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顧客単価を向上させるクロスセルとは?活用方法と具体例をご紹介

2020.7.16
読了まで約 3

多くの人は、ハンバーガーショップでハンバーガーを買った際に、店員さんからフライドポテトや飲み物の購入を勧められた経験をしたことがあるでしょう。

このように、顧客の要望にプラスして関連した商品やサービスを勧めることをクロスセルといいます。

新規顧客の獲得が難しくなっている昨今、顧客単価を上げるために行われるクロスセルですが、その活用方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
クロスセルを応用した具体例と共に解説します。

 

クロスセルとは何か?

クロスセル(Cross Selling)とは、商品やサービスの購入を検討している顧客、または購入した顧客に、関連した商品を同時に勧め販売することをいいます。

ハンバーガーショップでのクロスセルはよく知られた例ですが、顧客の潜在的な要望や課題をとらえ、タイミングよくソリューション(解決策)を示すことによって、顧客単価を上げることができる販売手法です。

一般消費者に向けた事例の多いクロスセルですが、B to Bにも応用することが可能です。
新規顧客開拓には時間と手間がかかり、コストのかかる広告宣伝なども積極的に行わねばなりません。
このような状況下で売り上げの向上を図るには、既存顧客の単価アップがとても効率的な方法なのです。

また、クロスセルに関連してよく出てくる言葉も説明しておきましょう。

・アップセル
アップセルは同種の製品やサービスの、より高額なものを勧める販売手法です。

よく知られた例には、クレジットカードがあります。クレジットカードは、たとえば普通カードとゴールドカード、プラチナカードのようにカードのグレード(ランク)が分けられている場合が多く、ほとんどのクレジットカード会社では顧客の信用度や利用額によって、カードのアップグレードを勧めてきます。アップグレードによってカードのサービス内容や利用限度額が変わりますが、大抵の場合は年会費も上がり、これは顧客単価のアップにつながります。

B to Bの場合であれば、顧客製品の性能アップのために、より耐久性や性能の優れた素材を勧める場合などがアップセルに相当します。

・ダウンセル
ダウンセルは多くの場合、在庫処分をしたいケースなどに使われます。
たとえば自動車販売でニューモデルの発売が近くなり、古いモデルを早く売り切ってしまいたいような場合です。
販売価格を下げて顧客の購買意欲を高めることにより、在庫を抱えるリスクを低減するのです。

スーパーなどでも、閉店時間が近くなると生鮮食品の値下げが行われることがありますが、これも廃棄ロスを避けるためのダウンセルです。

 

クロスセルのメリット・デメリット

クロスセルのメリットはとても明確ですが、デメリットにはどのようなことがあるのでしょうか?
クロスセルのメリット、デメリットを一度確認しておきましょう。

・メリット
市場の競争激化などで新規顧客の獲得が難しい中、多くのコストをかけて新規顧客開拓をするより既存顧客を大切に扱い、関係を長く維持してLTV(ライフタイムバリュー)を最大化するマーケティングが主流になっています(リレーションシップ・マーケティング)。
クロスセルやアップセルによって顧客単価を上げ、結果として売上向上につなげられるのが一番のメリットです。
またクロスセルにより自社の優位性をアピールできれば、リピートも期待できます。

・デメリット
顧客の望まない商品やサービスをしつこく勧め、関係を悪化させてしまうと、顧客離れを招いてしまうことがクロスセルのデメリットです。
自社の都合で商品やサービスを押しつけるのではなく、あくまで顧客の視点からメリットを明示することが大切です。

 

クロスセルの活用方法

クロスセルを活用しようとしても、自社商品を無理に組み合わせるわけにはいきません。
顧客のメリットを考えないシーズ視点での提案は、前述したクロスセルのデメリットしか生まないからです。

これを避けるためには、商品やサービスの企画段階からクロスセルを念頭に置いておくことが重要です。
通常、顧客ニーズの分析は企画段階で行われますが、その際に主たる商品のほかに顧客が必要とするであろう別の商品も一緒に検討しておくのです。
後からクロスセルの商品を考えると後手に回ってしまいますが、主たる商品のリリースと同時にクロスセルを顧客にアピールできれば、他社への差別化にもつながります。

 

クロスセルの具体例

・ネット販売大手 アマゾンのクロスセル
ネット販売の世界的な大手、アマゾンは2方向のクロスセルを活用しています。

まずアマゾンで商品を買うユーザーに対しては、ある商品を検索すると、「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」と類似商品を勧め、「よく一緒に購入されている商品」も明示してクロスセルを促進しています。

またアマゾンに商品を出品するビジネスユーザーに対しては、「在庫管理」から「受注」、「商品の配送」、「代金の回収」までをワンセットでサービスするプログラム(フルフィルメント)を用意しています。まさにユーザーが必要とするサービスを、クロスセルとして揃えているのです。

クロスセルを成功させるコツは、顧客ニーズを広義で把握することにあります。
アマゾンの提供しているフルフィルメントサービスなどは、クロスセルをB to Bに活用した好例といえるでしょう。

 

まとめ

◆クロスセルは、顧客単価を上げるための手段のひとつ

◆クロスセルを活用すると、他社への差別化も可能になる

◆クロスセルは顧客のニーズを広義で把握することから始まる

◆クロスセルは顧客の視点に立って実施することが重要

 

監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

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