セールス、テレマーケティング、ダイレクトメールを使って自社の情報を送りつける「プッシュ型」のマーケティングとは異なり、顧客が自ら情報を見つけ、自社サービスを選択してもらう「プル型」のマーケティングです。この「プル型」の代表的な手法がパーミッション・マーケティングとなります。
企業が訪問セールスやテレアポ、ダイレクトメールのようなプッシュ型のアプローチで顧客に直接働きかけるのではなく、ブログ記事、SNS投稿、動画コンテンツ、SEO対策などを通じて、顧客が自社の商品やサービスを「見つけたくなる」ように仕掛ける手法です。顧客が自らの意思で情報にアクセスし、興味を持った結果として、企業やその提供する価値にたどり着くことを目指します。
パーミッション・マーケティングとは?
パーミッションとは「許可」を表す英単語です。パーミッション・マーケティングとは、顧客に事前に「許可(パーミッション)」を得て、ダイレクトメールやメルマガなどの情報配信を行うマーケティング手法です。この考え方は、マーケティング分野の著名な著者であり、Yahoo!の副社長も務めたセス・ゴーディン氏によって提唱されました。彼は、テレビ、新聞、雑誌といった従来のマス・マーケティングが、顧客の時間を奪い、一方的に情報を押し付ける「インタラプション(邪魔な)マーケティング」であり、その効果が低下していると指摘しました。
現代では広く受け入れられているパーミッション・マーケティングですが、その誕生の背景には、テレビ、新聞、雑誌などで行われているマス・マーケティング、すなわち、対象を特定せず大衆に向かって画一化された方法で情報を発信するマーケティング戦略の悪影響があります。セス・ゴーディン氏は、このような顧客の時間を邪魔し、無理に情報を押しつけるマーケティングを「インタラプション(邪魔な)マーケティング」と呼び、マーケティングの効果を著しく低下させていると指摘しました。
それに対し、顧客にあらかじめ許可をもらい、嫌悪感を抱かせないように情報提供を行うことこそが、最大限のマーケティング効果を発揮し、最終的な購買にもつながるという考え方がパーミッション・マーケティングです。
インバウンド・マーケティングが顧客に「見つけてもらう」ための魅力的なコンテンツ提供に焦点を当てるのに対し、パーミッション・マーケティングは、その情報提供のプロセスにおいて、顧客の「許可」を前提とします。この二つを組み合わせることで、顧客との間に強固な信頼関係を築き、長期的な成果へと繋げることが可能になるのです。
パーミッション・マーケティングの具体例
パーミッション・マーケティングの具体例として最も分かりやすいのは、インターネット上で展開されるダイレクトメール、すなわちメルマガなどの配信でしょう。
「オプト・イン(Opt-In)」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?日本では2002年に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、通称「特定電子メール法」が制定されました。この法律により、企業がダイレクトメールを送付する際には、事前に顧客からの承諾を得ることが義務付けられています。
この許可を得る行為こそがオプト・インです。しかし、仮に法に則っていても、展示会などで名刺交換をした相手から、事前の承諾(オプト・イン)を得ずに一方的に宣伝広告のメールが大量に届いたとしたら、その企業を信頼できるでしょうか?特にBtoBビジネスにおいては、信頼関係の構築が不可欠です。
顧客にダイレクトメールやメルマガを配信する際の正しい手順は、まず法律に則ったオプト・インを実施し、メールアドレスを取得することです。その上で、顧客自身が興味を示した商品やサービスに関する情報を、適切なタイミングで提供することにあります。
このように、顧客からあらかじめ許可を得た上で、定期的に有益な情報を提供することは、レスポンス率の向上に繋がり、最終的な購買行動へと結びつきやすくなることが期待できます。パーミッション・マーケティングは、顧客の意思を尊重する姿勢を示すものであり、特にBtoBビジネスにおける顧客との信頼関係構築に不可欠なマーケティング手法と言えるでしょう。顧客が情報提供を許可したということは、その情報や商品、サービスに対して少なからず関心を持っていると判断できるため、一方的に情報を送りつける「インタラプション・マーケティング」とは一線を画し、長期的な良好な関係維持に貢献します。
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まとめ
現代のマーケティングにおいては、企業から顧客へ一方的に情報を届けるプッシュ型の手法は効果が薄れており、顧客が自ら情報を探して見つけるプル型のマーケティングが主流となっています。その中でも、顧客に自社サービスへの興味を持ってもらうための情報発信を行うのがインバウンド・マーケティングです。
そして、インバウンド・マーケティングの重要な要素として、顧客から事前に「パーミッション(許可)」を得た上で、ダイレクトメールやメルマガなどの情報を提供するパーミッション・マーケティングがあります。これは、顧客の時間を尊重し、一方的に情報を押しつけるインタラプション・マーケティングとは対照的なアプローチです。
顧客に許可を得ることで、信頼関係を築き、顧客が本当に求めている情報を提供できます。これにより、レスポンス率の向上や購買意欲の促進が期待でき、長期的な顧客との良好な関係構築に繋がります。特に、BtoBビジネスにおいては、顧客との信頼関係が不可欠であるため、パーミッション・マーケティングは非常に有効な手法と言えるでしょう。

